『このミステリーがすごい!2024年版』宝島社

『このミステリーがすごい!2024年版』宝島社

毎年楽しみにしているムック本、それがいわゆる『このミステリーがすごい!』。ランキングが絶対的なものではないにせよ、その中から見事1位に輝いた米澤穂信の『可燃物』、3位に位置する東野圭吾の『あなたが誰かを殺した』、7位の小川哲の『君のクイズ』。これらの作品に触れ、書評を読むうちに、興奮が募り、私も読むことを決意しました。

ランキングのトップに立つ米澤穂信の『可燃物』は、早速購入済です。
そして、小川哲の『君のクイズ』は、特にクイズ好きのミステリーのファンにとっては絶対に読み進めたい作品です。『君のクイズ』がランキング7位に入るだけでなく、この本内での特別対談にはクイズノックの河村拓哉さんと小川哲さんが登場しており、背景読みの中にはたまらないです。対談の中で彼らの意外な共通点が浮かび上がり、作品の舞台裏に迫ることで、『君のクイズ』がより身近に感じられることでしょう。

この本を手にすると、単なるランキングだけでなく、各作品の魅力や奥深さに触れることができます。そして、中でも特別対談の存在は、読者にとって新たな視点を提供し、作品の裏側に迫る機会となるでしょう。ミステリーの世界に没入し、予測不可能なサスペンスや心理描写に挑戦したい方にとって、この一冊はまさにおすすめの宝物と言えるでしょう。

印象的なくだり
河村:
共感という点でいうと、サッカーの試合をテレビで観てもサッカーをやったことにはなりませんが、クイズ番組は観ながら一緒に問題を解けるのも大きいでしょう。
(P.126)。

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『ガチャガチャの経済学』小野尾勝彦著

『ガチャガチャの経済学』小野尾勝彦著

読後の感想
大人になっても物を合理的に持たない方針を持っている自分ですが、最近、身の回りで頻繁に見かけるガチャガチャには非常に興味を抱いています。かつては無関心で、あの「コップのフチ子さん」すら知らなかったほどでした。しかし、この本を読んで、自分が古い常識の中で生きていたことに気づかされました。

自分が知らない間にガチャガチャは進化し、かつての「キン肉マン消しゴム」の時代とはまったく異なる構造に変貌しています。今日のガチャガチャ業界は、企画からリリースまでの基本3ヶ月の短いサイクルで構築され、各ベンダーが独自の特色を打ち出しています。再販しないポリシーから生まれるレアアイテムは多く、高いコレクターズアイテムとしての価値があります。

市場の規模を見ると、カプセルトイ市場は約610億円という巨大な存在となっています。2002年から2020年までは200億円から400億円の範囲で推移していましたが、2021年から急激に成長し、2022年には約610億円に達しました。2022年の成長率は前年比35.6%という異例の数字です。ちなみにUFOキャッチャーなどのクレーンゲーム市場規模は2330億円で、ガチャガチャの4倍にも及ぶそうです。

驚くべきは、現在のガチャガチャの製作プロセスです。企画から製造、流通までメーカとオペレータ(代理店)が原価計算を徹底的に行い、高品質を確保しています。従来の軒先商売とは異なり、イオンモールなどの一等地に出店するビジネスモデルが確立されています。

一方で、何が出るか分からないサプライズ感や射幸心を煽る手法により、無意識にコインをどんどん投入してしまう様子も見受けられます。両替機が絶えず利用されている光景もあります。これらの事実から、ガチャガチャがまだまだ伸び代があるビジネスであることが示唆されます。新しいアイデアやユニークなコンセプトが続々と生まれ、業界は着実に成長しているようです。

ガチャガチャの基本構造は「メーカー」「オペレーター(代理店)」「販売店」の3つで、特に拡大している「ガチャガチャ専門店」は、オペレーターが販売店の機能も担う形態と言えます。在庫リスクはオペレーターが負担し、利益の分配はメーカーが50%(うち工場が20%)、オペレーターが30%から35%、販売店が20%から15%程度となっています。企画から製造までの所要時間が約3ヶ月が主流であり、新規参入を考えるならば、既に寡占状態にあるオペレーターは難しく、販売店の集客も一苦労と考えられます。まずはメーカーの企画側に参加することが有益でしょう。

ガチャガチャは従来、コインを使用する前提でしたが、現代においてはQRコードやSuicaなどを読み取れるマシンが登場しています。これにより、コインを使わずに利用でき、両替機が不要となるだけでなく、価格設定も柔軟に行えるようになりました。つまり100円単位に限られないということで、例えば、777円なんて値付けも可能ということです。

これらの情報を得て、ガチャガチャは単なる子供の遊びだけでなく、ビジネスとしても興味深い分野であることが明らかになりました。未知の世界に触れる喜びと、進化し続けるガチャガチャの魅力に引き込まれています。

印象的なくだり

ガチャガチャの発祥地はアメリカだった
そもそも現在のようなガチャガチャの歴史はどこから始まったかというと、今から140年以上前の1880年代にアメリカのニューヨークでチューインガムやキャンディ、鉛筆、香水などが無人販売機で販売されていたのがルーツだと言われています。設置場所は駅のプラットフォームやタバコ屋でした。当時はカプセルに入っておらず、むき出しの状態で入っていたようです。
1940年代に入ると、マシーンの中にガム以外にセルロイド製の小さな玩具を混ぜて売るようにしたところ、この玩具目当てにハンドルを回す子どもたちが増え、いつの間にか玩具だけが独立して売られるなりました。疲れて泣き叫ぶ子どもたちをなだめるのに便利ということで、「シャラップ・トイ」と呼ばれたそうです。これが現在も受け継がれる「何が出てくるかわからない」要素を備えたガチャガチャの原型です。その当時もカプセルに入っておらず裸のまま出てきたので不衛生でした。また、マシーンの故障が多くて大変だったようです。1940年代後半からカプセルの中に入れる現在の形になりました。この時代から第二次世界大戦を挟んだ1960年代まで、カプセルの中身の玩具をつくっていたのは、実は日本の会社でした。東京の葛飾区や墨田区にある町工場がつくったミニチュアトィをアメリカの会社へ輸出していたのです。日本でつくられた玩具がアメリカの子どもたちのコレクショントイになっていたわけです(P.031)。

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『清張鉄道1万3500キロ』赤塚隆二著

『清張鉄道1万3500キロ』赤塚隆二著
読後の感想
松本清張の作品には鉄道がよく登場するのは、有名な話である。それは松本清張が乗り鉄だったというわけではなく、時代背景と連載作品が影響しています。たとえば『点と線』が連載されていたのは日本交通社の『旅』という雑誌だったします。
つまり、読書と鉄道の愛好者なら、必然的に松本清張のファンになることでしょう。しかし、この本は単なるファンの域をさらに一歩進んで、全作品の中で登場人物がどの鉄道に乗ったか、そして誰が最初に乗ったかを調査し、それを鉄道地図にまとめた作品なのです。
このアイデア自体は同人誌の域を超えるものであり、それを実際に本として出版するまでのプロセスは前代未聞のものでした。資料の収集、作品への仕上げ、そして構成の難しさが結実した、まさに驚くべき一冊です。解説では酒井順子氏が「松本清張をこよなく愛する人のこと」を「シャーロキアン」をもじって「セイチョリアン」と呼んでいますが、私もその一人として、楽しく本を読むことができました。

本書には、例えば「何々線を最初に乗車したのは『何々』という作品の何某」といった表記が散りばめられています。これを理解するには、当然ながら作品を読んでいる必要があります。なぜなら、この本を手にするような読者は、ほとんどの作品を読んでいることが期待されるからです。もちろん、私もその一人です。

こうした独特のアプローチにより、読者は自ら選択する楽しみが生まれます。率直に言って、この本は面白い試みを実現した結果、素晴らしい作品に仕上がっています。最後の資料編は特に貴重であり、これを大切に扱いたいと感じています。
松本清張が愛した鉄道の世界をこのような視点から垣間見ることができるのは、まさにファンとしての特権です。赤塚隆二氏の『清張鉄道』は、文学と鉄道愛が交錯する独自のエッセンスを持ち、読者に深い感動を与えてくれることでしょう。
この本を手に取ることで、松本清張の作品に新たな解釈を加え、彼の鉄道愛がどれほど深いものであったかを垣間見ることができます。松本清張の世界観と鉄道の融合が、読者にとって興味津々な冒険へと誘ってくれます。

ちなみにこの本は、福岡県小倉市にある松本清張記念館を訪問した際に地下一階の図書室で初めて知りました。興奮のあまり、その記念館を出た瞬間にネットでポチってしまいました。

なお、いうまでもありませんがタイトルの『清張鉄道1万3500キロ』は、宮脇俊三氏の『時刻表2万キロ』のオマージュでしょう。

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東野圭吾の小説『私が彼を殺した』を69ページから96ページまで読みました。

東野圭吾の小説『私が彼を殺した』を69ページから96ページまで読みました。

今日の簡単な感想
駿河直之の章では、彼が浪岡準子に惹かれていたが、穂高誠を紹介したことで振られる展開が描かれています。
同じく雪笹香織の章では、彼女も以前穂高誠と交際し、神林美和子を紹介したが振られた経緯が浮かび上がります。
興味深いのは、駿河と浪岡、雪笹と神林の関係がパラレルに進行しており、東野圭吾が緻密に描く人間関係が小説の魅力となっています。
この巧妙な構図が物語に深みを与え、読者にとって引き込まれる要素となっています。

どっとはらい
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理想的な日曜日の過ごし方

今日はランチは家族で焼肉、その後、スーツとワイシャツを買ってきました。
スーツは今までの暗い感じではなく、ちょっとだけ明るめの色にしました。裾直しに1週間程度かかるので、出来上がりが楽しみです。
ワイシャツは二着購入したので、総量規制によって二着手放すことにします。
ワイシャツはほぼ毎日着ているので、なかなか劣化も早いのですが、いま持っているシャツはどれもお気に入りなので困っています。
妥協策として、夏用のポロシャツを一枚、ワイシャツを一着、手放そうかと悩み中です。

夕方からスポーツジムに行きました。
ストレッチ+筋トレ+ランニング+シャワーで約1時間のリフレッシュです。
ランニング時には「アニメを見る」というご褒美付きにしたので、今日は『葬送のフリーレン』の第4話を見ました。
第4話では、ドワーフのアイゼンが登場して、フランメの手記を探し、北の果てに目的地を設定するというお話でした。
しかしながら、惰性で第4話まで見ていますが、いまいちこのアニメの面白さがよく理解できません。
ストーリーがあるようなないような、物語があるのかないのかさっぱり分からないまま見続けています。

それから、東野圭吾の『私が彼を殺した』を読み始めました。今日は1ページから69ページまで読み進めました。
「私が彼を殺した」は、東野圭吾ならではの独特かつ洗練された筆致が光る作品ですね。
特に章ごとに異なる一人称視点で進む構成は、読者を物語に引き込む魅力的な要素の一つです。
現段階で明らかになった登場人物たちの複雑な心情や関係性が、物語の深みを増しています。
穂高誠のひどい行動や高圧的な態度、そして美和子と神林貴弘の兄妹関係の秘密といった要素が、読者にさまざまな疑問や興味を抱かせています。
これからの展開では、これらの要素がどのように絡んでいくのか、どのような影響を物語に与えるのかが気になりますね。
特に、穂高誠が兄妹の秘密に勘付いているかもしれないという点は、物語に新たな謎や緊張感を与えています。
東野圭吾の緻密なストーリーテリングと巧みな伏線が、これからの展開で一層複雑に絡み合っていくことでしょう。
未知の真相が明らかになる瞬間を待ちながら、物語の舞台裏に潜む秘密に迫っていくことが楽しみですね。

どっとはらい。
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