『図解ユニクロ』

『図解ユニクロ』

読後の感想
ユニクロが成功したのは単に商品の良さだけではなく、ビジネスモデルがよかったから、ということ
世界で通用するビジネスモデルを作り上げたという事で、他社との比較を含めて詳細に書かれています。
ユニクロの差別化は大きく分けて
・商品そのもの(改良も含めて)
・流通構造を変えて低価格へ
を中心的に書かれています。
真のイノベーターは既存のシェアを拡大するだけではなく、そもそも市場そのものを拡大するといいますが、ユニクロはまさにその好例です。

進地君のユニクロ感として「日本のおじさんをオシャレにした」というものがありましたが
まさにその通り。わたしめも含めてオシャレになりました(笑

光と闇や姓名を変えての侵入取材など、アレコレ言われていますが
個人的には経営者として尊敬しています。個人的には。
もちろん、従事するかどうかはまた別の話です。

印象的なくだり

カナ表記はファーストリテイリングとなっているが、FAST RETAILINGという英語表記を正確にとれば、ファストリテイリングとなる。
意味は、「素早い」「小売業」というもので、消費者のニーズを素早くくみ取って販売する会社ということだ。
ファーストは一番という意味ではない(P.023)。

そうそう、ユニクロというのは会社名ではないんですよね。

小売業にとって売上を伸ばすための最大の手法は出店を増やすことにある。1店舗より10店舗、10店舗より20店舗と店舗数が増えれば増えるほど、その増加した店舗の売り上げが上積みされる。
既存店がよほど落ち込まない限り、新規出店分の売上により、高い成長を見せているように外部からは見える(P.037)。

小売業に従事するものとして肝に銘じた一文。

英国進出も失敗を重ねた。
2000年に英国に現地法人を立ち上げ、翌年に1号店を出し、2年間で21店舗まで増やした。
相変わらずユニクロらしいハイペースの出店だったが、運営方法を英国式に合わせたために、経営が軌道に乗らなかった。
これは海外進出した日本企業に共通の失敗で、現地に進出する際には現地の方式に合わせようとする。
英国は厳格な階級社会で、店にゴミが落ちていても店員が拾うことをしない。
拾う仕事の人がいるので、誰もが拾っていいわけじゃないのだ。
同様にお客が広げた服をたたむのにも専任の店員がいる。
こうした習慣に任せたことから、店内は荒廃し、日本のユニクロ店舗のような清潔さもなく、客足は遠のくという悪循環。
これに対してユニクロでは進出から2年で方針転換、収益化している5店舗を残して一斉に店舗を閉鎖。
また、英国式ではなく、日本式の店舗運営を採り入れた。
店員が挨拶し、ゴミがあったら誰でも拾い、広げた服は見つけたものがたたむ、という日本では当たり前の店舗運営に切り替えたのだ。
今ではクールジャパンとして、日本式のやり方が当たり前になっているが、当時は劇的な転換だった。
ユニクロがクールジャパンを作ったといえるかもしれない(P.062)。

柳井正氏発言録
「会社経営に置いては、会社も個人も「成長しなければ死んだも同然だ」と私は確信しています」(06年ユニクロ念頭挨拶より)(P.183)。

『成功はゴミ箱の中に』

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「成功はゴミ箱の中に」
レイ・クロック

読後の感想
読み終わってから表紙をもう一度きちんと確認する。
これ「自伝」なんだよねぇ、「自伝」。
ライターと共著では書かれているのですが、あくまでも「自伝」。
なんかこう、ものすごくいいものや体系的に整理されたものを
期待して読むと若干がっかりするかもしれません。

52歳から全く畑違いのファーストフードの世界に飛び込み、
いまや世界一ともいえるフランチャイズチェーンを作り上げる、という
それは普通の人では考えられないようなことをやってきている訳なので、
理解の範疇を越えているのは当たり前なのですが、
奥さんと離婚して人妻にプロポーズし、
それに振られると、たまたま出会った人と結婚。
その後くだんの人妻が「やっぱり、わたしあなたのことが・・・」(想像)なんて言われると
すぐに離婚して、(元)人妻と再婚、と、やっぱりでたらめな人だなぁと感じました。

それにしても仕事に対する情熱は時代背景を割り引いたとしてもすごい。
その根底にあるのは、「お客様に対するサービス」の意識の違い。

ただ、自伝は飾っていないのか意図的なのか
悪役に徹していると読みとれることも多く、
多少の割引が必要なのかなぁと思う部分もしばしばあります。

ユニクロをきてiPhoneをいじりながら、ハンバーガーを食べるのが好きな方は是非。

印象的なくだり
良き管理者は不正行為を嫌う。
部下が誠実に働きつつも、時に犯してしまうミスならば許容できる。
しかし不正行為には強い意志で処置を取るべきだ(P.111)。

こうした改良の目的は、従業員の仕事を簡素化し、能率を上げることだった。
そのほかのコスト削減、在庫管理などといった考慮すべき事項は、
確かに重要ではあるが、我々には実際に作業する従業員がいちばん重要だった。
我々の作業工程において、製品は従業員を中心にして、貫流しなくてはならなかった。
さもなければ、工場全体が行き詰まってしまう(P.163)。

マクドナルドのレストランは、アメリカの中小企業の最たるモデルであり、
夫妻で協力し合うのは我々の基本原則であった。
主として、夫が経営やオペレーションに注意を払い、
妻が帳簿をつけ人事を取り仕切る、といった相互利益の仕組みは会社の全レベルにも応用できる。
だから私は、常にオーナーの夫人たちには夫の仕事には関わるように勧めている。
彼が汗水たらしてハンバーグを焼く担当であろうと、
高級机の向こう側で書類を相手に仕事していようと、
一人より二人のほうがよいに決まっているのだから(P.165)。

競争相手にスパイを送り込むべきだと真剣に言う人間もいた。
信じられるだろうか。ドナルド・マクドナルドがスパイだったなんて!
そんなばかげた考えに対する私の回答はこうだ。
「競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればいい。
知りたいものは全部転がっている」
私が深夜二時に競争相手のゴミ箱を漁って、
前日に肉を何箱、パンをどれだけ消費したのか調べたことは一度や二度ではない(P.182)。

「レイ、私はあなたから多くの注文を頂いたことへの感謝を、何らかの形で表したい。
あなたの店に何かあげられるものはないかなーサインや時計ー何がいいかい?」
「なあハリー、君は私という人間をよく知らない、それに免じて今回は許そう」と私は言った。
「だが、最初で最後だからはっきり話そう。私は良い製品以外、何もいらない。
これからは、ワインを送ったり、ディナーに誘ったり、
クリスマスプレゼントを買ったりしないでくれ。
コストを下げられるのなら、その分をマクドナルド店の
フランチャイズパートナーたちに還元してほしいんだ」(P.217)。

やり遂げろーこの世界で継続ほど価値のあるものはない。
才能は違うー才能があっても失敗している人間はたくさんいる。
天才も違うー恵まれなかった天才はことわざになるほどこの世にいる。
教育も違うー世界には教育を受けた落伍者があふれている。
信念と継続だけが全能である
(P.322)。

ここからはあとがき(ロバート・アンダーソン)
クロックの本当の貢献はアメリカ人の味覚を標準化したことではなく、
マクドナルドのフランチャイズシステムをつくり上げたことである(P.331)。

あとがき対談(柳井正)
レイ・クロックの印象的な言葉が載っていて・・・・・・。
「Be daring(勇気を持って)、Be first(誰よりも先に)、Be different(人と違ったことをする)」
これこそ商売の真髄だと思って、手帳に書き写したのを覚えています(P.340)。

本来、新しく始める事業とはユニクロの力がいきる業種、
もしくはプラスの相乗効果が望める業種でないといけない。
そうでなければ新しい事業に進出する意味はない。
これ、当たり前のことです。原理原則です。僕も一応原理原則だと知っていました。
けれども本当の意味では、この原理原則を「わかっていなかった」。
わかるというのは身に沁みることです。
自分で体験して、これが原理原則なんだなと実感しない限り、
その後の行動指針にはなりません。
僕は「知った」のではなく、「わかって」よかったと思っています(P.362)。