『スプートニクの恋人』

『スプートニクの恋人』
講談社
村上春樹

読後の感想
記号と象徴のちがいについての会話だけ妙に頭にこびりつきました。
ところで、一度目に読んだ時は、最後の部分については、結局現実なのか、空想(妄想)なのかはっきりしないなぁ、と感じていたのですが、二回目に読んでみると、むしろ最後(電話の部分)って必要なのかぁと感じるようになりました。
つまり、あってもなくてもいい部分かもしれないと感じたということは、極論すると、その部分を理解しなくても、作品として成立している、ということなのかぁと。

いまいち煮え切らない感想です。

過去に読んだ同じ作者の本と感想
村上朝日堂 感想はこちら
村上朝日堂はいほー! 感想はこちら
村上朝日堂はいかにして鍛えられたか 感想はこちら

村上朝日堂

村上朝日堂
新潮社
村上春樹

読後の感想
 村上春樹が割とどうでもいいことについて、気楽に書き綴ったエッセイ。毛虫の話題から、ヴェトナム問題まで脱力で書かれています。

 著者の小説の印象とはまた違った側面が表れており、クスッと笑える文章が心地よいです。イラストが安西水丸なのも文体と調和しており、ヘタうまな様子が見事だと思いました。

 相変わらず読んでいると、美味いものが喰いたくなる文章でした。空腹時はオススメできません(笑)。

村上朝日堂はいほー!

村上朝日堂はいほー!
新潮社
村上春樹

読後の感想
 肩肘の凝らない、それでいて流し読みできず、読んだ後にちょっと考えるエッセイ集。昔に比べていまはこれでいいのか?→いやよくない→でもいいじゃないか、はいほー!ってのはクスリと笑えるけど、また考えさせられてしまう。

 「青春と呼ばれる心的状況の終わりについて」は、読んでいて鳥肌が立ちました。僅か四ページでこれほど書けるなんて素晴らしい。

特に印象に残った文章は「ジム・モリソンのための「ソウル・キッチン」」より。
「死者を讃えることは心地好い。それが若くして死んだ死者だとすればなおさらである。死者は裏切らず、反撃もしない。歳もとらず、髪も薄くならず、腹も出ない。彼らはただ静かに完全に死んでいるだけである。もし仮にあなたが彼らの死について飽きて忘れてしまったとしても、べつに問題はない。」

 ただ外国曲については、著者と同年代・同等の知識がないと辛いです。