『茄子 アンダルシアの夏』

NHKの星新一のショートショートと、TSUTAYAで借りてきた「茄子 アンダルシアの夏」を見ていたら寝る時間。

茄子 アンダルシアの夏
ロードではないけど自転車好きの端くれとしてずっと見たいなぁと思っていた作品。
一時間に満たない短さと、起承転結がなく一本道のストーリーでサクサクと楽しめました。作画がほんの少し気になったのと、声優の下手っぷりに若干残念に思う以外は、非常に良く出来た作品だなぁと思いました

何気に人間模様を描いていたりね。

忌野清志郎がエンディング「自転車ショー歌」を歌っていました。小林旭の「自動車ショー歌」の自転車版です。あんまりブランドとか詳しくないので、知らないのも沢山入っていましたが(笑)。
サントラに入っているみたいなので、興味のある方は是非。

『ゼロの焦点』

見てきました。映画版『ゼロの焦点』。

はっきり言って原作に思い入れがあります。
なんといってもわが故郷石川県を舞台にした映画。しかも、ラストシーンのヤセの断崖、能登金剛は、父の実家のすぐそば。津幡、鶴来、松任など懐かしい単語が目白押しなのですよ。
ちなみに自分が松本清張に嵌るきっかけとなったのは、この作品ではなく『点と線』なのですが、もちろん『ゼロの焦点』も大好きです。

そんなわけで、レビューです。ネタバレ注意。

↓ここから

まずは、中谷美紀の演技。すげぇ。女優やのぉ(いい意味で)
車を運転するシーンなんか怖くて危うく泣くところでした(比喩です)。
佐知子役は文句なしです。mind circusの時には、桜っ子クラブ次回から打って変わって、いい声だなぁくらいしか思っていませんでたが、いつの間にやら女優だったのですね。

広末は、どうなんだろうね。もっと幸薄そうな人が良かった気がしないでもないんだけど、どうなんでしょ。原作でもそうだけど、あくまでも狂言回しなので、もったいない気がしました。

木村多江も文句なしです。能登の方言はもっと垢抜けないんですけど、そんなことは感じさせない雰囲気でした。きっと久子役の薄倖ぶりが際立ちすぎて、広末の評価がなんだかなぁという感じでしょう。

で、内容はというと。
清張生誕百周年ということですが、この手の加えかたはないでしょ~。生きてたら怒る気がする。
新キャラ(笑)の鳴海享の存在意義が最後までハテナでした。多分ラストシーンから察するに、狂言回し的な役割と佐知子の生まれの不幸を際立たせるためなんだろうけど、一人だけタイムスリップしたみたいな演技はいただけないなぁ。
儀作の役回りも不明。不器用に妻をかばう人、であれば最初の煉瓦工とのやり取りは良く分からん。

もともとあらすじがしっかりしているだけにちょっと手を加えることによって、台無しになった気がしないでもない。本多さんが死ぬ理由は一つもないじゃん(原作でも死んでいない)。あと所長も腹に一物ある御仁風に演じてたけど、何にもないのかよっ。逆に選挙の関係は加えて正解だと思った。ちなみに金沢は超保守なので、違和感ありまくりでしたが(笑

もちろんきちんと作りこんでいて(CGとか)、最初の新聞記事が移り変わっていくシーンも、ちゃんと複線とか張っていてみていて丁寧だなと思いました。なんだかんだ文句言いながらあっという間の二時間でしたよ。雷や光を効果的に使っているのは、映画ならでは、と思いました。あと回想シーンと時間軸の流れを交互に使う表現は秀逸。

全体的に良く出来た話だと思うけど、思い入れがありすぎて正当な評価が出来ませんでした。方言とかひっかかりまくりだった。

そうそう、最後の中島みゆきは鳥肌ものでしたよ。
どこでロケをしたんだろうと思ったら韓国だったのね(駅とか?

ちなみに1961年版の自分の感想はこちら

『ゼロの焦点』
2006年12月04日 01:18

1961年作

原作小説を先に読んでいないと多分良く分からないと思う。ま、95分にまとめるのはかなり無理があったんだろうなぁ。その分原作に忠実。

モノクロではあるが、北陸の暗い海などはかなりうまく表現されており鬼気迫るものがあって非常によい。自分の生まれる前の金沢や富来、鶴来などが出てきてちょっとホロっときた。松任はまだ「町」だった。

高千穂ひづるの演技が冴え渡る。綺麗な人だなぁ。

←11/15訂正
原作では本多さんが死んでいないと書きましたが、誤りです。原作でも殺されています。記憶違いでした、ごめんなさい。untenさんご指摘ありがとうございます。

『Changeling』

コペンハーゲンまでの飛行機の中で見ました。

この話の大筋がフィクションではないというのだから恐ろしい。
あと、正確な再現かどうかわからないけど、とある男に死刑判決が下されるんだけど、その量刑が「○年間拘禁の後、具体的に×月△日に絞首刑に処する」みたいなものだったが、これって当時の現実もこうだったの?
だとしたら、ものすごい残忍な量刑だなぁと思った。

裁判時点で、すでに処刑の日時を決めているのだから…。

アンジェリーナ・ジョリーの演技は凄いね。

『ほしのこえ』

『ほしのこえ』
新海誠

視聴後の感想
これが個人製作だというのは恐れ入る。
キャラデザインは好みが分かれるところだと思います。自分はちょっと好きにはなれませんでしたけど。
距離が遠ざかるとメールが届くのが遅れる、という設定は非常に面白く、またウラシマ効果も加わってせつなかったです。
厳しいことを言うと、折角の設定がすべて二人の恋愛を阻害する要素にしか使われていなかったので、もう少し世界観を出すために使ってもよかったかなぁと。あと短すぎ。
残念ながら全体的に『秒速5センチメートル』のほうがおすすめです。

同じ監督による別の作品
『秒速5センチメートル』感想はこちら

Amazonの説明
自主制作映画の上映会などで好評を得てDVD化された、新海誠監督の自主制作によるSFラブストーリー・アニメーション。21世紀の半ば、国連宇宙軍のロボット・パイロットに選ばれ、宇宙へ飛び立っていった中学生の少女・美加子(武藤寿美)は、地球に残る同級生の昇(鈴木千尋)と携帯メールで彼女と連絡を取り合うが、距離が離れるにつれて互いのメールが届く時間も長くなっていく…。ピュアな恋愛とSF的な要素が奇妙なバランスでミックスしながら、不思議で独特の世界観を醸し出す。個人制作アニメとしての技術レベルも相当に高いが、それ以上に作り手の熱意そのものが作品の質に大いに貢献しているともいえよう。これから映像制作に挑もうとしている若い世代にも希望を与えてくれるであろう作品である。(増當竜也)

内容(「GAGAデータベース」より)
『雲のむこう、約束の場所』の新海誠が手掛けたSFラブアニメ『ほしのこえ』の本編のみ収録した廉価版が登場。中学生・昇の同級生・美加子が、ある日国連宇宙軍のメンバーに選抜される。昇は地球後にした彼女とメールで連絡取り合うが…。

パプリカ

監督
今敏

試聴後の感想
端的に言うと最高に良かったです。
ストーリーは単純明快で分かりやすかったし、何より近未来的な雰囲気がCGとアニメでかなり印象的に描かれていました(サイバーパンクって言うらしいですよ)。
途中物質(冷蔵庫とかおもちゃのロボット)が人間的になり、踊りながら行進する場面があるのですが、まさに「よく動く」の一言。
完成度高すぎです(クレジット見たら予想通りProdactionI.G.入ってるし何よりこの世界観はアニメでしか表現できません。
七五調のセリフが頭から離れません(笑)。

音楽は我らが平沢進御大。
主人公の千葉の二面性を象徴的に表すオープニングにのせて流れる
平沢進の楽曲は引き込まれます(僕はオープニングだけ五回繰り返しました
最近の流行なのか俳優を声優にすることもなく、きちんと声優が演じているところもかなり好感が持てます。アムロがいるよ(笑)、大塚明夫さんも。

マトリックスとか好きならオススメかと。
あ、原作は筒井康隆。

Amazonによる内容の説明
医療研究所が開発した他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”。だがそれが盗まれ、悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するように。一体、犯人の正体は? そして目的は何なのか? 事件の解明に挑む美人セラピストの千葉敦子は、クライアントの夢の中へ容姿も性格もまったく違う夢探偵“パプリカ”となって入っていくが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていたのだった…。
『千年女優』などで知られる今敏の最新作アニメ。アニメの魅力のひとつはメタモルフォーゼにあるが、本作ではそれが人物ひとりの変容だけでなく、世界を変容させていく。例えば刑事の夢の中に入った時は、瞬時に場面が『ターザン』の一場面になったりスパイ映画になったりするのだ。夢の世界が舞台なだけになんでもできるという状況を、今敏監督は逆手にとってまさにイマジネーションの洪水ともていうべき展開を見せるのだ。ストーリーも魅惑的だが、その映像に酔いしれること確実の、アニメとしての魅力にあふれた素晴らしい作品だ。(横森 文)