情報が世界を変える―衛星・ボーダレスの時代

情報が世界を変える―衛星・ボーダレスの時代
丸善
徳久勲

読後の感想
 書いてある情報が古いですが、情報の移動に関する記述は今も同じだと感じました。
 衛星や電波の仕組みなども書かれていますが、少し難解な印象を受けます。しかも、分からない部分は読み飛ばしても文意は読み取れます。何のための記述なんだろう…。

印象的なくだり

社会学的にみれば衛星のメディアは恐るべき影響力を持つといえる。
それまで情報は原則的に、それぞれの国境の中にとどめられていた。
外国からの異文化を伝えるビデオ、カセット、本、雑誌は税関で没収される場合が多かったし、テレビの地上波は国境を越えるものの、二〇〇キロが限界だった。
国境を大きく越えるラジオは短波だけだった。
それも音質に問題があり、妨害しようと思えばジャミング(妨害電波を出して聞こえなくすること)もコストを度外視すれば可能だった。
しかし、衛星から降ってくる電波は、その性質上。妨害が難しい。
テレビ映像という最も感性に訴える情報を国境線でとどめることは事実上不可能だ。
ボーダレス情報時代の決定的仕掛人は、妨害ができないスピルオーバー現象だともいえる(P011-012)。

CNNは米国外通信衛星を利用している部分については「暗号」をかけていない。
誰でもアンテナを向ければ見れるのだ(著作権法上の問題は別にある)。
そして、ケーブルテレビが発達していない途上国でも、政府首脳に限り「自由にご覧下さい」というオープンな姿勢だ。
巧みなプロモーション作戦ともいえる。
世界の首脳や指導者にとって、リアルタイムで全世界の動きがわかるものは他にはないからだ。
CNNに喋ればその日の内に開いた側にメッセージが届く(P115)。

テレビというメディアの宿命は基本的に体制的存在だということだ。
限りある電波資源を利用するのだから、誰でも勝手に始めるというわけにはいかない。
どんな国でも、政府と放送機関の関係は電波免許をめぐって微妙だ
(P124)。

全世界の視聴者のほとんどは、米国防総省の記者会見で爆撃のビデオがはじめて公開されると思っているだろうが、実はそのビデオは三〇分ぐらい前に米各テレビネットに配信され、迫力があるように編集されて会見時に放映されているのだ。
これも映像への便宜供与である。
画面を注意深く見ていると気づく。記者会見室でテレビを見せながら説明する生中継の映像に続いて、画面がそのテレビのビデオに切り替わる。
事前にビデオが提供されていなければ不可能だ。
そういう切り替えに注目していれば、映像の裏側が読める。
同様に、ビデオを見た解説者が実によく命中すると評したが、それは外れた場合の映像を提供していないだけの話だ(P127)。

結局は、賢明な視聴者はメディアの力学とその背景を学ばざるを得ないということだろうか。
活字は読みながら考える。映像も見ながら考えていかなければ虚像に踊らされるだけだろう
(P128)。

(前略)外国からの情報に警戒心が強いのは、国内の社会構造が意外に弱いところがあるからだろう(P162)。

閉鎖国家にとって、外国からの情報の流入はきわめて危険である。
国民に対して特定の価値観を強制し、支配を行っている場合、その価値観を覆す考え方が流入してくるならば、その支配の基盤が危うくなることを為政者は知っている。
特に、外部からもたらされる情報や思想が国民の共感をよぶ可能性がある場合にはなおさらだ(P174)。

自由な情報や通信を抑圧する秘密警察と密告者のネットを維持するコストは膨大である。
そして情報や通信を抑圧すること自体が、国民の非能率、無気力を生み出す(P204)。

平家、海軍、国際派」という言い方がある。
海外に目を向け、日本人に国際的な「常識」を説こうとした人々は、牢固たる「国内派」に押しつぶされ敗北するという経験律の自嘲的表現である(P224)。

セックスボランティア

セックスボランティア
新潮社
河合香織

読後の感想
 寝た子を起こすな、と表現されるように、障害者の性という今までタブー視されていた問題に切り込んだ一冊です。その意味でも、功績の大きい本だと思います。
 感情の問題が生じてきてしまうので、本来の問題と向き合うのは難しいと感じました。
 介助者による自慰の手助けなど、かなり生々しく書かれていますが、著者がきちんと取材していることが伺えて安心して読めました。
 現実にあることなので、もっと多くの人に読んでもらいたいと感じました。

印象的なくだり

「おんな の こ と あそびに いきたかった けっこんも したかった こども も ほしかった きょういくも うけたかった でも そう おもうことさえ ゆるされなかった」
文字盤の上に、静かに涙がこぼれ落ちた(P032)。

NVSHの本部があるハーグへ向かう途中、電気事故のため、電車が途中で止まった。
ホームに降りると、初冬のよく晴れた空から吹く風は痛いくらいの冷たさだった。
仕方なくタクシーに乗り換えた。シートに身をうずめて、運転手と雑談をしていた。大柄の黒人中年男性だ。
(中略)彼は「障害者や高齢者の性のケアは必要だ」とうなずきながら、こんなエピソードを話してくれた。
先日、スーパーに強盗が入り、店員が犯人を追いかけて組み伏せる事件があった。
しかし、そのときに暴力を振るったということで、強盗ではなくて、店員が逮捕されてしまったのだそうだ。
「オランダ社会における権利の主張は行き過ぎていると思う」彼はそう嘆いた
(P162)。

「(前略)、障害者について、世間全般がもっと自分のこととして切実に感じてくれないと変わるのは難しいでしょう。
障害者には自分はならないだろうってそう思っている限り、障害者が抱えている問題は自身のこととしては感じられない。
せめて想像くらいはして欲しいのです。結局、障害者と健常者が隔てられて暮らしている。(後略)」(P205)

イキガミ(3)

間瀬元朗

読後の感想
 二巻までは面白く読めたのですが、三巻以降はちょっぴりグダグダです。あぁあ。

印象的なくだり
俺が今、この仕事に”やりがい”を見いだし、ニヤついていたのなら…それは無意識に、この職務を正当化し始めている証拠だろう(P210)。

仕事で差がつく手帳の技術

仕事で差がつく手帳の技術
ぱる出版
長崎快宏

読後の感想
 システム手帳の使い方を中心に、やるべきこと・情報の管理について書かれた本です。
 確かに著者の書いている通り、アイデアはすぐに書きとめ、属性ごとに保存し、いつでも取り出せるように整理すべきというのは、ごもっともなんですが、それに掛ける時間コストや労力を考えると、著者のやり方は自分には実行不可能だと感じました。なぜなら、余りにも細かく分類しすぎているので、その保守コストが大きすぎるからです。例えば136ページの住所録。最初は五十音順そして大きく地域別に分けるなど、手間がかかりすぎる気がします。

印象的なくだり
手帳の最初のほうに人生や仕事の夢・目標を書いたリフィールを置けば、手帳を開けば否応なく「目標」が目に入ります(P084)。

知識になるくだり
バインダーリングは業界トップのドイツ・KRAUSE社が有名で、国産メーカーや名の通った製品は、たいてい同社製品を使っているので安心です(P063)。