大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然

 「大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然」なんて時代はとっくに過ぎて、今や大家さんの顔すら知らないのも珍しくなくなってきましたが(挨拶

 まことに私見ですが、建物住居なんてもんは、借りるまでは大家さんが強いのですが、借りてしまえば圧倒的に店子が強いです。といっても、一般的な場合ではなく特殊事例。
 家賃も払わずに、住み続けられた場合、不動産屋としては結構(いや、かなり)困ります。そういった意味で店子が強い。

本題。

 家賃保証とか一括借り上げとかのお話。
 土地が右肩上がりの頃、大東建託など大きい企業なんかが、よくお話を持ってきていたそうですが、土地持ちのおうちに営業マンがやってきて、ばら色の収支計画のお話をしたそうです。
 いわく、マンションなんか建てて、家賃収入でウハウハ、仮に入居者がいなくても、共済会なんて組合に毎月家賃の数バーセント会費として支払えば、毎月の家賃の九割くらいは保証しますよ、と。

 ところが、一昨年四月施行の改正貸金業法で、この家賃保証の制度の「賃料保証事業」が保険業に該当することになったらしい。まぁ、冷静に考えれば、家賃保証は保険そのものなんだけど。

 というわけで、共済会は解散、大東建託の場合、子会社が引き継ぐことに。

 そして家賃保証ができなくなったから、次に出てきたのが一括借り上げという仕組み(本当は結構前からあったけど)。子会社と所有者の間で賃貸借契約を結び、全部子会社が借りてくれることになる。そして、入居者と子会社とで転貸借契約を結ぶということ。

 じゃあ、部屋が空室でも、所有者は家賃が保証されて万々歳じゃないかとなるかと、さにあらず。

 この話の肝は「賃料が大東建託(の子会社の)言い値」だということ。しかも、特約に大東建託側に有利な条項が目白押しだという。

 こういった形を取る建物は、主に単身者用の建物。はっきりいって、今後人口が減るのは確実なので、ターゲットの大学生・社会人の単身向けの建物は供給過多になるでしょう。
 今後、この手の契約がどうなるのか、他人事ながら心配ではあります。