『お金を稼ぐ!勉強法』

読後の感想

『週末起業』で知られる著者。

僕の視点では決して思いつかないことをバンバン書いてくれるいい本に出会いました。
著者の考え方はいたってシンプルなトップダウン方式。
どうやったら稼げるか?が念頭に有り、あくまで資格や勉強などはその手段にしか過ぎない、しかも、先に肩書きをつけてしまえば後から実力がついてくる、なんて僕には思いつきもしませんでした(褒めてます

と書きつつも、稼ぐことに対して真剣な分だけ、お金を貰うことや意味についても真剣に書かれています。
著者はただお金のことを考えている「だけ」ではないのです。

僕自身は本書の中で書かれている

自分の立ち位置が把握できていなければ、勉強は逆効果になりかねません。たとえば、コミュニケーションスキルが足りず、職場で苦戦している人が、いきなり法律の勉強を始めて「コンプライアンスの勉強をしています」といっても、「他にやることがあるだろう」といわれるのがオチです(P.064)。

立ち位置が把握できていないタイプなので少し胸が痛みましたが、上記はすごく良くわかりました。
好きなことと、今やるべきことを混同しちゃうタイプなんです。
おおよそ感情的なところなんでしょうけど、傍目から見るとついついそう言いたくなってしまうんでしょうね。
僕の周りの人が、こう指摘してきてもおかしくないと思います。本当に心に突き刺さりました。

僕にとっては上の一文だけでも買った価値のある本でした。
ただ「知りたい」という追究する姿勢も勿論大事にしたいのですが、こういう考えがあるということも心に留めておかないと、いずれいわゆる象牙の塔的なところから出られなくなってしまうぞと警告の意味で高評価です。

印象的なくだり

バブル崩壊までは、日本の会社にゆとりがありました。そのため、自分の給料並み、またはそれ以下の稼ぎしか生み出せていなくても、「組織の潤滑油」とか「ムードメーカー」などと呼ばれ、居場所を与えられている人もいました。
しかし、時代は変わりました。今、組織にぶら下がる人間は、会社から必要とされなくなっています。給料を下回る働きしかできない人など、存在価値すら認められません(P.005)。

前段部分はその時代を(ドラマや映画でしか)知らないので、そんなもんなのかなぁと思っていましたが、後段は不同意です。本を売るための煽りなんでしょうけどね。

要するに、人から感謝されることをした見返りがお金なのです。あなたが、高い評価を得て、高い報酬を手にしたいなら、会社が求めていることを巧みに読み取り、それに応えるしかありません。そこで利益を生み出して、初めてその一部を還元してもらえるのです(P.007)。

お金は何の対価だろうということについて。
単に稼ぐだけを考えているのではない。その意味では真摯さを感じました。

私は、会社から理不尽な扱いを受けたときに考えました。「こんなに勉強してきたのに、一体なぜ?」と。そして、至った結論は、「勉強しても、それで終わりではない。それを生かして稼がなければ、宝の持ち腐れだ」ということです。勉強だけで満足している人は、土地の購入に全財産をはたいてしまい、マンションが建てられずにせっかくの土地を空き地にしているようなものです(P.022)。

いつか自分の身にふりかかるかもしれない、ご用心。

残業せずに許されるためには、普段の仕事をきちんとやることです。時間内にきっちり仕事を終えていれば、誰も何もいいません。残業をやらないために評価が下がるということは基本的にはないはずです。
残業をしている人以上のパフォーマンスを出せれば、誰も帰ることを咎めたりしないし、できないはずです。それは自分の気持ちに折り合いをつけるためにも重要です。人並み以上の成果をあげていれば、仕事に後ろ髪を引かれることはないはずです(P.177)。

手帳に書いて自分を戒める。

会社勤めをしていると、会社の始業時間と終業時間は、どうにも動かせないと思えてしまいます。たとえば、9時始業の会社の場合、そこから逆算して「8時に家を出れば間に合う」、そのためには「7時に起きれば間に合うな」などと考えます。
しかし、それは会社に自分の生活を委ねた、依存型人間の生活習慣です。なぜ会社の始業を基準に自分の生活パターンを考えなければいけないのでしょうか。9時始業でも7時に会社に行ってもいいのです。そのために早く起きればいいことですし、早く起きるためには早く寝ればいいのです。ところが「早く眠れない」「早く起きられない」と考えがちです。そこも聖域にしないことです。「早く起きられない」というのは思い込みです(P.182)。

目標は何でも構いません。分量でも結構です。たとえば、「このテキストを終わらせるぞ」とか「この重要単語を全部覚えるぞ」ということでも、とりあえずはOKです。そのとき大事なことは、「努力すれば確実にクリアできること」にすることです(P.200)。

たとえば、料理人は買った包丁を自分で料理する中で使い込み、自分のものにしていきます。そこに経験が加わり、その人にとって、最もしっくりくる道具になります。勉強も同じです。勉強したことを使いこなしていく中で知識を本当に自分のものにしていくのです(P.226)。