『ビッグイシューと陽気なホームレスの復活戦―The big issue Japan』

『ビッグイシューと陽気なホームレスの復活戦―The big issue Japan』
ビーケイシー
櫛田佳代

読後の感想
興味本位で読み始めてみたのですが、細部にわたってとてもリアルで面白いです。若干データは古いですが、販売員ホームレスの方の一ヶ月の収支は大変興味深く読みました。
売り方一つとっても販売員の方も考えているのだなぁと自分もビッグイシューの読者の一人として、少し嬉しく思いました。
直接の支援は出来ませんが、この本を人に薦めることで、何らかの形で応援したいです。

印象的なくだり
ボランティア団体が、ホームレスの人達のために食事を定期的に提供する。
これが「炊き出し」と呼ばれるものだ。
当然そのときはホームレスの行列ができる。
そこでいろいろボランティア団体が働きかけるのは効率的ではある。
ところが炊き出しにもいろいろなしがらみがあるようで、渋谷の炊き出しではビッグイシューの紹介はできないそうだ(P016)。

東京、大阪にかかわらず、最初に(有)ビッグイシューからプレゼントされる10部を販売して、それを酒などに使ってしまいそのまま来なくなる人がいる一方、思うように
売り上げることができずに消えてしまう人も多い。
残念だがその人自身の売り方を反省する前に、他に理由を見つけてしまう。
場所が悪い、内容が悪い、誰もフォローしてくれない。
そうなるとホームレス同士の横のつながりで、ビッグイシューはダメだというような悪い噂も広がってしまう。
販売員が増えない理由はたくさんあるのだ(P133)。

最寄りの駅に着いてスタッフの堤君に聞いた。「どこからが釜ヶ崎なの?」、すると「自動販売機のジュースが安くなったら」と言う。
「はぁ……?」と腑に落ちない返事をしながら少し歩くと、確かに進めば進むほど120円の缶ジュースが100円になり、80円になり、左に曲がると、
とうとうほとんどの販売機が70円になっていた(P188)。

いい本は人によって異なる(ハズ

そういや先日友人と雑談しているときに「いい本ってどんな本?」との話題になったのですが、そのときは結論が出なかったので、回答保留にして帰ってきました。

その後、ちょっと考えてみたのですが、自分にとっていい本とはこんな本です。

基準は、読んだときに受ける印象よりも、後々思い出す回数

例えばあるシチュエーションで、「このシーンはあの本の中に出てきたな」とか「この感情はあの本の○×というくだりに似ているな」と参照することの多い本がいい本です。

言い換えれば、自分がこれから経験することがあらかじめ本に書いてあって、経験したときに本の内容に戻るといった感じでしょうか。
そのため、自分の選ぶいい本は、どちらかというと年配の方が書いた、経験則的な本が多いような気がします(自分が「まだ」経験していないことを「先に」経験しているから)。

これを踏まえてこれから、自分の中でいい本探しをするときには、参照した回数をどこかにきちんと記録しておこうと思いました。

先見の明なし

お引越しの際、押入れから色んなものが出てきたのですが、引越しのとき「次は捨てよう」と思うのに、もったいなくて捨てられないものばかりです。

例えばMD。
確か高校生の頃に出始めて、音楽は全てMDで統一。
再録不可逆的なメディアなのに、我が家には300枚以上あります(泣きそう(まぁ、Sound Engineなるフリーソフト使うと.wavに変換できるらしい…けど面倒
http://www.cycleof5th.com/

例えばテレホンカード。
小学生のころから、熱中して集め始め、親戚の旅行のお土産、お小遣いなど小学生時代の全てをかけて収集してました。その数およそ200枚。
1,000円や3,000円のも混じっていたので、少なく見積もっても10万円強。
未使用以外はコレクションの価値なし、との思想にどっぷりはまっているので今でももったいなくて使用することがためらわれてしまいます。
もちろん、ほとんど無傷のまま残っています。

それにしても自分の先見の明のなさに恐れ入る(笑

『私は障害者向けのデリヘル嬢』

『私は障害者向けのデリヘル嬢』
ブックマン社
大森みゆき

読後の感想
多分真面目でいい娘なんだろうなぁ、と思わせる文章。見たまま、感じたままの文章で、障害者の性についての問題提起の一歩手前までは伝わってきました。
ただ残念ながら、どうするとか、問題解決の仮説までは届かない、ただ、「現時点では問題がある」との内容でした。
導入部分は不要かなと感じました。本題と余り関係がなかったので。

印象的なくだり
のほほんと生きている私たちが気づかないところで、たまたま身体の一部が不自由に生まれてきただけのことで、健常者が当たり前に解消できる欲求にさえ不自由を感じている人がいる。
身近に障害を持った人がいなければ、考えるきっかけにすら出会えないのかもしれない(P132)。

過去に読んだ類似の本と感想
『セックスボランティア』 河合香織 感想はこちら