『高台の家』

「高台の家」
松本清張

読後の感想
麻布の高台にある家。糖尿病の主人と献身的に介護する妻、そして早世した長男の嫁である義理の娘。
この三人と家に出入りする数々の男性たち。
何とも謎の三人の関係と、男性たちの視線の先、そして糖尿病の病状のくだりと
流石松本清張らしさがでていてドキドキしながら読みました。

映像化も多く、割と有名な作品なのですが、
今まで読んでいた作品集の中には収録されていなかったため未読でしたが、今回ようやく出会えました。
作品の肝は、女性の抑圧された性に対する社会の考え方だったので、
若干時代背景が今と違い戸惑うことがあるかと思います。
僕自身が家庭内のドロドロが余り好きでないことも相まって、もう一歩というところでした。

「獄衣のない女囚」
女だけのアパートで起こった殺人事件の真相。
男性だけとか女性だけの公共の共同アパートそのものがちょっと想像しにくく、
その閉鎖的な空間というものがいまいち雰囲気がつかめませんでした
(しかも、話の中心や動機がその閉塞感なので余計に)。

それにしても清張の書く刑事は、みな想像力豊かで、机上の空論の上に
空論を重ねていくという「まぁ、小説だからね」感が満載で僕はすごく好きです(誉めてます
こっちが映像化できないのは、おそらく
下着泥棒がよく登場するからではないかだろうか、と邪推してみたりしなかったり。