『年収1億円思考』

読後の感想
読み始めてから途中で気がつきましたが
タイトルの「年収1億円」というのは著者のことではありませんでした(いまさら…
実は、年収1億円の「クライアント」が50人以上居る、ということだったのでした。

しかし、これは有る意味、これは本人が1億円稼いでいます、という本よりも稀有な存在。

なぜなら、稼ぐ人が書いた本だと、なんだかんだいってその人だけの感想
しかし、50人以上知っているとそれなりに共通項が浮かんできます。

また面白いのは、あくまでクライアントであるわけで他人なので
いい感じで客観的でかつ、「行動に現れているところ」が見えているところでした。

…とまあここまでは褒め言葉。

ここからはちょっとどうかな?と思う部分。

この本自体はすごく分かりやすく歯切れがよい文章が並んでいます。
ただ、著者は保険商品を扱っているのに

具体的に言えば、稼げるセールスマンは最初に結論として
「私にお任せください」と言い切れるのだ。
保険商品なら、「何年の間に、間違いなく、これだけお金は増えます」と言い切る。

などと、ちょっと極端なものいいが気になります。

とにもかくにもポジショニングだ大事と言い切る、
パートナー選びは慎重に(自分と逆の性格の女性を選べ)、など
好き嫌いの好みがはっきりと分かれるかなと思いました。

最近「独立」という言葉にドキッしている
今日この頃、心に沁みました。

印象的なくだり

「稼げない人」の共通項を「ここが稼ぐ人と違う」という点でしぼりこんでいくと、大きく5項目が重要項目として残る。
キーワードを列挙すると、次の5つになる。
①マインド
②固定観念(概念)
③素直さ
④数値判断
⑤金遣いの思考(P020)。

丁稚奉公覚悟の人間なら、自分のいやな点を指摘してくれる上司などは、むしろ「ありがたい。自分のことを考えてくれる人だ」と喜ぶところだが、なにしろ、ほめて育てられるのが当然という世界にいたのである。絶えられるわけがない。
結果、存在するはずもない「青い鳥」を求めて、うろうろとさまよい出てしまうのである(P028)。

思い返すと自分もすごくダメなヤツだったはず。
自分を叱ってくれた上司たちや同僚たちに感謝。

こいつを何とかしてやろうと考えるから、上司・先輩は叱ってくれる。本当に見込みがないやつだと思い切ったら、あるいは嫌いなやつだと思ったら、とっとと配置転換したり、クビにしたりするはずなのだ。
クレームが来たら、あるいは文句を言われたら、ありがたいことだと素直に聞く。自分の気付かなかった欠点を指摘してくれたと考えて、自らその欠点に食らいついていく。納得することは、すぐに改める(P036)。

採用した以上はたしかに企業の責任だよなぁ。
最後まで面倒を見る、ということを頭に入れておかないといけない。
将来万が一「独立」なんてことを考えても、軽々に人は雇えないなぁ。

内向きに財布の中身を気にしながらお金をつかうと、これは堅実、ということになる。財布の残金以上に使うことはしないので、貯まっていくことが多い。だから悪い思考えはないのだが、「稼ぐ」ことをキーワードに置くと、稼げる思考方法ではない。
予算思考は「貯める」思考である(P042)。

私が思うに、A氏のお母さんの褒め方が良かったと思う。
母親は褒めるときに、抽象的な表現で褒めているのではない。A氏の言葉の、具体的な事実に対して、具体的に褒めているのである。
近ごろは「褒めて育てる」が流行っているようだが、たいていは「○○ちゃん、頭がいいね。いい子だね」みたいな、褒められた側が、何に対して褒められたのか分からないような褒め方をしている。
こういう褒められ方に慣れてくると、ひたすら思い上がった子どもに育つだけである。
子どものうちはまだいいが、たいていは大人になるまで思い上りが直らない。
大人で思い上がっているヤツは、ハナつまみになるか、自滅していくかだけの人生を送ることになる。
褒めるのは、具体的な行為や結果に対して、具体的に良いところを指摘しながら褒めるのでなくてはならない。子どもは褒められると嬉しいから、指摘された具体的なことに対して、もっと褒められようとするのだ(P059)。

前出の古賀氏は、営業マンとしてサラリーマン時代、つねに売上げがトップだった。当然ながら、ねたまれて、一番業績のよくない支店に飛ばされた。
最下位に低迷する支店の支店長である。支店内は不満とコンプレックスとやる気のなさに満ちている。
だが、古賀氏は切り返し方が実に鮮やかだった。
氏は着任そうそう、取引先から社員、女子社員、掃除のおばさんにいたるまで、すべての人にヒアリングを行なったのである。
取引先に対しては、「うちの会社のよくない点はなんでしょうか」、支店のスタッフに対しては「前任の支店長のやり方で、直さなくてはならないところ、みんなが迷惑していたこと、きらいなところ、こうしてほしい点は何か」、それらをすべて聞き出したのだ。
古賀氏が言うには、「組織は頭から腐る」ということだった。
会社の不振は社長以下経営陣の責任。そいつらが腐っているからである。業績がよくないのは、支店長にすべての原因があるのだ。正すべきはトップのあり方をおいてほかにない。
その結果、この支店の業績不振がどこに由来しているか、明瞭になった。仕事のルール無視やら怠けといった当然の原因があったが、古賀氏が注目したのは取引先や社内の弱いものいじめだった。真っ先にそこを改善した。
「前任者の悪いことの逆をやればいいんだ。特に弱いものが私のファンになるような運営をすればいいんだ」
こんなことをすれば絶対に失敗するだろう、と感じた逆のことを行なったのだ。このときの体験は独立する上で、すごい参考になったと述懐したものである。少なくとも失敗しないやり方でだけは学んだという(P066)。

これはすごく考えさせられる教訓。
どんな状況でも現状確認(ヒアリング)→仮説(原因を考える)→行動につながること。

己を知るためにには、厳密な分析が必要だ。
いちばん手っ取り早いのは、これまでけんかしたヤツの名前を書き出し、その性格を箇条書きにすることである。好きな人間よりは「嫌いなヤツ」のほうが、その性格を正確に把握できているからだ。特にヘドが出るほど嫌なヤツを書き出して、どんなところにヘドが出るか分析する。
で、結論を出すのだ。その嫌いなヤツ、けんかしたヤツ、ヘドがでそうなヤツ、実はその人間たちとあなたはかなり相似形なのである。そいつらとあなたはよく似ていて、性格もマインドも裏でつながっているのである(P080)。

不況のいま、「景気が悪いから家賃が払えません。下げていただけませんか」という訴えほど説得力のあるものはない(P101)。

なるほど、お金を持っていないふりをするのが一番賢いやり方だね。
不況下だからすぐにテナントが埋まらないだろうという思惑はかなり外れないはず。

あるカリスマといわれた料理人が独立して、そろばん勘定もできないのに内装費に大金をかけた。
「前の店では人使いが荒かった。オレは人を大切にする。社会貢献をする」と言って、社会保険に全部入り、社員の福利厚生にもお金をかけた。
だが、毎月赤字の連続。2年で倒産した。
投資勘定なしの商売は破綻する。破綻すれば雇っていた人も路頭に迷う。つぶれた会社、儲からない会社は税金を払えない。税金も払えない会社は、どんなエラそうなことを言っても社会に貢献できない。
メリハリのないお金の遣い方は破綻に結びつくのである(P103)。

自分が仮に経営者になったら・・・と考えて骨身に沁みた。
きっとこの料理人のような行動を取ってしまうだろうと思う、間違いなく。
で、会社を駄目にするかどうかは分からないけど。
おそらく、社員にダメ経営者だとは思われたくないが為にだろうなぁ。

自分に投資するという意味では、高額なゴルフ会員権を25歳の男が買うと同じような、少々背伸びをした行動がときには必要になる。
「この人のようになりたいな」と思う人と同じ行動をとるわけである。
飛行機もたまにはビジネスクラスに乗る、ホテルもハイアットに宿泊する。そうした自己投資によって、一流のサービスとは何かに気づくし、ふだんの自分とは異なる視点でものを見、考えることができるはずである(P107)。

34歳になってようやく自分もこの人のようになりたいなぁと思う人の行動を真似始めた。
なかなか素直でない自分はこの程度のことをするにも時間がかかるのだなぁ(遠い目

私は創業で強い人と、会社を大きくできる人は違うと考えている。創業で強い人というのは、優秀な営業マンのように自分で売上げを上げられる人である。
しかし、そういう人が会社を大きくできるというのは、自分は裏方に引っ込んで分身を何人も育て、営業や技術から経営(マネージメント)に舵を切れる人である(P163)。

営業というと、効率ばかりを重視する人間がいるが、これは間違いである。
効率は積み上げ式の考えで、効率を重視したら、即結果に結びつくなんて甘い考えだ。逆に、結果が出なくてもいいから効率を重視しなさいといったら、何のための営業か、分からなくなる(P221)。