『ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス』

『ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス』
ダイヤモンド社
エリヤフ ゴールドラット , 三本木 亮

読後の感想
前作が非常に良かったので、楽しみにしていたのですが『ザ・ゴール』よりはるかに劣るような気がしました。期待値が高すぎたせいなのかな。思考プロセスと制約理論についてなんだけど、どこか三文芝居を見ているような気がしちゃうのはなぜなんだろう。前回のように反証がうまくいってないからなのかなぁ。
よく分からないけどいまいちでした。ちぇっ。

印象的なくだり
相手が「当たり前だ」とか「常識だ」などと答える時は、ちゃんと相手とコミュニケーションがとれている証拠だ(P.077)。

ただ会社を売ったわけじゃない。コンセプトを売ったんだ。非常に価値あるコンセプトを。会社とその経営陣は、そのコンセプトを実行するためのツールなんだよ(P.332)。

「現在から将来にわたって、お金を儲ける」、「現在から将来にわたって、従業員に対して安心で満足できる環境を与える」「現在から過去にわたって、市場を満足させる」。この三つについては、みなさん異論はなかったと思います。「現在から将来にわたって、お金を儲ける」は企業を所有する側の考え方です。二番目の「現在から将来にわたって、従業員に対して安心で満足できる環境を与える」は従業員を代表する組合側の考え方です。三つ目の「現在から将来にわたって、市場を満足させる」ですが、これは最近の経営手法で特に強く唱えられていることです。我々企業の経営者は、この三つすべてを実現しなければいけません。
(中略)
企業活動の行動一つひとつをとってみれば、この三つの必要条件のいずれかと衝突するものもあるでしょう。ずっと続けていれば、いずれ三つの必要条件全部と対立を起こしてしまうでしょう・・・。しかし、必要条件同士はそんなことはありません。
(中略)
三つの必要条件同士を対立させてはいけない。必要条件同士は、対立するものではなく、本来補完し合うものだ、ということかね。
(中略)
「つまり、この三つの必要条件は同じように重要だと言いたいわけだな。ようやくジムものみ込めたようだ。もしそうなら、どうしてみんなお金を儲けることが目的だと言っているんだ。」
「ウォール街の連中はそう言うかもしれません。お金を儲けることのほうが、実体がつかみやすいからだと思います。数字ではっきりとか測れるのはお金だけですから。」
「やはりそうか」ブランドンがにっこり笑った。
「でもだからと言って、お金を儲けることがいちばん大切だということにはなりません。そういう罠には、はまらないでください」私は、ブランドンに警告した。「お金儲けが数字で測れるというのは、たまたまなんです。太古の昔、ある天才が麦とヤギの価値を比べる方法を発明しました。お金の抽象的な単位である通貨を発明したんです。しかし、満足度や安心感などを測る単位はいまだに発明されていません」(P.347)。

『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』

『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』
ダイヤモンド社
エリヤフ ゴールドラット, 三本木 亮

読後の感想
制約条件の理論を使って、工場を立て直すという過程を小説仕立てで書いた本です。
一般的には工場を立て直す過程の理論に着目するのかもしれませんが、個人としては、理論の師であるジョナとの関係について興味を惹かれました。
ジョナは、答えを決して教えず、本人に考えさせながら答えを導く方法を取っています。
すぐに答えを与えるのでは、身に付かないし、何より応用が利かずその場限りになってしまうと考えたからだと感じました。
理論も素晴らしいのですが、この教え導く過程に強く印象を受けた作品でした。
形式としては、過去に読んだ『V字回復の経営』三枝匡著を髣髴とさせるないようでした。
向上の経営の様子が気になるのでわくわくでサクサク読めます。

印象的なくだり
ノートに三つの評価指標を書き出した。
純利益、投資収益率、それにキャッシュフロー。
会社がお金を儲けているかどうかを知るために必要な指標だ(P079)。

「(前略)、三つの定義に全部『お金』という言葉が含まれている」彼が言った。
「スループットは、入ってくるお金。在庫は、現在製造プロセスの中に溜まっているお金。作業経費は、スループットを実現するために支払わなければいけないお金。入ってくるお金、中に溜まっているお金、それから出ていくお金、それぞれに指標があるわけですか」(P115)。

「ボトルネックとは、その処理能力が、与えられている仕事量と同じか、それ以下のリソースのことだ。
非ボトルネックは、逆に与えられている仕事量よりも処理能力が大きいリソースのことだ。」(P217)

「(前略)、これからは、仕事のできる人間しかボトルネックを担当させない」(P294)

一、誤ったポリシー、つまり制約条件をすばやく見つけ出す。
二、副産物として破壊的な問題を引き起こすことのない新しいポリシーを策定する。
三、社内から抵抗があっても、これに屈しない導入計画を構築する(P531)。

TOC(Theory of Constraints=制約条件の理論)
まずTOCは「システム改善のツール」であることが言える。
TOCは、現場での個別の工程の生産性や品質の改善ツールではない。
あくまでも企業とか工場全体を一つのシステムと見なし、そのシステムの目的を達成するための改善方法である。
博士は、企業の究極の目的が「現在から将来にかけて金を儲け続けること」と定義した。
企業が金を儲けるには、スループットを増やすか、在庫を減らすか、経費を減らすという三つの方法しかない(P548)。

ボトルネックが有る場合、工場全体の生産量はボトルネックの生産能力で決まってしまう(P549)。

過去に読んだ似たような形式の本
『V字回復の経営』三枝匡 感想はコチラ