パプリカ

監督
今敏

試聴後の感想
端的に言うと最高に良かったです。
ストーリーは単純明快で分かりやすかったし、何より近未来的な雰囲気がCGとアニメでかなり印象的に描かれていました(サイバーパンクって言うらしいですよ)。
途中物質(冷蔵庫とかおもちゃのロボット)が人間的になり、踊りながら行進する場面があるのですが、まさに「よく動く」の一言。
完成度高すぎです(クレジット見たら予想通りProdactionI.G.入ってるし何よりこの世界観はアニメでしか表現できません。
七五調のセリフが頭から離れません(笑)。

音楽は我らが平沢進御大。
主人公の千葉の二面性を象徴的に表すオープニングにのせて流れる
平沢進の楽曲は引き込まれます(僕はオープニングだけ五回繰り返しました
最近の流行なのか俳優を声優にすることもなく、きちんと声優が演じているところもかなり好感が持てます。アムロがいるよ(笑)、大塚明夫さんも。

マトリックスとか好きならオススメかと。
あ、原作は筒井康隆。

Amazonによる内容の説明
医療研究所が開発した他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”。だがそれが盗まれ、悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するように。一体、犯人の正体は? そして目的は何なのか? 事件の解明に挑む美人セラピストの千葉敦子は、クライアントの夢の中へ容姿も性格もまったく違う夢探偵“パプリカ”となって入っていくが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていたのだった…。
『千年女優』などで知られる今敏の最新作アニメ。アニメの魅力のひとつはメタモルフォーゼにあるが、本作ではそれが人物ひとりの変容だけでなく、世界を変容させていく。例えば刑事の夢の中に入った時は、瞬時に場面が『ターザン』の一場面になったりスパイ映画になったりするのだ。夢の世界が舞台なだけになんでもできるという状況を、今敏監督は逆手にとってまさにイマジネーションの洪水ともていうべき展開を見せるのだ。ストーリーも魅惑的だが、その映像に酔いしれること確実の、アニメとしての魅力にあふれた素晴らしい作品だ。(横森 文)

『南極物語』

南極物語
高倉健
渡瀬恒彦

感想
子供のときテレビでチラッとみてあらすじは理解していたのですが、改めて鑑賞。
まぁ有名なお話なのでネタバレも何もないですが、犬が置き去りにされるお話です。

撮影に三年もかけただけあって映像は壮大で雄大、氷原を犬たちが走るシーンは見ものなのですがいかんせんカメラワークがひどい。
上下にぶれまくりでとてもではありませんが見るに耐えません。
また、売りであるお涙頂戴もののストーリーも改めて見ると難ありでした。
例えば、犬を置き去りにせざるをえなかった理由もいまいちきちんと語られなかったり、犬と人間の結びつきを示す場面もそんなにないので、なぜ潮田さんがあれほど辛い気持ちになるのか、感情移入がしづらかったです。
一番の疑問点は、取り残された犬たちがどうやって冬を越したかの再現。
この部分は完全に創作であるわけで、ちょっとご都合主義であると感じました。

あと荻野目慶子があんなに大写しになる必然性があったんでしょうか?疑問だ。

あ、ヴァンゲリスの音楽は最高でした。

『夜と霧』

『夜と霧』
アラン・レネ

感想
重い。重すぎるよ。
わずか30分間なのに、この圧倒的な視覚的影響力。
思わず目を背けたくなるような死体の山と目を見開いたまま苦悶の表情の死体の映像。
当時の記録として残しておいたためか、淡々と撮っているのが逆に恐怖です。
資料映像ですが、もっと多くの方に見てもらいたいと思いました。
写真と映像とが入り混じっており、写真は割とよく見るものが多かったですが、映像は初見のものだらけでした。
V.E.フランクルの著作『夜と霧』とは内容的な関係ありません(「夜と霧」とはヒットラーの特別命令の名前なので)。

『秒速5センチメートル』

秒速5センチメートル
新海誠
水橋研二, 近藤好美, 尾上綾華, 花村怜美

感想
相変わらず空と雲の使い方がキレイ。嘆息なのです。
もうすぐお引越しをするせいなのか、不覚にもちょっとホロっときてしまいました。
最後のところは賛否両論みたいですが、個人的にはチョット…(ネタバレになるので深くは言えません)。
アニメの映画を見る趣向のない方にもオススメできる作品です。その意味では『時をかける少女』と共通する点があるかも。

例によって、両毛線の岩舟駅と種子島に行きたくなる罠。

進化論と白身魚フライ(映画の紹介)

 ナイルパーチという魚がいる。かつて和名で白スズキと呼ばれていた魚である。現在は優良誤認を与えるおそれがあるらしいので使われていないが。
 名前は知らなくても、マクドナルドのフィレオフィッシュの原料といえば想像がつくのではないだろうか。実はあの魚、アフリカはタンザニアからはるばる運ばれてくる。
http://www.jica.go.jp/branch/shikoku/jigyo/voice/h16kaigai04.html

 何ヶ月か前、『ダーウィンの箱庭ヴィクトリア湖』という本を読んで衝撃を受けた。くだんの湖は淡水湖でさまざまな生態系の魚がいたのだが、肉食の外来魚ナイルパーチを放流したことによって、もとの環境は一転。生息していた魚が激減し、外来魚が増える、で、その魚を輸出しタンザニアは外貨獲得。周囲は潤うが、それに伴って様々な問題も生じた、というのが大まかなあらすじ。

 で、同じ内容を基にした映画がある。『ダーウィンの悪夢』という映画。前回調べたときは、フランス語とドイツ語のDVDしかなくって、断念した。どちらの言語も理解は皆無である。
http://www.darwinsnightmare.com/

 大変面白そうだったので、見たかったなぁと落胆していたら、先日日本で公開されることが決まったらしいと知った。上映する場所は少ないけど。是非観たい。

 但し、注意として。あくまでもドキュメンタリ映画なので監督の主張が入っていることを忘れないよう観ようと思う。ホテルルワンダの時もそうだったけど、都合の良い事実と悪い事実を取捨選択している可能性も考慮に入れないと。

 ちなみに愛知県では1月27日から。詳しい上映予定は下記よりどうぞ。
http://www.darwin-movie.jp/theaters.html

 デートには不向きです(笑

一読すると吉
http://d.hatena.ne.jp/nabeso/20060929
http://jatatours.intafrica.com/habari47.html