『サラリーマン「再起動」マニュアル』

『サラリーマン「再起動」マニュアル』
大前研一
小学館

読後の感想
司令の知人のオススメということでしたが、どうしても、外的要因が内から変えるといった外圧の考え方が強いせいか、いまいちなじめない(でも好き)。
せっかく自分を変えるなら、そのモチベーションを内的なものに求めるような書き方をすればいいのになぁと思ってしまいます(でも好きなので読む)。

印象的なくだり
(前略)、円だけでなく、ドルとユーロにも分散して口座を開設することだ。海外投資が便利になることに加えて、円、ドル、ユーロの三つの通貨でそれぞれクレジットカードを作っておけば三つの通貨で決済できるから、その時その時に最も強い通貨で買い物をすればよい。つまり、日本にいながらにして、いつでも「世界最強の通貨」を使えるわけだ(P082)。

たとえば、パソコン事業部の業績が下がっているという時、その事業部の社員1人ひとりに「どうすればよいか?」と聞いたところで、決して有効な解決策は出てこない。なぜなら、ほとんどの人は自分が今までやってきたことを自己否定できないからだ。自己否定しないと、針路は変わらない。しかし今、企業や個人に自己否定する勇気があるか?自分を外部から客観的に見て、新しいルートを見いだす能力があるか?これが今、問われているのである(P101)。

プロジェクトは、対極的な発想をする人たちが仲良くやっていった時に最も成功するものだ。つまり論理思考の強い人と、エモーショナル型の人、発想型の人と数字の分析に強い人、というように全く違うタイプの人間を組み合わせることが一番大切なのである(P108)。

企業の理想は、大量に採用して早めにたくさん辞めさせることである。辞めさせる割合は、GEの経験では毎年15%だが、マッキンゼーの経験では毎年20%だ。マッキンゼーの場合は入社時に「あなたが5年後に生き残っている5分の1ですよ」と説明する。精鋭だけを残すからGEもマッキンゼーも強くなったのである(P216)。

リストラには、もう一つの問題として「エレベーターの論理」がある。エレベーターは定員オーバーになってブッーとブザーが鳴ったら、最後に乗った人が降りる。いわゆる「後乗り・先出し」というやつで、リストラも同じ。人員削減を進めていくと、後から入ってきた新しい人が先に辞めて、コストの高い古い人だけがる。平均年齢が高くなり、組織に活力がなくなる。だから、リストラをやればやるほど会社はおかしくなっていく(P218)。

1人暮らしの孤独を癒すビジネスも有望
方法はいろいろある。たとえば、働いていたら年金がもらえないという現行制度をやめる。65歳以上で働いている人には所得税をかけない。所得税をかけなければ、正味の収入が半分になっても、けっこう使いでがある。
あるいは、年金と労働収入をミックスする割合を高齢者が自分で決められるようにする。その場合、死ぬまでにトータルでもらえる金額を、働かずに年金だけをもらっている人と同じにしなければならない。つまり、定年後も働いていた人は年金をもらえる期間が短くなるから、それで損をしないよう、働き終わってから支給される額が増え、死ぬまでにトータルでもらえる年金額は変わらないようにするわけだ。おそらく、定年後も働いた高齢者は年金をもらう期間が半分ほどになるので、年金額も今までの想定額の2倍くらいにすべきだろう(P284)。

同じ著者が書いた別の本と感想
『質問する力』 感想はこちら
『下剋上の時代を生き抜く即戦力の磨き方』 感想はこちら