100円のコーラを1000円で売る方法2

読後の感想
1でうまく丸めこまれて2も読んでしまった感じです。
というのも悔しいのでちゃんと分析。

1もそうでしたが、この本の一番すごいところはその組み合わせと組み立て順です。
本書では、マーケティング理論が話のストーリーの
一番必要なときに登場するので、あたかもすごい理論のように
感じさせてしまうところが非常に優れています。
そして、その理論が不自然な感じがしないからまたすごいのです。
(冷静に考えれば、あらかじめ理論に必要なストーリーを考えていると
思うほうが自然なんですけど、読んでいると気づかないものなのです)

これも、1のときにも書きましたが、宮前久美に感情移入ができず
どちらかというと(というか圧倒的に)与田誠のほうに
傾いていてしまいがちなのは年齢と性別のせいなんでしょうかねぇ(どうだろ?

巻末の参考文献はマーケティングの古典ばかりで
一度は聞いたことのある本ばかりでした。
少しずつ時間をかけて読んでいこうと思います。

印象的なくだり

「弱者の戦略の基本は、競争相手と差別化すること。
お客さんや商圏を限定して局地戦で戦ったり、売る商品やサービスを限定して得意技で戦ったりする。」
(中略)
「それに対して、強者の戦略の基本はそれを封じ込めること。
同質化戦略で相手の差別化戦略を封じ込めたり、規模の大きさを活かして広域で戦ったり、
いろんな商品を組み合わせて総合力で戦う。
これが強者の戦い方なのよ。
とくに同質化戦略がポイント。なぜだかわかる?」
「その差別化ポイントを取り込むことで、自社が成長できるからよ。
々差別化戦略でも、強者が実行すれば、弱者がじっくする差別化戦略の数倍、数十倍の効果を上げることができるの」(P.042)。

「PDCAサイクルを”円”だと誤解している人は多いんですよね。
この図の問題は、アクションを実行したあと、最初のプランに戻るように見えることです。
つまり、同じところをグルグル回っているような印象を与えてしまう。
PDCAは改善を積み重ねて物事を動かすのに役立ちますが、うまく使いこなせていない人が多いのは、
そもそも間違ってとらえている人が多いからです。PDCAの正しい理解はこうです」
与田はホワイトボードに螺旋の線を描き、P、D、C、Aと上書きしていった。
それは久美がはじめて見るPDCAサイクルの図だった(P.056)。

「弱者が差別化をきわめるというのは、そういうことです。
顧客やユーザーと徹底的に向き合って、話を聞き、本人でさえ気づいていないような課題を把握する。
そして会社全体で対応する。自分たちの顧客やユーザーが本当に望んでいるものが何か、
とことん考え抜くことが大切なんです」(P.190)。

競輪場で会った人だろ

タイトルは、p-modelの楽曲「美術館で会った人だろ」のパロディ。

まずは気になるニュースから。

富山競輪で4億8000万円車券
時事通信 8月30日(土)20時7分配信
 30日の富山競輪(富山市)で、7レースの1着を全て当てる7重勝単勝式車券「Dokanto! (ドカント)7」の的中が1口出て、200円の購入で4億8426万6440円の払戻金が記録された。
 この車券は後半7レースで1着と予想する車番をコンピューターがランダムに抽出。2012年4月に導入され、従来の1億9440万3740円を大きく上回る最高払戻金となった。 

そういや先週、富山の道草読書会に参加するために富山市に行ってました。
その際に、ついでに(あくまでもついでね)ライトレールの乗りつぶしを
決行し、富山駅北駅⇔岩瀬浜駅を乗っていた時に一人のおじさんに声を掛けられたのでした。

駅のホームで四歳児とペチャクチャとおしゃべりしていると
ほんのり赤ら顔で右手には新聞、左手にはスーパーで買った弁当と
どこからどう見ても100パーセント「今からギャンブル行ってくるぜ」感満載のおじさんでした。

そのおじさんは、ムスメと細君、そして義母をひとしきり褒めた後
さっそうと「競輪場前」駅で降りて行きましたが
あの気のいいおじさんが的中させているといいなぁと思いましたとさ。
(オチ無し

どっとはらい。

『100円のコーラを1000円で売る方法』

読後の感想
一般的には難しいと思われる分野について
かわいらしい女の子が小説仕立てで学び成長し
その所属する組織を成功に導いていく、って、
これはまんま『もしドラ』のエッセンスを完全に
まるパクリなわけです。

というわけで、素直な感想としては、非常に読みやすいようにその理論の肝だけが
すっと入ってくるようにうまく話がまとめられてるし
タイトルもキャッチーなので、手に取りやすいし守備範囲の広い本だと思います。

例えば、この本を読んでいると普段あまりこういった本に興味がない
細君も、なになに?と興味を持ってくれたので、その意味では
手に取る第一歩としては最適なのかもしれないなと思いました。

好き嫌いでいうとちょっと好きではない書き方の本ですが
他人の説明するという観点からすると役に立つ本なのかと思いました。

ともあれ、この主人公の宮前久美に共感する人は
あんまりいないんじゃないかと思います(小説ではないので共感は求めていないのでしょうけど

ちなみにタイトルの答えは、…読めば分かりますよ、ええ(と珍しく引きで終わる

印象的なくだり

「歯医者に来る患者のことを考えて、”虫歯治療”という製品志向から、
”健康な歯を維持する”ちう市場志向に発想転換した結果、歯医者は新市場を
創造できた、ということです。
虫歯になる人は日本人全体の1割にすぎません。
ところが、虫歯になる前の9割の人も顧客に取り込んだことで、
潜在顧客規模を日本人全体に広げたということです」(P.112)。

『闇の子供たち』

あらすじ
タイで行われているとした、臓器移植を目的とした幼い子供たちの人身売買や
幼児売買春を描いた作品。あくまでもフィクションである、ということになっています。
映画はタイの田舎の貧しい農村から始まります。
男がやってきて親と思われる人にお金を渡し、娘である少女を連れて車で村から都市へ。
都市に連れてこられた少女は外国人相手に売春をさせられ続けます。
やがて、少女はエイズに感染し、商品として価値がなくなったと売春宿に判断され
ゴミ袋に入れられて捨てられます。
一方、日本の新聞社の海外駐在員である南部(江口洋介)は、
日本の本社からタイで臓器移植手術が行われると聞いて、タイで取材を始めます。
また、音羽(宮﨑あおい)は貧困層の子供たちを救うため
タイでボランティア活動をしているNGOに参加します。

鑑賞後の感想
見ていて何度も目をそらしたくなるシーンがかなりの部分を占めました。
外国人男性に犯され、血を流す少年が、殴られないために無理やり愛想笑いするシーン。
子供を折檻し、他の子供たちの前で性虐待を行うシーン。
少年と少女を二人買い、目の前で性交させ、それを外国人が見て楽しむというシーン。
処女を犯すという行為をビデオ撮影し、ネット掲示板に書き込みをするシーン。
二人の少年と性行為を楽しむために、一方の少年にホルモン注射を無理やりさせて殺し、
もう一方の少年の前で、殺したことをいくらで解決するかと交渉するシーン(劇中では7000USドル)。
どのシーンを思い出しても本当に心が痛みます。

時折、カメラの視点が低くなり、子供の視点になっていることが分かります。
自分たちが見えているものは、子供からはどう見ているのか?と考えずにはいられませんでした。

この映画の裏テーマは贖罪(償い)ではないかと思いました。
登場人物の設定や表情、取った行動などに裏テーマを裏付けるものを幾つか感じました。

マフィアの手先であり、自ら臓器売買や児童売買の実行者として行動するチットは
子供の時に自分も売られた経験があり、完全に商品として見ている他のマフィアたちとは
少し違ったしぐさを見せます。
また、最後のシーンでは、ふてくされた表情をする他のマフィア、外国人客とは異なり
一人だけ清々しい笑顔で立ち去って行きました。
新聞記者であり「見て見ぬふりはしない。見たものを書く。助けられなかった代わりに
犠牲者の子供の顔を見る。」と主張し、マフィアに殺されかけてもなお取材を続ける
南部は(ネタバレ)な過去を背負っています。
上述のような行動を南部が取った理由は、まさに償いと罪悪感なのだろうと思います。

それにしてもタイに限った事ではありませんが、本当にこういった問題は根が深いです。
警察も買収されているので、密告者も多く、正しいと思って行動しようと思っても返り討ちにあう環境。

あくまでもフィクションと銘打たれていますが、現実はもっと悲惨なのだと思います。

心臓の鼓動が聞こえてくるたびに、自分の心臓のことを考えずにはいられませんでした。

富山県の「第一回道草読書会」に参加してきました。

今日は、Nさんにお誘いいただいて
富山県富山市で開催される道草読書会に参加してきました。
課題本は、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの『怪談・奇談』。

奇しくも一年ほど前に、テント会(だかキャンプ会だか忘れましたが奥多摩で)
小泉八雲集を読んで以来、一年ぶり。
やっぱり夏→暑い→涼しくなりたい→怪談なのでしょうかね、素晴らしきかなホメオスタシス。

というわけで、こう見えても人見知りのわたくしなので
知っている人がいるだけで安心して参加してきました。

以下、誰が言ったかは特に秘したまま、特に心に響いたこと(順不同)。
(自分一人では決して思いつかないことばかりだから読書会はやめられない)

・最近の子供は怪談やお化けを怖がるのか?
・生霊と死霊、どちらがより許せるか、同情の余地があるか?
・メジャーな話は完成度が高い。
・耳なし芳一は意外と計算高く行動している。
・抑圧された性・身分であった女性は、情念が内にこもる。
・正妻の恨みは、何故か後妻に向けられ、夫には向けられない。

これがきっかけで金沢市でも読書会をやろうと思うなんて単純だなぁ、と我ながら思う。
とりあえずは、9月26日の名古屋アウトプット勉強会に初心者のふりして行きます(予定