主食はウランとガソリンでダイナモじかけのメカニカル娘

タイトルは、電気グルーヴの楽曲メカニカル娘より抜粋(タイトルと本文は関係ありません)。

業種、業態の別はあるにしても、営業トークの約半分が、同業他社の悪口ってどうなの?(仮に悪口が事実だとしても、それは業界全体の問題であって、御社が全くもって例外であるとは言い切れないと思うのですが…)

相見積もりをとって、金額的には安かったんですが、他の条件とかが劣悪な感じがするので今回はスルーで…。なんか営業さんの雰囲気とか、交渉の仕方って会社のやり方を表してるよね。

『営業マンは断ることを覚えなさい』

営業マンは断ることを覚えなさい
明日香出版社
石原明

読後の感想
一見、おっと思うタイトルなので、タイトル負けの本なのかなと、買ったままずっとほったらかしでした。
ある時、ふと手にとって読み始めたら、止まらず一気に読んでしまいました。
いわゆる既存の価値観、パラダイムの転換を起こしてくれた良書です。
営業マンのみならず、人間と関係する仕事をしている人に読んでほしいなと思う一冊でした。
この本は、自分のマーケティングについての考え方、今までの概念をいい形で取り崩してくれました。
文章も読みやすく、また実体験に基づく記述は説得力があってとても効果的でした。

印象的なくだり
営業マンにしても、お客様に好かれるとは、本来は役に立つ提案や情報によってであり、反論しないとかおべっかを使うということとは何の関係もないということをしっかり認識していないといけないわけです(P060)。

この章のキーワードは「営業マンは説得しやすい方を説得しようとする」です…?。
説得しやすい方って何かって言うと、お客様と会社(ということは社長)のどちらか説得しやすい方を説得しようとする、ということです。
お客様を説得しようとして売れないと、今度はあなたを説得しようとしますから、「社長、○○だから売れないんです。」という感じですね。
まったく、誰から給料をもらっているのかわからないということになってしまいますから、気をつけてください(P068)。

(前略)お客様は、まだその製品なりサービスを、実際に体験してはいないのですから、商品がいいというとと、お客様に売れるかということの間には、あまり関係がないということを知っておくことが大切です(P072)。

この「値段が高いから売れない」に対する答えとして、一番に考えないといけないこととは、営業マンが自分の商品をあまり気に入っていないのではないかということです。
どんな良い商品でも、自分に自信が無いことには、売れるように思えないというわけで、値段を下げれば買ってもらえるのでは、と思ってしまうのです。
ですから、こういう営業マンには、「ところでうちの商品の一番いいところはどこだと思う?」という質問をしてみることです。
あるいは、「お客様は、どんな点を気に入ってくれているか?」と聞いてみるといいと思います。
たぶん、すぐには答えが返ってこないという状態になっていると思います。
まァ、売れないとだんだん自信もなくなってきて、もう売れないのでは、と思ったりしますけどね。
人間、こういう気持ちになると、全部がマイナスに向いた考えになってしまって、自分の扱う商品の良さが、どっかに行ってしまうんですね。
こういう時は、自分の商品を気に入ってくれているユーザーの声を、たくさん聞かせてあげることが一番いいと思いますので、そういう工夫をしてあげてください。
営業マンは、好きなもの、自信のあるものを扱うのが一番強いということです。喜ばれていることを、思い出させてあげてください(P076-077)。

まず、マーケティングとは、次の四つのパーツからなる一連の作業を言います。
01.集客=見込客(自社の商品やサービスを買う可能性のある人、会社)を見つける、多く集めること
02.見込客のフォロー=見込客をフォローして買いたいお客様に育てる
03.販売=実際のセールス 買いたい見込客に多く会う、主導権を持った販売、終わりではなく始まり
04.顧客化=お客様をフォローして、リピート販売・新商品購入・紹介につなげる
(中略)04.顧客化のステップ、一度買ってくれたお客様をフォローすることで、何度も買ってくれるお客様にする、ファンになっていただくことで、新しい商品を喜んで買ってもらったり、また新しいお客様を紹介していただけるお客様を育てていくというステップです。
ちなみに、会社の利益が一番場上がるのが、この顧客化のステップで、ここがしっかりしていないと、いくらそれまでの作業がうまくいっても、成果としては極小さなものになってしまいます(P089-091)。

売れない理由には、二つあります。
一つは、一生懸命お客様に説明しているのに、買ってもらえないということ。
そして、もう一つは、売ろうと思っても売る相手がいないということですが、圧倒的に、売ろうと思っても売る相手がいないので売れないという営業マンが多いのです(P096)。

チラシや広告を出してもなぜ効果が無いかというと、チラシや広告の目的が、作っているうちに無意識に集客ではなく販売に向かってしまうからです(P103)。

次に、組織としてアイデアを活かした、集客のしくみの例を挙げておきます。
一昨年の正月(平成十四年)の名古屋高島屋で『超目玉福袋』が話題になっていました。高級外車+海外旅行+電気製品+その他諸々、総額七百万円の商品が、まとめて二百二十万というものです。
福袋といっても、中身が全部分かっていて、このお値段なわけですから、すごい人気で申込者が殺到していました。
申込みに際し、一つだけ但し書きがあり、「現金でお買い上げの方に限ります。」とのことです。
申込者の中から抽選で一名にお買い上げいただくそうですが、申込者が八千人あったそうです。
実は、この福袋は、現金で二百万円くらいだったら、いつでも出せる見込客をたくさん集めるための投げかけなのです。
(中略)「あなた、お金持ちですか」という質問を、別な形でして、見込客リストを作ったということです。何と、八千人のお金持ちリストを、一人あたりコスト三百円くらいで作った計算になります(P104-105)。

顧客化については、もうひとつ絶対に考えておかなければならないことがあります。
それは、商売をしていけば必ず、お客様の数は増えていくということです。
ということは、営業マンに顧客化を任せていたら、どこかの時点で必ずオーバーフローするということです。
どんなに優秀な営業マンでもいつかは必ず手一杯になり顧客化が出来なくなってしまいます。
顧客化を営業マンの仕事を考えている会社は、どうもこのことをまったく考えていないようです
(P113)。