『成功はゴミ箱の中に』

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「成功はゴミ箱の中に」
レイ・クロック

読後の感想
読み終わってから表紙をもう一度きちんと確認する。
これ「自伝」なんだよねぇ、「自伝」。
ライターと共著では書かれているのですが、あくまでも「自伝」。
なんかこう、ものすごくいいものや体系的に整理されたものを
期待して読むと若干がっかりするかもしれません。

52歳から全く畑違いのファーストフードの世界に飛び込み、
いまや世界一ともいえるフランチャイズチェーンを作り上げる、という
それは普通の人では考えられないようなことをやってきている訳なので、
理解の範疇を越えているのは当たり前なのですが、
奥さんと離婚して人妻にプロポーズし、
それに振られると、たまたま出会った人と結婚。
その後くだんの人妻が「やっぱり、わたしあなたのことが・・・」(想像)なんて言われると
すぐに離婚して、(元)人妻と再婚、と、やっぱりでたらめな人だなぁと感じました。

それにしても仕事に対する情熱は時代背景を割り引いたとしてもすごい。
その根底にあるのは、「お客様に対するサービス」の意識の違い。

ただ、自伝は飾っていないのか意図的なのか
悪役に徹していると読みとれることも多く、
多少の割引が必要なのかなぁと思う部分もしばしばあります。

ユニクロをきてiPhoneをいじりながら、ハンバーガーを食べるのが好きな方は是非。

印象的なくだり
良き管理者は不正行為を嫌う。
部下が誠実に働きつつも、時に犯してしまうミスならば許容できる。
しかし不正行為には強い意志で処置を取るべきだ(P.111)。

こうした改良の目的は、従業員の仕事を簡素化し、能率を上げることだった。
そのほかのコスト削減、在庫管理などといった考慮すべき事項は、
確かに重要ではあるが、我々には実際に作業する従業員がいちばん重要だった。
我々の作業工程において、製品は従業員を中心にして、貫流しなくてはならなかった。
さもなければ、工場全体が行き詰まってしまう(P.163)。

マクドナルドのレストランは、アメリカの中小企業の最たるモデルであり、
夫妻で協力し合うのは我々の基本原則であった。
主として、夫が経営やオペレーションに注意を払い、
妻が帳簿をつけ人事を取り仕切る、といった相互利益の仕組みは会社の全レベルにも応用できる。
だから私は、常にオーナーの夫人たちには夫の仕事には関わるように勧めている。
彼が汗水たらしてハンバーグを焼く担当であろうと、
高級机の向こう側で書類を相手に仕事していようと、
一人より二人のほうがよいに決まっているのだから(P.165)。

競争相手にスパイを送り込むべきだと真剣に言う人間もいた。
信じられるだろうか。ドナルド・マクドナルドがスパイだったなんて!
そんなばかげた考えに対する私の回答はこうだ。
「競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればいい。
知りたいものは全部転がっている」
私が深夜二時に競争相手のゴミ箱を漁って、
前日に肉を何箱、パンをどれだけ消費したのか調べたことは一度や二度ではない(P.182)。

「レイ、私はあなたから多くの注文を頂いたことへの感謝を、何らかの形で表したい。
あなたの店に何かあげられるものはないかなーサインや時計ー何がいいかい?」
「なあハリー、君は私という人間をよく知らない、それに免じて今回は許そう」と私は言った。
「だが、最初で最後だからはっきり話そう。私は良い製品以外、何もいらない。
これからは、ワインを送ったり、ディナーに誘ったり、
クリスマスプレゼントを買ったりしないでくれ。
コストを下げられるのなら、その分をマクドナルド店の
フランチャイズパートナーたちに還元してほしいんだ」(P.217)。

やり遂げろーこの世界で継続ほど価値のあるものはない。
才能は違うー才能があっても失敗している人間はたくさんいる。
天才も違うー恵まれなかった天才はことわざになるほどこの世にいる。
教育も違うー世界には教育を受けた落伍者があふれている。
信念と継続だけが全能である
(P.322)。

ここからはあとがき(ロバート・アンダーソン)
クロックの本当の貢献はアメリカ人の味覚を標準化したことではなく、
マクドナルドのフランチャイズシステムをつくり上げたことである(P.331)。

あとがき対談(柳井正)
レイ・クロックの印象的な言葉が載っていて・・・・・・。
「Be daring(勇気を持って)、Be first(誰よりも先に)、Be different(人と違ったことをする)」
これこそ商売の真髄だと思って、手帳に書き写したのを覚えています(P.340)。

本来、新しく始める事業とはユニクロの力がいきる業種、
もしくはプラスの相乗効果が望める業種でないといけない。
そうでなければ新しい事業に進出する意味はない。
これ、当たり前のことです。原理原則です。僕も一応原理原則だと知っていました。
けれども本当の意味では、この原理原則を「わかっていなかった」。
わかるというのは身に沁みることです。
自分で体験して、これが原理原則なんだなと実感しない限り、
その後の行動指針にはなりません。
僕は「知った」のではなく、「わかって」よかったと思っています(P.362)。