『A4 1枚で「いま、やるべきこと」に気づく なかづか日報』

中司 祉岐
経済界

読後の感想
たまたまある人から毎日書く日報が負担でしょうがないという話を聴き、気になっていた日報。多くの人がイヤイヤ書いているであろう日報を、せっかく書くなら活用できるアドバイスの足しになれば、と思い読み始めたのがきっかけでした。

見える化、選択と集中、気付きの記録、手書きによる意識の刷り込み、と書かれてる内容は割とどこでもあるものでしたが、ただ一つこの作者しか出来ないことが書かれていました。

それは、日報の添削。

例示として、幾つ日報が掲載されていたのですが、その中にコンサルタントとして著者が添削(というかコメント)をしているのでず、それが非常に的確かつ優しい。

今まで日報コンサルタントとして、成果をあげてきた、との事でしたが、
実は肝なのは日報よりも著者の中司さんの力では?と思う位でした。
(と、書いてしまうと「日報」本にならないので、その形では売らないだろうけどねw

ともあれ、使い古されたツールである日報を、他人のために、報告のために、から、「自分のために」と再定義して売り出して本にしてしまうあたり、そういった才覚は見習いたいと思いました。

おしまい

印象的なくだり
このころの彼の言葉で印象深いのは、
「日報に数字を書くことで、毎日がクイズみたいになったよ」
ということです。
あけてもくれても数字と向き合っているうちに、彼は数字が語り出す「?」に耳を傾けるようになったのです。もの言わぬ数字から販促策や改善点を探し出し、考えるようになったということで、それを彼は「クイズを解くようだ」と表現したのです。目の前の商売に、楽しみを覚えるようになった証拠でした(P096)。

業績の悪い経営者や営業マンほど数字を敬遠しがちですが、数字を嫌わないでください。数字はあなたに、いちばんいま差し迫った課題を教えてくれる、大きな味方ですから。日報を書き続ければ必ず数字が好きになります(P098)。

行動の「意味」を言えなければ、「行動していない」と同じですよ!(P099)。

私たちの行動には、必ずといってよいほど、改善点があり、同じくらいプラス面があるのです。ただ、それを知るためには、思いつきやひらめきに頼ってはムリです。詳細に、正確に、毎日の行動を書き記し、比較検討するところからしか見出すことはできません(P115)。

お客様を訪ねる際に使う道路状況を調べました。そしたら店を出たら、車はすべて左回りでお客様を訪問できるようにアポをとるようにしたのです。
車で回るときに左回りをすれば、右折の際によくある対向車に邪魔されることがないため、スムーズに移動できます。
実際に動いてみると、この移動は左回りの渦巻き状になりました。面白半分で、「渦巻き大作戦」と名づけたものです。でも、これによってほとんどジュウタン爆撃のように、そのエリア内のお客様を訪問できるようになったのです
(P131)。

ひどい現実でも、知らないよりは知っていたほうがいいに決まってます。現実を知らなければ落ち続けるだけで救いはありませんが、正確に知れば、そのときは痛みを感じるにせよ、快方に向かう手立てがすぐに考えれます(P153)。

それぞれの案件ごとに部門化して、投入すべき人材と経営資源、売上げ目標を部門ごとに細分化しました。その上で、日報では、目標来店数と実際の訪問数、契約率を毎日書かせるよう、項目に加えたのです。なかには、数字まで毎日書かせる意味があるのかと疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし、私に言わせると、毎日細かい数字を書くことに意義があるのです。昨日からまったく売上げが上がっていなかったら、昨日と同じ数字を書かざるを得ません。筆が進まないのでしょうが、だからこそ、明日はがんばらなければという気持ちになるのです(P240)。