『詭弁論理学』

『詭弁論理学』
中央公論新社
野崎昭弘

読後の感想
タイトルが面白そうだったのですが、あれ?普通の論理学の本でした。しかも説明を簡潔にしようとしすぎたのか、すこぶる薄い。事例式で楽しく読めるのですが、それ以上ではありませんでした。詭弁というほど、詭弁は出てきません。

印象的なくだり
なお、「ゲーテはすべてのことをいった」という冗談もあるくらいで、名前でおどろかそうとするときには、ゲーテは便利な人物である(P051)。

若者たちを悩ませる煙の代表は、「ほんとうの」「絶対的」「本質的」などという、深遠でしかもどこにでも使える言葉であろう。これらがいかに詭弁的であるかは、言葉の意味がぼかされて、結局は「いいように」あしらわれてしまうことからわかる。たとえば「愛」という言葉について考えてみよう。相手の考えに反対したければ、「ほんとうの愛っていうのは、そんなものではない」といえばよい(P071)。