『「捨てる」「片づける」で人生が楽になる』

『「捨てる」「片づける」で人生が楽になる』
新講社
斎藤茂太

読後の感想
取り立てて目新しいことは書いてありません。ただ当たり前のことが当たり前のように書かれているだけです。

印象的なくだり
もう少し、ゆとりのある生活を送りたいと願っているのであれば、まずは人が「あげる」というモノを、もらうことをやめることから始めたらどうか。
それと同時に、人からのお誘いにも、ふたつ返事でOKといわないようにすること。「ちょっと考えさせて」といっておいて、そのことへの自分の関心度と、時間的な都合をよく勘案しながら「ぜひ、ゆきたい」ということだけ「先日の件だけど、私もゆくわ」と答えればいいではないか(P078)。

モノもお金も、たくさんあるからといって、その価値観が高まるというわけではない。モノやお金へのありがた味や、感謝の気持ちが高まるわけではない。むしろ減らすほうがよい(P161)。

同じ著者が書いた別の本
『グズをなおせば人生はうまくいく―ついつい“先のばし”する損な人たち』 感想はこちら

『グズをなおせば人生はうまくいく―ついつい“先のばし”する損な人たち』

『グズをなおせば人生はうまくいく―ついつい“先のばし”する損な人たち』
大和書房
斎藤茂太

読後の感想
 決して特別なことが書いてあるわけではありません。そして、決してできないことが書いてあるわけでもありません。
 実行すればいいことがある、そんな気持ちを分かりやすく沸き起こす一冊です。
 知ったかぶりのお話は、響きました。肝に命じて気をつけます…。

印象的なくだり

そもそも「やりたくない」気持ちが、後になって「やりたい」気持ちに変わるわけではないのだから、時間があるうちにすぐにやってしまったほうが、いつまでも「早くやらなくては」という気持ちを引きずるより、じつはずっと楽なのである。
では、やりたくないことにやる気を出すには、どうすればいいか。
もっとも有効なのは、「いやなことの次に、すきなことをする」、あるいは「いやな仕事の次に、かなり急ぎの仕事を入れる」というスケジュールを立て、それを実行することだ(P038)。

人はどんなときに大きな不安を感じるか。そえは、未知のものを前にしたときである。
(中略)こんなふうに「わからないこと」だらけだから、不安なのだ。
逆に、「わからない」ことが少なければ、不安感も軽減される。
つまり、何か行動を起こすときはできるかぎり下調べをして、「わからない」ことを減らしておくことが大切だ(P089)。

マルクス主義者で日本社会党左派の指導者だった向坂逸郎氏は、知人から「酒も煙草もやらないで、どこに人生の楽しみがあるのですか」と問われ、こう答えた。
こんなにおもしろい人生なのに、どうして酒や煙草が必要なのか」と(P108)。

知ったかぶりをした経験は、誰しもお持ちだろう。
(中略)しかし、こんなふうに知ったかぶりをすることを繰り返していると、「何も知らないことはない」とふるまうことが癖になってしまう。これは困る。
その理由は、三つある。
第一に、相手に「何でも知っているなら、話さなくていいや」と思われるため、話が広がらず、見聞を広めるチャンスを逃すからだ。
「知らない。教えて」と正直に言えば、相手は進んで知識を披露し、あなたが興味を示せば、もっと深い世界に誘ってくれるかもしれないのに。
第二に、「何でもわかっているなら、私が協力するまでもないだろう」と思われ、協力者を遠ざけてしまうからだ。
それどころか、仕事のシーンでこれをやってしまうと、知らないことに右往左往してろくな成果を上げられず、「口ほどのことはない。何もできないグズじゃないか」と蔑まれる結果になるだろう。
第三に、知ったかぶりはばれることが多く、「鼻につくヤツ」と人から嫌われるからだ。
知ったかぶりをしたために、逆に突っ込んだ質問を受け、タジタジになった……なんて話はよく聞く。

断言するが、言いにくいことほど、会って話すのが礼儀である(P231)