能率手帳の流儀

能率手帳の流儀
野口晴巳

読後の感想
 日本能率協会の代表取締役を務める筆者の手帳を通じて、生き方について書かれた本です。

 最近の手帳の本にしては、珍しく、全文を通じて、図や絵などを一切ありません。手帳の使い方というよりも「なぜ手帳を使うか」に主眼をおいているからだと思います。あくまで手帳は手段であることを強調しています。

 非常に柔らかい語り口で、非常に読みやすく感じました。

 とてもいい本なのですが、欲を言えば、この人だからこその言葉が欲しかったです。内容としては、どこかで読んだ内容が多かったです。

印象的なくだり

三十代のころ、私のつたない手帳に書き出した文言がどれも今ひとつだったのは、具体性がなかったからです。
今すぐなにをやるのかが明快でない。
だから、望みばかりで実行がともなわず、そのうち挫折してしまうのです(P030)。

手帳は「To Do」から入るよりも、まず「やったこと」を書いてみればいいのです。そのほうがはるかにかんたんです(P036)。

毎日自分の行動を書き出し、振り返り、考える。
それを実行する機会がないから、自分が進歩しているのか、停滞しているのかもわからないのです(P054)。

ところで私はあまり口うるさいほうではないと思うのですが、この朝のセレモニーで一瞬だけ顔を曇らすときがあります。
それは、こういう報告を受けたときです。
「役員会が十時からあります」
なぜこれがいけないのでしょうか?
仕事のスケジュールは、時間が最優先となります。
ですから、正しくは「十時から役員会があります」というべきなのです。
こういわれてはじめてすっーと頭に入ります(P092)。

どうやって活用するか
現在使っている手帳をもっと好きになろうと思いました。
まさに「どこでもいっしょ」にしようと思いました。
それから読んだ本をリスト化して傾向をつかむというのは面白い発想なので、実行してみたいと思いました。

おりこうさんおばかさんのお金の使い方

おりこうさんおばかさんのお金の使い方
幻冬舎
板倉雄一郎

読後の感想
 文章自体が読みやすく、身近な例を挙げて書かれているので理解はしやすい。
 ただ内容自体は薄く、その書き方も余り論理的整合性がないので、読み終わったあと著者の言いたいことだけを聞いた感じになる。

印象に残ったくだり
ポイントを貯めるという行為は、現金を支払って、その店でしか使えないポイントを購入するという行為に他ならないのです(P013)。

最も賢いポイントシステムの利用方法は、買い物のたびに、可能な限りポイント残高を少なくするように努めることです(P014)。

配当は、起業の株主価値の一部を取り崩すことによって行われます(P130)。

行きそで行かないとこへ行こう

行きそで行かないとこへ行こう
新潮社
大槻ケンヂ

読後の感想
 大人になったら自分の価値観と会わないところにはめっきりご無沙汰になる、そこで自分のテリトリーをちょっと抜け出し行ってみようという本。この考えには共感した。

 素直な文体にはいつも率直さを感じてよい。ついついカレーライスが食べたくなる文章は秀逸。ホモ映画館は興味津々(でも多分行かないと思う)。

千円札は拾うな。

千円札は拾うな。
サンマーク出版
安田佳生

読後の感想
 当初は経営者向きの本だと思って読み始めた。
しかし、読み進むと実はそうではなく、人生を生き抜く全ての人に向けられた本だと気づいた。

 常識という千円札に流されず、本当の成功という一万円札(もしくはそれ以上)をつかむには何に気づけばよいのか、と問いかける本である。

 タイトルのつけ方が秀逸。タイトル勝ちですね。

印象の残ったくだり
成長できる人は、間違った階段を上らなかった人ではない。
間違えたと気づいた瞬間に、躊躇せずに今いる階段から飛び降りることができた人間なのだ(P035)。

人材に投資する場合、大切なのは、何にお金を使うかではなく、それによって、その人が何を得、どう変わるかだ。人材が得るのは「物」ではない(P072)。

本来、ものを買うという行為において、最も大切なのは市場価値ではなく、その人にとっての価値であるはずだ。
だから、お金には「上手な使い方」はあっても、「正しい使い方」はない(P096)。

人が生きていく上で必要なのは、お金そのものではない。必要なときに必要なお金を作り出すことの出来る能力を身につけることである。
だからお金は、貯金するよりも、能力を身につけることに使ったほうがはるかに生きた使い方だと言える(P098)。

男性のどこを見れば将来大成するかどうかがわかるのだろう。
ポイントはふたつ、「お金の使い方」と「時間の使い方」である。
形のあるものはお金を使うが、形に残らないものへの出費は惜しむという男は大成しない。
自分の時間には価値があると思い、意識して時間を使っているかどうか(P114-P116)。

いい男をつかまえようと思うなら、今すでに彼女のいる男の中から探す。これが鉄則である。
大切なのは彼女と別れそうになったとき、自分のところに連絡が入るような仕組み作りをしておくことだ
(P118)。

人生において最も大きなリスク。それは、周囲の人の常識に流されて、本当のリスクを自覚しないまま生きていくことだ。
リスクのない人生などこの世には存在しない
(P158)。