『時間と上手につきあう法―生き急ぎから真のゆとりへ』
小林薫
PHP研究所
読後の感想
自分の興味のある単語「時間」と「法」のキーワードを含む本書。
若干記述は古いものの、広い視点から書かれたことも多く、思ったより参考になりました。
ただ、時間の話からの脱線話が多く、どちらかというと知的生産の方法について書かれたものといえそうです。
この本を読む前にもっと読むべき本を読むことが、時間を効果的に使う方法と言えると思います。
印象的なくだり
(前略)、三つの時間をめぐるアメリカの研究をまず頭に入れておくと同時に漢字の「時」は日と寺の組み合わせだが、この寺(じ)は単なる音符なのでその原意は、「日の移り変わり」だと漢学者は説いていることにも、まず注意しましょう。
さらに日本語の「とき」は元学習院大の大野晋教授によると、どうも「雪が溶けること」から来たのではないかとしています。
そして英語の「TIME」は、古代英語では「TIDE(潮の流れ)」と同語源であるとされています(P029)。
「時が過ぎ去ってゆくのではない。われわれが過ぎ去っていくのだ」レオナルド・ダ・ヴィンチ(P048)。
これまで能率(エフィシェンシー)と効率(エフェクティブネス)の二つは、余りうるさく区別されずに唱えられてきました。
しかし最近、ビジネスの場において「能率」は主として量の処理を中心とした身体の使いこなし方を、「効率」は主として知識労働をめぐる頭の使いこなし方を指すものとして分別されることが多くなってきました(P138)。
著者のあげる事実を吟味し、著者の推論に疑いを抱き、著者の断定を警戒し、著者の感情に共感し、反発し、著者の主張に立ち向かい…というふうに読むのが、批判的な読み方です。
事実探索以外の読書は、実はすべてこの批判的読書だといってもよいでしょう。
読書とはマルロオのいうように「著者との対話」であり、「堂々の闘い」であり、「魂の対決」にほかならないのですから(P142)。
リーディング(READING)とは
Readjusting(最適応)する方法である
Expression(表現)を学びとる方法である
Appreciation(鑑賞)である
Drive(やる気・意欲・芯の強さ)が不可欠
Inquiry(探究心)が大切である
Newsness(新しさ)を絶えず求めてこそ
Gain(収穫)が得られる
(P145)
がんばるというのは、エネルギーの量の問題であり、エネルギーの質の問題ではありません(P197)。
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