『仕事は5年でやめなさい。』

『仕事は5年でやめなさい。』
松田公太
サンマーク出版

読後の感想
タイトルから、仕事の話だけかと思いがちですが、どちらかというと生き方にウェイトがありました。文章の中にもありますが、自分があと何年生きていけるかを具体的に考える作業は、とてもつらいものです(仕事でいうとあと何年この会社にいるのかに置き換えて)。そう考えると、ただ漠然とやるのではなく、何か行動に意味を持たそう、持とうと考えるようになる、というのが本の骨子ですが全面的に賛成でした。
どうしても、豊かな生活と想像すると、悠久の時を考えがちですが、そんなことはないなぁとあらためて実感できました。
本読んでたら美味しいコーヒー飲みたくなった(笑)。

印象的なくだり
繰り返しになりますが、大切なのは、「期限を設定する」ということ。「やめる」という期限を決めれば、人はぐっとその成長速度を上げるのです(P019)。

自分が生まれた日、それは母親もっとも苦しい思いをした日なのでは、という考えが心に浮かんだのです。それなら誕生日とは本来、母親にもっとも感謝すべき日のはずだと思ったのです(P034)。

学んで自分を成長させようという姿勢があれば、たいていのことは我慢できるものです(P044)。

人は英語学習や資格を取るためにはいくらでも授業料を出すものですが、仕事の失敗となると、不思議とそれを挽回して次に生かそうとはせず、他人にも自分にも隠してしまう傾向があります。時間や金銭という授業料を出すのをなんとなく惜しんでしまいがちです(P054)。
仕事をこなせばこなすほど、その仕事で学ぶことは多いのです。人との接し方から、その人が何を望んでいるかに気づく。どうしたら喜んでもらえるかという工夫をこらしたり、自分に足りないものに気づいたり、そこで学ぶものは、まさにお金で買えない価値があります。
どんなことでも、真剣に向き合った経験、感覚は身体の中に残っています。学生時代、スポーツであれ音楽であれ、没頭して取り組んだ経験は大人になっても忘れることができません。それどころか、当時はあれほどつらかったことを懐かしみ、もう1度あんな経験をしたいと望みます。
真剣に向き合った経験、そのときの充実感は宝物となって心に身体に仕舞われているものです。
それはスポーツや音楽といった趣味だけに限りません。人が何かに懸命に取り組んでいるあいだ、その時間そのものが光り輝いているのです(P093)。

大手資本にとって、たとえばハンバーガーチェーン店の経営は、それこそ数多いプロジェクトのひとつに過ぎません。しかし、小さい会社にとっては社運を賭けた事業。取り組む際の気合いの入れ方が違うのです(P106)。

下手に出ることも、門前払いされることも、相手の本質を見る目を養います。お世辞を言われて目が曇ることもありません。どうしたら会ってもらえるかと頭を使い、周りにどう思われるかという見栄や外聞を捨てて挑まざるをえない。だから自分の欲しいものに、一直線に進むことができるのです(P110)。

現状維持という言葉は、非常に危険な言葉と肝に銘じる。どんな小さな負荷であっても自分にかけ続けること。成長するものだけが生き残る、これが自然の摂理なのです(P114)。

他人に対しては、できていないところはひとまず流して、いいところ、できたところを見つけ、そこをオーバーなくらいにほめる(P134)。

ビジネスにおいては、「恥ずかしい」という意識はいったん脇にどけてしまうこと。羞恥心や恥という概念は、気取りと紙ひとえのところにあります。情熱を持って驀進しているときには、恥や羞恥心を捨ててかからねばならないこともあります。
私は会議などで「何か質問はありませんか」という問いかけに最初に質問する人には、それがどんな内容であれ、拍手し、評価するようにしています(P159)。