転ばぬさきの健康保険が、転びそう、、、

■健康保険組合とは■
ざっくりいうと、民間企業等に勤めている人とその家族が医療にかかるための医療保険制度です。
個人の負担を軽減するためにみんなでお金を拠出して支える制度ともいいます。
加入者は普段から保険料を支払い、そのお金で必要な人が医療を受けられるという仕組みです。
制度設計自体は素晴らしいのです、制度自体は。

■健康保険組合の全体像■
しかし、制度設計をした人がフォローしなかったことがあります。
それは人口ピラミッドの変化です。
確かに労働者人口が多くて、支えられる人が少ない間はうまく機能する仕組みでした。
ところが、人口構造が変わり少ない人数で多くの人を支える仕組みになると
当然財源が確保できなくなるため破綻し始めました。

中でも、常時700人以上の従業員がいる事業所が設置した単一型健康保険組合や
同種・同業で3,000人以上従業員が集まる事業所が設置した総合型健康保険組合は
負担割合の上昇が著しいと言われています。

企業で健康保険組合を持たない会社は、いわゆる協会けんぽに加入することが多いです。
この協会けんぽの2020年の石川県の保険料は11.8%です(健康保険料率(10.01%)に介護保険料率(1.79%))。

■なぜ企業は独立して組合を持つのか■
では、企業が単一型健康保険組合を持つメリットはなんでしょうか?
大まかに書くと、まずは財産的な独立、つまり自主的に保険料率を設定できることがあります。
もちろん協会けんぽよりも高くする理由はありませんので安くして、従業員、会社の保険料負担を減らせます。
あとは、企業の福利厚生を代行して人間ドックの助成や運動奨励事業といった疾病予防につながる保健事業などを任意に実施できることです。

しかし、健康保険組合連合会は、2025年には単一型健康保険組合の保険料が
協会けんぽの11.8%を超えてしまうという試算を出しています。
これだと、企業が単一型の健康保険組合を持つメリットがなくなってしまいます。

■人材派遣健康組合のお話■
2019年に日本第2位の規模である健康保険組合「人材派遣健康保険組合」が解散しました。
その結果、人材派遣健康保険組合に加入していた51万人の加入者が協会けんぽに加入することになりました。
単一型の健康保険組合であろうが、協会けんぽであろうが、医療費補助の観点では加入者自身には違いはありません。
しかし、協会けんぽには保険料上昇を抑制するために国庫の補助が入っているため
協会けんぽに加入する人が増えると、国の財政負担がかなり増えることになるでしょう。

■これから予想されること■
個人的な感想では、年金をはじめとする、現役世代が費用負担をして費用を支える、という仕組みは
今後は破綻する可能性が高いと感じています。
少なくとも単一型健康保険組合のメリットはどんどん減少しているため減っていき
協会けんぽに加入する企業は増えることでしょう。

どっとはらい

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