『メッシュ すべてのビジネスは〈シェア〉になる』

ちなみにFREEの感想はこちら

リサ・ ガンスキー
徳間書店

読後の感想
メッシュ、それは網の目のようなイメージでしょうか。
それまで点と点、個と個を結んでいたものが、情報の伝達(具体的にはインターネット)によって、複数のものと接続できるようになりました。
脳のシナプス結合や網のように見えるため、このビジネスモデルを「メッシュ」と呼ぶようです。

本書はメッシュについて書かれている、といいうよりもむしろ「既存のビジネスがいかに将来がないか」について書かれているように感じました。
しかも、薄い。
いつ本題に入るのかなぁと思ったら、終わっちゃいました(笑)

内容としては、時代が変わるに従って消費者の意識も変わり、もう消費者はメッシュの時代だよ(だからビジネスが今までと同じだったら取り残されちゃうよ)というメッセージが形を変えてありとあらゆる場所に顔を出すので、既存のビジネスモデルに従事している人はちょっと心がせつない気分になることでしょう(というかなりました

というわけでメッシュ。

「フリー」「シェア」の次はメッシュ、と言われているようですが、どちらかというと「シェア」にビジネスの視点を足した(だけ)ような感じの本です。
これから起業しようと思っている人には、アイデアの宝庫かもしれませんが、それ以外の人(僕も含めて)には、危機感を煽る印象が強いような気がします。

例えば、本書の中で触れられているのは、西欧の人々は、すぐにはメッシュにならない(つまり既存の価値観を引きずりながら、メッシュになっていくというくだり。
具体的には手紙→電報→取り次ぎ電話→固定電話→携帯電話みたいな感じ)。
しかし、西欧以外の人々はネットがつながることによって、いきなり携帯電話を持ち始める。つまり、既存の価値観を吹っ飛ばすことによって、メッシュをより使いこなすであろう、と。いやぁ、煽りすぎではないでしょうかね。

ちょいちょいでてくる、ややミスリードなポジショントークはさておきアメリカ(の最先端の様子)はこんな感じなのかなぁと、ある意味のんびり読み進めました。「フリー」は身近だったのに「メッシュ」は今一つ、と感じたのは、自分が直接的にその利益を享受していないからでしょうかね。

あと関係ないけど、ワシントン州にワラワラっていう地名があるのが笑った。
モンテローザの関係者の方におきましては、ぜひ「居酒屋笑笑 ワラワラ店」を計画していただきたいな、と思いましたとさ。

というわけでいまいちでした(本もレビューも)。

印象的なくだり
ニューヨークを憧れの大都会にしてるのは、人々が利用できるシェア・プラットフォームがたくさんあるからだ。公共のものもあれば、民間ビジネスもある。
そもそも電話線、ワイヤレスネットワーク、道路、公園、美術館やニューヨーク名物の消防車だって全部シェア・プラットフォームではないか(P010)。

メッシュ・ビジネスを展開している企業は、モバイルネットワーク、GPSなどの位置検索機能、ウェブとソーシャルネットワークの普及、顧客の購買姿勢の変化、そして歴史的に証明されているシェア・プラットフォームの利点を十分に理解し、賢く利用している(P016)。

基本的に、メッシュはネットワーク対応のシェアリングを基盤に置くーモノやサービスを所有するためではなく、モノやサービスにアクセスする手段を提供するビジネスを指す。戦略の中核は、同じ商品やサービスをいかに多くの回数「売る」か、ということにある(P016)。

サンフランシスコからワシントン州のワラワラに家族とともに引っ越した友人がいる。引っ越すときに、九つのコンテナに家財道具をおさめて倉庫会社に預けた。
引っ越しから数ヶ月後、彼女は私に電話してきて聞いた。「ねえ、前の私の言えに何があったか思い出せる?」。彼女は倉庫に預けた家財道具のほとんどを思い出せないそうで、今新しい言えにあるものだけで十分足りているのだという。結局ワラワラの家に取り寄せた荷物は、コンテナ二つ分だけだった。ついこの間まで大事に思っていたモノが、実は不用品だったということに気づいたのだという(P113)。

レジで支払った金額が必ずしもそのモノの心の価格ではないことにも消費者は気づき始めた。ガソリンをがぶ飲みする車や維持費が膨大にかかる五○○平米の家は、売りに出したときに購入価格を下回る。この五年間で大きな家は、その半分の広さしかなくても太陽光と地熱発電を備え、暖冷房効率を高める素材でつくられたエコ仕様の家と価格面で太刀打ちできなくなった(P117)。

もちろん経済における所有型モデルがすぐさま過去のものになってしまうわけではない。西欧の人々がみんな家を売って修行僧のようにモノを持たない暮らしをするようになるだろう、と私は言っていない。またそうすべきではない。私たちはやはりPC、携帯電話や新しいジーンズを自分で持ちたい。だが、西欧以外の市場では、フィルムを入れるカメラを飛び越えてデジタルカメラを、固定電話を持たずに携帯電話を持つようになった人々が大勢いて、そういう人たちは必要なモノやサービスに簡便にアクセスするための手段の選択肢を私たちより多く持つかもしれない(P118)。

メッシュ・ビジネスの先駆者には、もう一つ考慮しなくてはならないことがある。有形なモノを取り扱うことが多いため、ウェブサイトを変えるようには簡単に取り扱うものに変更を加えられないという点だ(P237)。

最近一五年間に私と仕事をしたことがある人は、もう聞き飽きただろが、私のモットーは「枠を決め、質を高め、規模を拡大する」である。メッシュであろうとなかろうと、どんなビジネスにおいても、まずは市場と、提供するモノの特徴を決定する必要がある。最初は数人の利用者を相手に仕事を始め、それからビジネスの内容やアプローチ法やビジネスモデルを磨いて向上させる。他人が自分のビジネスをどう見ているか、何と比較しているか、商品にどれくらいの価値を見い出しているか(あるいは価値をまったく感じていないか)、どんな改善を求めているかを知る(P238)。

メッシュを利用しようという顧客が気にしているのは、実は価格よりも保険の適用範囲のほうかもしれない(P240)。