『フィンランド流イクメンMIKKOの世界一しあわせな子育て』

「イクメンMIKKOの世界一しあわせな子育て」
ミッコ・コイヴマー(MIKKO KOVUMAA)

読後の感想
駐日フィンランド大使館の参事のミッコさんの子育て本。
そこかしこに出てくる子育ての環境の素晴らしさに羨ましくてため息が出ます。
例えば赤ちゃんが産まれたときにミッコさんが取得した育児休暇。
法律上の育児休暇が三週間と有給年休を二週間足して五週間の育児休暇を取得しています。
育児休暇は子どもが9ヶ月になるまでの間に三週間取れるようです。
もちろんこれは旦那さんの休暇です。
実際に自分の妻が出産するのを目の当たりにして思ったのは、
母親が一番手助けを必要とする時期に、旦那は仕事やらで忙しくて家にいない、ということでした。
その意味においてはこの夫の育児休暇は、出産したばかりの妻(と子供)へのプレゼントになるでしょう。

この本を読み進める前は、フィンランドがそもそも男性の育児休暇取得に寛容だったと思っていましたが、1980年後代までは、有名企業のCEOが「育児休暇を取得する男性は職場に復帰すべきではない(解雇されるべき)」と発言していたというから驚きでした(まぁ、逆を言えば制度自体はあったのだろうということはそれだけで幸せなことですけど・・・)。
本書はこのように今の価値観(男性は育児休暇を取得すべき)に沿って書かれていましたが、価値観をこれほど変え(られ)たのは一体いかなる方法によるのか、いかなる理由によるのかというところがもっと知りたかったです。

ミッコさんの文章すべてに一貫して共通しているのは、子どもをきちんと人格として扱っていることです。子どもはモノではありませんし、ただ大人に従属するだけの存在ではないということです。

子どもというものは親の注目を一身に受けることに喜びを感じるものだといいます。僕は子どもたちと過ごすときには、彼らだけに集中することにしています。その時間だけは、パパは誰にも邪魔されない存在でいるべきです。僕が思うに親と子の良質な時間を邪魔する最大の敵は、携帯電話です。携帯電話端末で世界的なシェアを誇るノキアの母国であり、SMSが発明された国から来た僕がこう言うのは少し気が引けますが、携帯電話は人と人とをつなぐものであると同時に、逆に作用することもあると思います。

人間は1度にひとつのチャンネルでしかコミュニケーションをとることはできません。つまり、携帯電話で通話したり、メールを打ったり、Facebookで誰かと思いを共有したりしているときには、そばにいる人間を閉め出していることになるのです。だから僕は子どもたちの前では携帯電話を使わぬよう、ベストを尽くしているつもりです。「携帯電話のパパ」にはなりたくないからです。子どもという存在は、そうするに値するもの。そして彼らは親の「心」がそこにないことに敏感に気づくものです。僕自身仕事に追われて携帯電話を握りしめていたときに、息子から携帯を置いてちゃんと自分たちと遊ぶように、と言われたことがあります(P.129)。

この携帯電話のくだりは僕も強く感じていたことでした。
普段携帯電話で行動の記録をつけたりしていたのですが、ムスメといるときは携帯電話はなるべく目の見えるところに置かないようにしています。
その結果、携帯電話でログが取れなくなりましたが、これで良かったのかなぁと思っています。
ムスメには「後で」はなくて「いま」しかないので。

本当にステキな一冊でした。
そして、「先ず隗より始めよ」です。

印象的なくだり

保育サービスに対する需要と不足しがちな供給とのギャップを埋めるため、1970年代には新たな社会改革が行われました。”家庭保育士”の誕生です。その多くは母親で、自宅に実子を含む最大5人までの子どもを受け入れ、保育する人のことを指します。この職に就くには講習を受けることが義務づけられており、彼女たちへの給与は地方自治体や子どもを預けた親から支払われます(P.033)。

日本でもそうですが、まずは預けるところ、器が必要な訳です。
日本の場合、認可保育園とは別に無認可の保育所みたいなものを設けて差分を埋めていますが、この制度はもっと初期投資が不要な方法ですね。

フィンランドでは所有者の許可なしで、森の中を自由に歩くことができる「自然享受権」という権利が保証されています。
その中では自然の恵みとしてベリーやキノコを摘むことも許されているので、皆さんが旅行でフィンランドを訪れた際にも、国立公園の中やヘルシンキ郊外の森などで自由にベリーを摘んで家に持ち帰り、そのまま食べるだけではなく自家製のジュースやジャム、パイなどを作って長い期間楽しみます(P.044)。

たまに朝の支度が遅くなり、急がなければならないときがあります。でも急ぐことは子どもにとって好ましいことではありません。小さい子どもにとって急ぐということを理解するのは難しいし、ことを急ぐ両親の発するストレスに不安になってしまうかもしれません。仕事や保育園に遅れるのは、子どもたちのせいではなく、親が支度を始めるのが遅かっただけなのです(P.117)。

自戒をこめて。
後でムスメに謝ろう。