『残像に口紅を』

『残像に口紅を』
筒井康隆

読後の感想
最初の部分を読んで思ったのは、『幽遊白書』の元ネタはこれだったのか、ということ(笑

一章ごとに言葉が一文字ずつ消えていき、どんどん使える言葉が減っていってしまうという形式の小説(例えば「あ」が消えると「愛」という言葉も使えなくなり、概念もなくなる)で、最後には何にもなくなってしまうというもの。

主人公はどんどん話せる言葉が少なくなり、途中から「~です。~ます。」がなくなり「~じゃ」とか言い出したりする。娘の名前の文字が消えてしまうと娘のことも思い出せなくなり、適当な言葉が見つからないため感情表現も乏しくなる。そして言いたいこともどんどん言えなくなり、世界もどんどん閉じてくる。
あれ?これって言葉狩りのことを揶揄してるのかな?と思いながら読み進めました。

若干の概念の矛盾(そもそもあるものを表す言葉がなければ、思い出して感傷に浸ることもないはずなのだが、至るところで消えてしまったものを懐かしむ表現がある)が気になるものの、前衛的で思いついてもやらないようなことをやるセンスは流石だと思いました。
伊達に「時かけ」書いてませんね(褒めてます

パプリカ

監督
今敏

試聴後の感想
端的に言うと最高に良かったです。
ストーリーは単純明快で分かりやすかったし、何より近未来的な雰囲気がCGとアニメでかなり印象的に描かれていました(サイバーパンクって言うらしいですよ)。
途中物質(冷蔵庫とかおもちゃのロボット)が人間的になり、踊りながら行進する場面があるのですが、まさに「よく動く」の一言。
完成度高すぎです(クレジット見たら予想通りProdactionI.G.入ってるし何よりこの世界観はアニメでしか表現できません。
七五調のセリフが頭から離れません(笑)。

音楽は我らが平沢進御大。
主人公の千葉の二面性を象徴的に表すオープニングにのせて流れる
平沢進の楽曲は引き込まれます(僕はオープニングだけ五回繰り返しました
最近の流行なのか俳優を声優にすることもなく、きちんと声優が演じているところもかなり好感が持てます。アムロがいるよ(笑)、大塚明夫さんも。

マトリックスとか好きならオススメかと。
あ、原作は筒井康隆。

Amazonによる内容の説明
医療研究所が開発した他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”。だがそれが盗まれ、悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するように。一体、犯人の正体は? そして目的は何なのか? 事件の解明に挑む美人セラピストの千葉敦子は、クライアントの夢の中へ容姿も性格もまったく違う夢探偵“パプリカ”となって入っていくが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていたのだった…。
『千年女優』などで知られる今敏の最新作アニメ。アニメの魅力のひとつはメタモルフォーゼにあるが、本作ではそれが人物ひとりの変容だけでなく、世界を変容させていく。例えば刑事の夢の中に入った時は、瞬時に場面が『ターザン』の一場面になったりスパイ映画になったりするのだ。夢の世界が舞台なだけになんでもできるという状況を、今敏監督は逆手にとってまさにイマジネーションの洪水ともていうべき展開を見せるのだ。ストーリーも魅惑的だが、その映像に酔いしれること確実の、アニメとしての魅力にあふれた素晴らしい作品だ。(横森 文)