『道は開ける 新装版』
創元社
デール カーネギー, Dale Carnegie, 香山 晶
読後の感想
『人を動かす』と同様に多くの人が語る成功例の集約を図った内容です。本書の姉妹本(と言っていいいのか)『人を動かす』は他人に対してどう接する、に主眼を置いているのに対して、本書は自分の悩みをどう克服するかに重点を置いている点が大きな違いです。
この二冊は両輪のように、バランスをとりながら進むべきものなので、できれば二冊とも読みたいものです。
印象的なくだり
本書から最大の成果を得るための九カ条
第一条
皆さんが本書からできるだけ多くのことを学びたいと思われるなら、一つの絶対条件-どんな規則や手法よりも絶対条件がある。
この基本的な要件を身につけていない限り、いくら研究を重ねたところで、たいした成果は得られないだろう。
ではその絶対条件とは何だろう?それは「真剣に学ぼうとする向学心」であり「悩みを断ち、新しい門出をしたいという固い決意」にほかならない(P018)。
第七条
本書で説かれている原則にあなたが違反した場面を家族に見つかったら、一回ごとに彼らに罰金を払うがいい。彼らこそ、あなたの矯正係なのだ!(P021)。
だれでも時間の許すかぎり、公平な客観的立場で事実を集めることに専念すれば、普通の場合、悩みなど知識の光によって蒸発してしまうだろう(P073)。
こんど、起こるかもしれないことについて悩むことがあったら、私たちも賢明なアル・スミスの助言に従おう。
まず記録を調べて、頭を痛めている問題にどれだけ根拠があるかを検討することだ(P124)。
皆さんとしては、私の読書体験から得られた悩みに関する裁量の忠告を知りたいであろう。
そこで、ここにごく短い言葉で紹介しよう-浴室の鏡にでも貼り付けておいて、顔を洗うたびにごとに心の悩みも洗い流してはいかがであろうか。
このかけがえもなく貴重な祈りは、ラインホルト・ニーバー博士によって書かれたものである。
神よ、われに与えたまえ、
変えられないことを受けいれる心の平静と、
変えられることを変えてゆく勇気と、
それらを区別する叡智とを(P142)。
リンカーンを非難し、侮辱したのは、彼みずからの手で高官の地位を与えた人々-マクレラン、シューアード、スタントン、チェイスなどであった。
リンカーンの法律顧問だったハーンダンによれば、それでもなおリンカーンの信念で変わらなかった。
「人間を賞賛する際に、その人の業績を基準にしてはならない。
さらにその人のしたこと、あるいはしなかったことを非難の対象にすべきではない。
なぜかといえば、われわれ人間は皆、その場の事情・境遇・周囲の状況・教育・身についた習慣・現在から未来にかけて人間を形成する遺伝子などが生み出した産物なのだ」(P197)。
仕返しをしてはならない。敵を傷つけるよりも自分を傷つける結果となるからだ。
私たちはアイゼンハワーの態度を見習おう。つまり、きらいな人について考えたりして、一分間たりとも時間をむだにしないことだ(P198)。
幸福を発見したいと願うなら、感謝とか恩知らずなどと考えずに、与えるという内面の喜びのために与えるべきである(P205)。
祈りは、私たちが何のために悩んでいるかを言葉で正確に表現する助けになる。
第四章ですでに述べたが、実体があいまいでハッキリしないうちは、問題に対処することは不可能である。
祈りはある意味で、問題を紙に記述することと似ている。
もし問題の解決に助力が欲しいのなら、相手が神であっても、それを言葉で表現しなければならない(P290)。
(前略)、不公平な批判で傷つくかどうかは私しだいなのだ。
ここで明確にしておきたいのは、あらゆる批判を無視せよと主張しているのではない。
不当な非難だけを無視せよと言っているのだ(P302)。
仕事に興味をもつことがあなたのためになるということだけを考えてほしい。
あなたは人生から得る幸福を倍増させることができるかもしれない。
なぜなら、あなたは起きている時間の半分近くを仕事に費やしており、その仕事の中に幸福を発見できないなら、幸福などどこにも見いだすことはできないであろう(P355)。
彼は私に自嘲することを教えてくれた。
けれども、もっとも敬服した点は、彼が私の愚を笑わなかったことである。
別に悩む原因ではないではないかと言わないで、どこまでも私を真面目に扱ってくれた。
彼は私の面目を保ってくれた。
小さな箱の中で私に出口を教えてくれた(P411)。
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