『ひと月15万字書く私の方法』
佐々木俊尚
読後の感想
読む前はどのような内容なのかとドキドキしていたが、読んでみると手品の種明かしをされたような気分でした。
つまるところ、筆者は文章を「書いている」のではなく「まとめている」のだということでした。
ざっくり書くと、筆者の書き方は、テーマを設定した後、そのテーマに関する情報の収集から始まって、まとめと並び替え、そして物語にする、という流れ。
どちらかと言うと、邪道な感じもしましたが、これはこれでアリなのでしょう。
なにしろ、この方式だと確かにたくさんの文字を書けることは間違いないからです。
(でも、そこそこ頭がいい人じゃないと、上手な物語が書けないよね)。
このやり方について批判的な人も多いかと思いますが、個人的にはテーマ選びさえ間違わないようにすれば(学問として長期的な理解が必要な分野以外であれば)かなり使える手なんじゃないかと思います。
実際に自分もエバーノートの使い方をこのやり方に変えてみたら、かなりまとめ易くなったし。
印象的なくだり
まず情報収集から原稿の完成へといたる全体の流れを押さえておきましょう。
原稿作成は、以下の4段階によって流れ作業のように行われます。① テーマの設定
② 情報集約フレームワーク
③ 構造化フレームワーク
④ 物語フレームワークこの流れ作業を、わかりやすい日本語で言い換えてみましょう。
「原稿のテーマを設定し、そのテーマをもとに情報を集め、集約した情報を構造化していく。そうして構造化された情報から物語を抽出し、原稿を完成させます」
まず最初に行うべきなのは、①のテーマ設定です。当たり前のことと思われるかもしれませんが、このテーマ設定をきちんと行わないと、情報集約から手当り次第に漫然と情報収集を行っても、ムダ撃ちが多すぎて効率的な作業になっていきません。
そうして集めた情報は、集約されなければなりません。あちこちに散らばったままでは、ムダに場所を取るばかりです。大切なのは、
「集めた情報をリストとして一覧表示できるようにする」
ということです(P.010)。
あまりにもタグが増えてしまうと、逆に目的の記事を探しにくくなってしまう可能性が出てきてしまいます。タグはもちろんキーワード検索もできるのですが、タグの使い道としては「検索して何かのタグを探す」というようなやり方よりは、「タグのリストを眺めて目的のジャンルの記事を探す」という方法のほうが本書の目的にかなっています(P.110)。
これは目から鱗の発想でした。スゴイ。
タグを眺める、と同時に自分の今まで集めてきたものがブラウズできるということですね
準備リストを作成する
これは基本的には、きわめて単純な作業です。やらなければならないことは、ただひとつ。
「deliciousやEvernoteに集約されている情報をひとつひとつ読んでいって、それらの短い要約をWZ EDITORに記入していく」という作業です(P.117)。