『人たらしの流儀』

『人たらしの流儀』
佐藤優

読後の感想
外交の問題になるとメディアによく登場する著者の佐藤優さん。
休職から失職になり、元の冠が付いたからなのでしょうか。
多筆だし、多弁だし、歯に衣着せぬ発言が受けているのだと勝手に邪推しております。

さて、そんな(どんな?)佐藤さんの著書。
対話方式で書かれており、インタビューアーに対して受け答えしながら
進めていくというもの。

佐藤さんの本全般に言えることですが、若干予定調和の香りがしてやみません。
もちろん、全部が全部後付けとは言いませんが。
中には「ムムム、これはすごい!」と脱帽する行動規範もあったりするのですが
全体としては「そこまで考えてないよね?」と感じてしまうことがありました。
(でも、すごく好きなので何冊も読みたいと思わせられてしまう)

いったい何が僕にそう思わせてるのだろうか?と考えたのですが
いわゆる「なんかズルイ」をそこに感じているのではないかと。

佐藤さんは狡猾さを隠さずに書いてくれているから、特にはそう思わないのですが
(本書の中では「ずるさを隠すことができる」のも能力と書かれています)
実際にこんな行動規範を持っている人がいて、会ってみたら
やっぱりずるいと思いながらも惹かれていくんだろうなぁと内心思ってしまいます。

くわばら、くわばら。

印象的なくだり

インテリジェンスの理想的人間像は、「ずるさを隠すことのできる程度の知恵のある、ずるい奴」なんです(P.015)。

決して嘘をつかずに、嘘を伝える。
ロシア人がよくやるやり方。
ここは熱帯です、大きな動物がいます。足はこんなに大きくて、皮膚はザラザラしている。ちょっと毛も生えていて細い尻尾がついています。さて、この動物は何でしょう?
普通は、象と答えるが、答えは犀。
「鼻がどうなっているか、訊かなかったお前が悪い」となる。
この過程で一番大切なのは、発言者は嘘をついていないこと。
だから、「鼻が長いのか?」と聞かれたら、
「鼻は長くないけれども角がついているとなる。
-ちゃんと質問していかないと、きちんとした答えに辿り着かない(P.023)。

-食事のあとの会計をスマートに済ませたいと悩む多くのビジネスマンがいます。よくあるご婦人同士の「今日は、私が払うわよ」闘争にならないためにはどうすればいいのでしょうか?
食事が始まる前に、もう一番最初に払ってしまうことです。
-えっ?
その「ここは、私が」闘争になる前に決着をつけておく。お店に今日のお客さんには、お支払いをさせるわけにはいかない事情があるといって、ぽーんと二万円なりを預けておくのです。そして会食終了後おつりだけもらうのがスマートなやり方です(P.055)。

こんな機会には滅多に遭遇しないけど、やるときはやっておこう!(とメモメモ