『読書進化論』

『読書進化論』~人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか~
(小学館101新書)
勝間和代
小学館

読後の感想
まだ読書の習慣が身についていない人をターゲットとした本だったので、自分には不向きでした。同様の内容なら本田直之さんの『レバレッジ・リーディング』のほうがオススメです。

印象的なくだり
神田さんの本では、「非常識な成功法則」が初めて読んだ本です。神田さんの本のいいところは、読み手がアドバイスを実行したときの、成果の再現性がすごく高いことでしょう(P053)。

私は本を手にしたら、帯、目次、「はじめに」、「おわりに」をざっと読みます。すると本のおおよその構造とメインのテーマがわかります。まず、概要を見て、本の全体像を理解し、その本のフレームワークをつかまえにいきます。そのため、フレームワークが見えないか、はっきりしない本は、正直、私にとってはとても読みにくいのです。もちろん、楽しむために読むエッセイや小説などは別です。
しかし、知識を得るために読む、情報を得るために読む、今考えていることを整理するためのフレームワークを探す、というようなことが読書の目的のときには、本の構造を知らなければ、よい読書体験を期待することはなかなかできません(P073)。

書く技術というのは、「相手がわかやすく読みやすく書く」ための技術です。読みにくい本は、本人だけが、わかっているように書いてしまっているものです。そうではなく、わかっていない他人にもわかってもらえるように、やさしく、面白く、しかし深く書くことが技術になります。私はこれを「難しいことはわかりやすく」「わかりやすいことは面白く」「面白いことは深く」という表現で習ってきました。
わかりやすく書く基本的な共通技術はいくつかありますが、ここでは4つ紹介しましょう技術1「自分の事例」「アンソロジー形式」を利用して親しみを持たせる
技術2「役に立つフレーズ」を必ず入れ、読書だけに体験を閉じない
技術3「共通体験」や「流通していることば」を使って行動を促す
技術4「コンテンツ力」と「編集力」で進化していく(P135-136)。

行動を起こすときは、時間的なコストもお金のコストもかかりますから、それに対する見返りが想定できないと始められないのです。その見返りのイメージを、しっかりと伝えていくわけです(P145)。

「週刊ダイアモンド」でαブロガーの小飼弾さんと対談したときに、ウェブ広告の話になったのですが、ウェブの広告はものすごく低価格だということで盛り上がりました。
ウェブの人たちは、ある意味、値付けを間違えたのです。アドワーズ広告1クリック7円は、コストから逆算してつけてしまったのですが、実は競合商品を考えると1回70円でもよかったのです。なぜなら、DM1通郵送するのに100円くらいかかるわけですから。ところがいったん下げたものは、上がりません(P202ー203)。

類似の本と感想
『レバレッジ・リーディング』本田直之 感想はこちら

『サラリーマン「再起動」マニュアル』

『サラリーマン「再起動」マニュアル』
大前研一
小学館

読後の感想
司令の知人のオススメということでしたが、どうしても、外的要因が内から変えるといった外圧の考え方が強いせいか、いまいちなじめない(でも好き)。
せっかく自分を変えるなら、そのモチベーションを内的なものに求めるような書き方をすればいいのになぁと思ってしまいます(でも好きなので読む)。

印象的なくだり
(前略)、円だけでなく、ドルとユーロにも分散して口座を開設することだ。海外投資が便利になることに加えて、円、ドル、ユーロの三つの通貨でそれぞれクレジットカードを作っておけば三つの通貨で決済できるから、その時その時に最も強い通貨で買い物をすればよい。つまり、日本にいながらにして、いつでも「世界最強の通貨」を使えるわけだ(P082)。

たとえば、パソコン事業部の業績が下がっているという時、その事業部の社員1人ひとりに「どうすればよいか?」と聞いたところで、決して有効な解決策は出てこない。なぜなら、ほとんどの人は自分が今までやってきたことを自己否定できないからだ。自己否定しないと、針路は変わらない。しかし今、企業や個人に自己否定する勇気があるか?自分を外部から客観的に見て、新しいルートを見いだす能力があるか?これが今、問われているのである(P101)。

プロジェクトは、対極的な発想をする人たちが仲良くやっていった時に最も成功するものだ。つまり論理思考の強い人と、エモーショナル型の人、発想型の人と数字の分析に強い人、というように全く違うタイプの人間を組み合わせることが一番大切なのである(P108)。

企業の理想は、大量に採用して早めにたくさん辞めさせることである。辞めさせる割合は、GEの経験では毎年15%だが、マッキンゼーの経験では毎年20%だ。マッキンゼーの場合は入社時に「あなたが5年後に生き残っている5分の1ですよ」と説明する。精鋭だけを残すからGEもマッキンゼーも強くなったのである(P216)。

リストラには、もう一つの問題として「エレベーターの論理」がある。エレベーターは定員オーバーになってブッーとブザーが鳴ったら、最後に乗った人が降りる。いわゆる「後乗り・先出し」というやつで、リストラも同じ。人員削減を進めていくと、後から入ってきた新しい人が先に辞めて、コストの高い古い人だけがる。平均年齢が高くなり、組織に活力がなくなる。だから、リストラをやればやるほど会社はおかしくなっていく(P218)。

1人暮らしの孤独を癒すビジネスも有望
方法はいろいろある。たとえば、働いていたら年金がもらえないという現行制度をやめる。65歳以上で働いている人には所得税をかけない。所得税をかけなければ、正味の収入が半分になっても、けっこう使いでがある。
あるいは、年金と労働収入をミックスする割合を高齢者が自分で決められるようにする。その場合、死ぬまでにトータルでもらえる金額を、働かずに年金だけをもらっている人と同じにしなければならない。つまり、定年後も働いていた人は年金をもらえる期間が短くなるから、それで損をしないよう、働き終わってから支給される額が増え、死ぬまでにトータルでもらえる年金額は変わらないようにするわけだ。おそらく、定年後も働いた高齢者は年金をもらう期間が半分ほどになるので、年金額も今までの想定額の2倍くらいにすべきだろう(P284)。

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