実践!すぐ役立つ「勉強の技術」―頭のいい社会人の「読む」「選ぶ」「覚える」「考える」

実践!すぐ役立つ「勉強の技術」―頭のいい社会人の「読む」「選ぶ」「覚える」「考える」

三笠書房
高島徹治

読後の感想
 「勉強の技術」と銘打ちながら、あまり普遍的な勉強方法については触れず、だらだらと書かれています。

 久しぶりに読んだハズレの本。

 一貫した論旨がないので、その場を取り繕った文章が散見されます。

 後悔したいならオススメ。

気になったくだり

 論争中に、「キミ、それは常識だよ」と攻撃されても、いっこうに恐れることはないし、黙って認めてしまう必要もないのだ。
 なぜなら、まさに、危機こそは(反撃の)好機。「えっ、どうしてそれが正しいの」「なぜなの」と、常識の根拠を追及すればよい(P219)。

 このくだりはまさに「相手が答えられないということ」を前提としており、相手が答えられたときの自らが被る計り知れないダメージについてはいっさい触れられていない。
 そこまで考えているのかすら怪しい。
 筆者はこの後に、常識が本当に常識かどうか、じっくり考える必要(そして解決法)について述べているにもかかわらず。
 こんな付け焼刃の技術が、果たして役に立つのか疑問。

この本どう活用するか
 内容についてはどの本にも書いてあることしかありませんので、特に活用できません。

本は読みたし、時間は惜しし

 元ネタは「河豚は喰いたし命は惜しし」。

 本は読みたいんだけど、あんまり時間がない。睡眠時間を削って読むと、日常生活に支障をきたしそう。
 特に小説は夜読むとダメだね。

2007年の反省と目標、本について

 過去の日記でも書いたとおり、月に一冊目標を決めて読み進めたいと思っています。現在読んでいるのは太宰治の『人間失格』ですが、このペースだと、今日明日中に読み終えそうなので、次に着手したいと思っています。

 …というか、書かなくちゃいけない書評が数冊たまっていて、そっちが優先事項な気がしないでもない(←その通り

原理原則の本

『人を動かす』デール・カーネギー 感想はコチラ
『一冊の手帳で夢は必ずかなう』熊谷正寿 感想はコチラ
『ウェブ進化論』梅田望夫 感想はコチラ
『下剋上の時代を生き抜く即戦力の磨き方』大前研一 感想はコチラ
『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー 感想はコチラ
『時間の使い方のうまい人・へたな人』斎藤茂太
『人生を変える80対20の法則』リチャード・コッチ
『入社3年目までに勝負がつく77の法則』中谷彰宏 感想はコチラ

あゝ野麦峠―ある製糸工女哀史

あゝ野麦峠―ある製糸工女哀史
角川書店
山本茂実

読後の感想
明治・大正時代、岐阜県の飛騨地方から長野県の岡谷あたりまで、野麦峠を越えて生糸工場の工女として行った女工のノンフィクション。

 実際に女工として行った女性三百八十人に聞き取り調査を行い、それを基にして書かれた作品です。資料では出てこない本音や記憶が鮮やかに書かれています。

 誤解しやすいのは、当時確かに女工たちの待遇は良くはなかったのですが、それにもまして日本の山間部の農村が貧しかったということ、そして、生き残った多くの女工たちが工場の待遇について悪く言っていなかったということがあります。
 そのあたりと、当時の外国との関係を踏まえながら読むと、女工たちの身の上について非常に歯がゆいものが残る内容でした。

 初めて知ったことですが、女工の給料も当時の女性にしては極めて高い人もおり、一年で家が建つほど稼ぐ女工も少なくなく、一家でその女工を当てにしていたところもあったそうです。薄給というイメージだったので非常に驚きました。

印象的なくだり
 製糸業の中では原料がきわめて高価だということである。
 製糸業者がいつも問題にしていることは三つにつきる。
 すなわち、(一)糸相場、(二)原料繭買入、(三)工女確保である(P109)。

 「何しろ佐一つァ(二代目片倉兼太郎)は荒っぽくて、じき頭をこいて(なぐって)歩いたが、妙なことに、こかれた者ほど出世した」というのである。
 片倉製糸で九州の工場長をしていた浜正美<明治19・岡谷>も、「片倉では工女はされなかったが、男はよくくらしゃげた(なぐった)。
 オレが若いころでも忘れられないのは佐一つァが武州から干し芋を送ってきた時だ。
 すぐに工女にくれたが、後で佐一さが帰ってきて『せんだっての干し芋どうだったや』というから『すぐ工女にくれました。まだ少し残っています』といったら言下に『バカヤロー』とくらしゃげられた。

 オラ何のことかさっぱり分からなかったが、あとで『こういものは、まず全体の目方を計って何回分ときめてからくれてやらなければ半端になってしまうじゃないか、そんなことで製糸の経営ができるか!』といわれてなるほどと感心したことがあった」という(P320)。

この本に興味があるなら
現代の記録文学としては、石牟礼道子の「苦海浄土-わが水俣病-」(講談社文庫)が、体験者への聞き取りをして、類似の形式で書かれています。

不思議の国ニッポン 中流国家ニッポン

不思議の国ニッポン〈Vol.13〉中流国家ニッポン
角川書店
ポール ボネ

読後の印象
 在日フランス人の筆者との触れ込みだが、実は日本人の書いた作品で、偏った日本人観が時折垣間見れる作品です。特にペンクラブや一部メディアに対する反対については若干感情的かなと思われるくだりもままありました。同属嫌悪かと。
 かなり保守的な考え方が強く現れています。

 しかし、書いてあること自体は、昔の作品にしては先見の明アリと思わせるところも多いです。特に自由競争についての考え方はなかなかのものです。

印象的なくだり
 少数派が多数派に対して”反対”を唱えるならば、単に多数派の横暴を訴えるだけではなく、多数派の論理を論破するだけの根拠を持たねばならない。
 また”反対”の声を挙げることによって、その声が何等かの影響を及ぼさなければ意味がない(P193)。