『ほしのこえ』

『ほしのこえ』
新海誠

視聴後の感想
これが個人製作だというのは恐れ入る。
キャラデザインは好みが分かれるところだと思います。自分はちょっと好きにはなれませんでしたけど。
距離が遠ざかるとメールが届くのが遅れる、という設定は非常に面白く、またウラシマ効果も加わってせつなかったです。
厳しいことを言うと、折角の設定がすべて二人の恋愛を阻害する要素にしか使われていなかったので、もう少し世界観を出すために使ってもよかったかなぁと。あと短すぎ。
残念ながら全体的に『秒速5センチメートル』のほうがおすすめです。

同じ監督による別の作品
『秒速5センチメートル』感想はこちら

Amazonの説明
自主制作映画の上映会などで好評を得てDVD化された、新海誠監督の自主制作によるSFラブストーリー・アニメーション。21世紀の半ば、国連宇宙軍のロボット・パイロットに選ばれ、宇宙へ飛び立っていった中学生の少女・美加子(武藤寿美)は、地球に残る同級生の昇(鈴木千尋)と携帯メールで彼女と連絡を取り合うが、距離が離れるにつれて互いのメールが届く時間も長くなっていく…。ピュアな恋愛とSF的な要素が奇妙なバランスでミックスしながら、不思議で独特の世界観を醸し出す。個人制作アニメとしての技術レベルも相当に高いが、それ以上に作り手の熱意そのものが作品の質に大いに貢献しているともいえよう。これから映像制作に挑もうとしている若い世代にも希望を与えてくれるであろう作品である。(増當竜也)

内容(「GAGAデータベース」より)
『雲のむこう、約束の場所』の新海誠が手掛けたSFラブアニメ『ほしのこえ』の本編のみ収録した廉価版が登場。中学生・昇の同級生・美加子が、ある日国連宇宙軍のメンバーに選抜される。昇は地球後にした彼女とメールで連絡取り合うが…。

パプリカ

監督
今敏

試聴後の感想
端的に言うと最高に良かったです。
ストーリーは単純明快で分かりやすかったし、何より近未来的な雰囲気がCGとアニメでかなり印象的に描かれていました(サイバーパンクって言うらしいですよ)。
途中物質(冷蔵庫とかおもちゃのロボット)が人間的になり、踊りながら行進する場面があるのですが、まさに「よく動く」の一言。
完成度高すぎです(クレジット見たら予想通りProdactionI.G.入ってるし何よりこの世界観はアニメでしか表現できません。
七五調のセリフが頭から離れません(笑)。

音楽は我らが平沢進御大。
主人公の千葉の二面性を象徴的に表すオープニングにのせて流れる
平沢進の楽曲は引き込まれます(僕はオープニングだけ五回繰り返しました
最近の流行なのか俳優を声優にすることもなく、きちんと声優が演じているところもかなり好感が持てます。アムロがいるよ(笑)、大塚明夫さんも。

マトリックスとか好きならオススメかと。
あ、原作は筒井康隆。

Amazonによる内容の説明
医療研究所が開発した他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”。だがそれが盗まれ、悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するように。一体、犯人の正体は? そして目的は何なのか? 事件の解明に挑む美人セラピストの千葉敦子は、クライアントの夢の中へ容姿も性格もまったく違う夢探偵“パプリカ”となって入っていくが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていたのだった…。
『千年女優』などで知られる今敏の最新作アニメ。アニメの魅力のひとつはメタモルフォーゼにあるが、本作ではそれが人物ひとりの変容だけでなく、世界を変容させていく。例えば刑事の夢の中に入った時は、瞬時に場面が『ターザン』の一場面になったりスパイ映画になったりするのだ。夢の世界が舞台なだけになんでもできるという状況を、今敏監督は逆手にとってまさにイマジネーションの洪水ともていうべき展開を見せるのだ。ストーリーも魅惑的だが、その映像に酔いしれること確実の、アニメとしての魅力にあふれた素晴らしい作品だ。(横森 文)

『南極物語』

南極物語
高倉健
渡瀬恒彦

感想
子供のときテレビでチラッとみてあらすじは理解していたのですが、改めて鑑賞。
まぁ有名なお話なのでネタバレも何もないですが、犬が置き去りにされるお話です。

撮影に三年もかけただけあって映像は壮大で雄大、氷原を犬たちが走るシーンは見ものなのですがいかんせんカメラワークがひどい。
上下にぶれまくりでとてもではありませんが見るに耐えません。
また、売りであるお涙頂戴もののストーリーも改めて見ると難ありでした。
例えば、犬を置き去りにせざるをえなかった理由もいまいちきちんと語られなかったり、犬と人間の結びつきを示す場面もそんなにないので、なぜ潮田さんがあれほど辛い気持ちになるのか、感情移入がしづらかったです。
一番の疑問点は、取り残された犬たちがどうやって冬を越したかの再現。
この部分は完全に創作であるわけで、ちょっとご都合主義であると感じました。

あと荻野目慶子があんなに大写しになる必然性があったんでしょうか?疑問だ。

あ、ヴァンゲリスの音楽は最高でした。

『夜と霧』

『夜と霧』
アラン・レネ

感想
重い。重すぎるよ。
わずか30分間なのに、この圧倒的な視覚的影響力。
思わず目を背けたくなるような死体の山と目を見開いたまま苦悶の表情の死体の映像。
当時の記録として残しておいたためか、淡々と撮っているのが逆に恐怖です。
資料映像ですが、もっと多くの方に見てもらいたいと思いました。
写真と映像とが入り混じっており、写真は割とよく見るものが多かったですが、映像は初見のものだらけでした。
V.E.フランクルの著作『夜と霧』とは内容的な関係ありません(「夜と霧」とはヒットラーの特別命令の名前なので)。

『秒速5センチメートル』

秒速5センチメートル
新海誠
水橋研二, 近藤好美, 尾上綾華, 花村怜美

感想
相変わらず空と雲の使い方がキレイ。嘆息なのです。
もうすぐお引越しをするせいなのか、不覚にもちょっとホロっときてしまいました。
最後のところは賛否両論みたいですが、個人的にはチョット…(ネタバレになるので深くは言えません)。
アニメの映画を見る趣向のない方にもオススメできる作品です。その意味では『時をかける少女』と共通する点があるかも。

例によって、両毛線の岩舟駅と種子島に行きたくなる罠。