『子どもが本好きになる七つの法則』
有元秀文
読後の感想
『マイクロソフトでは出会えなかった天職』ジョン・ウッド氏、『最後の授業』ランディ・パウシュ氏をはじめととして、僕が好きな人の共通点は、本から大きな影響を受けて、その感謝を忘れない人たちだったりします。
そして、自分もかくありたいと思っていますし、できれば自分の子供にもそうあって欲しいと思っています。
去年金沢市に引っ越してきましたが、当時四歳の娘に一番先にやってあげたことは我が家から歩いていける図書館の貸し出しカードを作ってあげたことでした。しかも「一番先に」は比喩ではなく、住民票を移してからその足で図書館に行って作りました。
それから我が家では土日のどちらか(たいてい土曜日)の午前中は、晴れた日は自転車で、雨の日は傘をさしながら、父娘で図書館に行くことを習慣としています。
そんな訳で、我が家の娘は同い年の他の子供よりも、ちょっとは本に触れている時間が長いと思います。それが良いことにつながればいいのですが。
この本は、そんな図書館通いをする中、キッズコーナーで見つけました。おそらく親権者向けに設置されたコーナーだと思います。
内容については「欧米では」とか「外国では」のくだりが多用されるのが気になるところでしたが、一番心に引っかかったのはこの一文でした。
本屋や図書館に子どもと行けば行くほど、読書好きな子が育つ。
(中略)
子どもが親の目から見て、決してよい本とは思えない本を欲しがったらどうしたらよいでしょう。まずは、親の目でよいと思うほうの本をすすめてみます。それでも子どもが、親の目から見てどうかと思う本を選んだら、よほどひどい本でない限り、その本を買ってあげるとよいのです。
そんなにすぐに、子どもというものは親の思い通りになるものではありません。そのとき、子どもがよい本の値打ちがわからなくても、だんだんによい本のおもしろさをわからせてあげてください。しかし、いつまでもレベルの低い本を読ませていてはいけません。徐々にレベルの高い本を読みたくなるように導く、それが親の力です(P.044)。
自分自身無意識のうちに、「図書館にたくさん連れて本をたくさん読ませれば、きっと自分のように育つだろう」と思い込んでいたのかもしれません。
遺伝という担保によって、勝手に思い通りになると考えていた感はあったと思います。
そんなことを考えていた自分には、後頭部をガツンと殴られたような衝撃を受けました。
本文には「親の力」についても書かれていました。恥ずかしながら、導いてあげる親の力、というものまで正直考えたことがなく、環境さえ整えてあげれば大丈夫だろうと安易に考えていた気がします。
学校の先生と違って、親は子供を短期的にも長期的にも導いてあげる力があるんだよなぁ、と気付いたこの一文だけでも読む価値がありました。
同じようにこの一文も実践しようと思います。
③親が子どもに意見を言わせない
欧米人の親は、教養のある家庭であればあるほど、子どもに意見を言わせるようにしむけて育てます。たとえば、テレビを見ていても「このことについてどう思う?」のように尋ねて、子どもに意見を求めます。
子どもに意見を言わせるためには、親がお手本を示すことです。
「お父さんは○○だと思うな。太郎はどう思う?」のようにしょっちゅう尋ねていれば、自分の意見が言える子どもに育ちます(P.024)。
印象的なくだり
なぜ、自分の意見を表現しなければならないのか?
PISAのような国際調査では、なぜ自由記述問題で、読んだことについて自分の意見を書かすのでしょうか。
それは、選択肢に○をつけるような問題ばかりでは、その子どもの考える力を測ることができないからです。そして、これからの社会でたくましく生きていくためには、「自分で考えて、自分の意見をはっきりと、相手にわかるように表現する力」が何よりもたいせつになるからです(P.018)。
日本がフィンランドのように、読解力で世界一になれない理由は、次の四つだと思います。
①親が本を読まない
②教師が本を読まない
③親が子どもに意見を言わせない
④教師が子どもに意見を言わせない⑥読んだことについて意見を言うときは、必ず本に書いてあることから根拠をあげる。
本の中に書いてあることの中から、自分の考え方の根拠を見つけなければなりません。なぜなら、本に書いてあることは確かな証拠であり、説得力をもたせられるからです(P.036)。