『となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術』

『となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術』
中央公論新社
関根眞一

読後の感想
著者が実際に体験した事例を元に、色々なパターン分析をしています。「誠意を見せろ」のコラムは深く考えさせられました。サービス業である以上、正当なクレームは歓迎すべきでしょうが、正当か不当かの分水嶺は極めて曖昧なので注意し、かつ早めに判断することが肝要だなぁと思いました。

印象的なくだり
なお、「そううつ」傾向の方の苦情はよく受けましたが、陽気なときのほうが、私はやりづらかったです。「うつ」のときに、先方の気分をよくする話法は難しくありません。しかし、「そう」は、ちょっとでもおかしな話をすると突っ込まれます。話すときは、注意が必要で、言葉を充分に吟味しなければならないのです(P029)。

「替わっていない」「いや、替わっている」の、どちらにも証明できるものはないのですが、そうなると預かったサービス業の側は不利です。絶対不利なのです。「分からないときはお客様の言い分が正しい」のですから(P064)。

別の者が出てきても、なるべく当事者と話すようにする(P072)。

別のヤクザとの交渉のなかで、こんな言葉を聞いたのを最後に紹介しておきましょう。
「関根さん、俺たち輩みから見たら、百貨店に働く関根さんたちは超エリートの人間に見えるんだよ。だから燗に触る言葉には、異常な反応を示したくなる。分かってくれよな」
同じ人間同士、心を開けば、相手も普通に応じてくれることは多いのです(P073)。

「誠意を見せろ」に要注意
よく言われる言葉に「誠意を見せろ」というのがあります。
そんな場合は、どういう答えをしても「それだけか」という言葉がついてきます。
そんなときは、遠慮なく「誠意」の見せ方を、逆にお客様にお尋ねしましょう。自分からは「何々をする」などと絶対に言わないことです。
だいたい「誠意を見せろ」とは、本来ヤクザが使う言い方です。この頃は素人でも平気で使います。いやな時代になりましたね(P193)