『グズをなおせば人生はうまくいく―ついつい“先のばし”する損な人たち』

『グズをなおせば人生はうまくいく―ついつい“先のばし”する損な人たち』
大和書房
斎藤茂太

読後の感想
 決して特別なことが書いてあるわけではありません。そして、決してできないことが書いてあるわけでもありません。
 実行すればいいことがある、そんな気持ちを分かりやすく沸き起こす一冊です。
 知ったかぶりのお話は、響きました。肝に命じて気をつけます…。

印象的なくだり

そもそも「やりたくない」気持ちが、後になって「やりたい」気持ちに変わるわけではないのだから、時間があるうちにすぐにやってしまったほうが、いつまでも「早くやらなくては」という気持ちを引きずるより、じつはずっと楽なのである。
では、やりたくないことにやる気を出すには、どうすればいいか。
もっとも有効なのは、「いやなことの次に、すきなことをする」、あるいは「いやな仕事の次に、かなり急ぎの仕事を入れる」というスケジュールを立て、それを実行することだ(P038)。

人はどんなときに大きな不安を感じるか。そえは、未知のものを前にしたときである。
(中略)こんなふうに「わからないこと」だらけだから、不安なのだ。
逆に、「わからない」ことが少なければ、不安感も軽減される。
つまり、何か行動を起こすときはできるかぎり下調べをして、「わからない」ことを減らしておくことが大切だ(P089)。

マルクス主義者で日本社会党左派の指導者だった向坂逸郎氏は、知人から「酒も煙草もやらないで、どこに人生の楽しみがあるのですか」と問われ、こう答えた。
こんなにおもしろい人生なのに、どうして酒や煙草が必要なのか」と(P108)。

知ったかぶりをした経験は、誰しもお持ちだろう。
(中略)しかし、こんなふうに知ったかぶりをすることを繰り返していると、「何も知らないことはない」とふるまうことが癖になってしまう。これは困る。
その理由は、三つある。
第一に、相手に「何でも知っているなら、話さなくていいや」と思われるため、話が広がらず、見聞を広めるチャンスを逃すからだ。
「知らない。教えて」と正直に言えば、相手は進んで知識を披露し、あなたが興味を示せば、もっと深い世界に誘ってくれるかもしれないのに。
第二に、「何でもわかっているなら、私が協力するまでもないだろう」と思われ、協力者を遠ざけてしまうからだ。
それどころか、仕事のシーンでこれをやってしまうと、知らないことに右往左往してろくな成果を上げられず、「口ほどのことはない。何もできないグズじゃないか」と蔑まれる結果になるだろう。
第三に、知ったかぶりはばれることが多く、「鼻につくヤツ」と人から嫌われるからだ。
知ったかぶりをしたために、逆に突っ込んだ質問を受け、タジタジになった……なんて話はよく聞く。

断言するが、言いにくいことほど、会って話すのが礼儀である(P231)

だまされる人の共通点―弁護士が明かす

だまされる人の共通点―弁護士が明かす
主婦の友社
丸山和也

読後の感想
 著者の経験談に基づき書かれているので、分かりやすく、読みやすい本です。
 ただ、本当に役に立つには、5章の「だまされないための交渉術」でした。ここはオススメで、ここだけのために本を買っても惜しくはないと思いました。

印象的なくだり

紹介者がいる場合、紹介者がその人について、ある程度の説明をしてくれる。
たとえば、その人の人柄とか、自分とはどういう関係なのか、という情報だ。
もちろんその説明によってわかる面もあるのだが、その情報はあくまでその紹介者の判断であることを肝に銘じておくべきだ。
100%その情報を信用して、頼ってしまうと危険な面もある。
どのような情報を好材料として評価するかというと、紹介者とその人が何年にもわかって付き合っている場合だ。
他人と長い付き合いができる、そういう関係を築くことができる人というのはプラスの評価をしやすい。
自分が付き合っても、それに準じた付き合いが出来る可能性が高いからだ。
(中略)ひとついえるのは、紹介者が人を連れてくる場合、その人は、紹介者の人間性やレベル、質などとけっこう似たようなものを持っているということだ(P016-017)。

もし、いま誰かと争うことを考えている人は、「争う」ということがどういうことか、よく考えてから行ってもらいたい。
一時期の感情で争いを起こしても、時間と費用だけがかさみ、結果として何も得られない可能性も大きいのである。
それこそが争いの本質なのだから。でも、それを超えても「やる」というのなら、それも酔狂(P091)。

弁護士の考え方にもよるが、1通につき何万円と決めて内容証明だけを出す仕事をする人がいる。
弁護士の名前で内容証明を出すことで、相手に心理的なプレッシャーをかけることを目的としているのである。
弁護士も「お役に立つかどうかわかりませんが、とりあえず、出すだけは出してみましょう」という感じで引き受けているのだろう。
しかし、基本的に私は内容証明だけを出す仕事は引き受けない。あとの責任が持てないからである。
交渉事は相手のあることであり、何か動きが起これば、話がどんどん進んでゆく。
名義貸しのようなカタチで内容証明を出したはいいが、相手から連絡がきらたどうするのか(P120)。

交渉で勝ちたいのであれば、まず自分から相手に攻め込むことである。
それこそが正攻法であり、成功率も高い。自分の側が流れをつくり、主導権を握ることができるからだ。
逆にいえば、いったんできてしまった流れをひっくり返すのは非常に難しいということである(P180)。

戦えば勝つのはわかっているが、本音の部分では戦争はぜひ避けたいと思っている。そこが相手の弱みである。
逆にいえば、弱い立場であるこちらが強くなる部分だ。「戦争を避けさせてやる」それがこちらの強みとなる。
ここをうまく見抜けるかどうか、これこそが生きた駆け引きなのである
(P185)。

交渉は喧嘩ではない。相手を認めるところがないと話が成立しないのだ。少なくとも交渉の過程で相手を「敵」でなくしていかないといけない。
そのためには、「こいつは人間的に愛すべきヤツだ」と思わせるのが得策である。
交渉のうまい人というのは、戦いながらそういうことをしていける人で、ほんとうにすごい。
ただし、気をつけたいのは、失敗談といっても自分の仕事の能力を疑われるような話はしないことだ。
「人柄はいいけど頼りにならない」という印象を与えてはいけない。不安感を与えてしまうからだ。
あくまで、仕事の能力と関係のないプライベートの失敗談が無難である(P192)。

「この問題では自分が不利な立場にいる」「状況がよくわからず準備不足である」など、自分の側に十分な自身や強さがないときは、あまり長時間の交渉をしてはいけない。
「さっ」と行い、できるだけ早く切り上げることだ。ない理由を無理やりつけてでも、その場を離れるべきである。
こちらの態勢が十分でないときに長時間の交渉を行うと、相手に有利な形で形勢が決まってしまうことがあるからだ(P195)。

自分のしたことのペナルティとして慰謝料を請求するのだから、相手が「痛い」と思う金額でなければ意味がない(P210)。

もし、自分がなんらかの事情で慰謝料などを請求される立場になったら、自分から「いくら払います」と金額をいっさいいわないのもひとつの戦法である。
じつはそういう相手こそが弁護士にとっていちばんやりにくいのだから(P212)。

『ホームページにオフィスを作る』

ホームページにオフィスを作る
光文社
野口悠紀雄

読後の感想
自分自身を表すようなサイトを作りたいと思って読み始めた本です。
まずは、自分にとって便利なものを作る、という目標を与えてくれた本です。
個人で作るというより、団体で運営するときに参考になる本だと思います。

印象的なくだり
(前略)、「自分が使って意味がないようなホームページであれば、他の人が見ても意味がない」ということを確認しておこう(P038)。

インターネットは、どんな人でも自分の意見を全世界に向けて発することができるという意味で、画期的な意味をもつメディアである。
ただし、「自由に発言できる」ということが、半面において大きな危険をもっていることも事実である(P063)。

私は、複雑な情報の伝達に関してはテレビの能力に大いに疑問を抱いているのだが、宣伝能力に関しては、脱帽せざるをえない。
テレビは、まさに、現代社会の怪物である(P121)。

つまり、「自由の確保」ということが、自前のサイト運営に踏み切った最大の理由だったのである(P122)。

アクセスを増やし、リピーターを確保するための方法は、以下に述べるように、いくつか考えられる。
ただし、経験から分かった最も重要な結論は、「一に更新、二に更新、三に更新」だ。
つまり、できるだけ頻繁に更新し、つねに新しい情報を提供することである。
これは、考えてみれば当然のことだ。
「アクセスしたところでいつも同じ内容」というのでは、すぐに飽きられてしまう。
インターネットの利用者は、きわめて短気で、移り気なのだ(私自身が、他のサイトを利用するときには、そうである)(P172)。

実は、本当のデバイドが発生するのは、パソコンやインターネットでは処理できない専門的な仕事だ。
(中略)しかも、パソコンやインターネットでできないサービスの価値は、パソコンやインターネットの使用が増えれば増えるほど、増加する。
そして、こうした分野の高度な専門家は、簡単には育成できない。
だから、彼らの価値は、IT時代においては、きわめて高くなるはずである。つまり、IT時代における本当の差は、IT以外のところでつくのである(P203-204)。

ネットで得られるのは、細切れの断片情報だ。学校教育では、そうした断片情報を位置づけ、評価するための「知識」の体系を教える必要がある。
だから、むしろネットからは遠ざけなければならない(P206)。

マリア様がみてるマーガレットとリボン

マリア様がみてる
マーガレットとリボン
今野緒雪

読後の感想
相変わらず全く進まない時間軸ですが、今回はちょっとやりすぎ。
晩節を汚してはいけない。綺麗に終わらせるべき。

ただ、先代の薔薇様方のお話は思いのほかよかった。
予定調和感がないからだろうか。

過去のシリーズ
マリア様がみてる薔薇の花かんむり
感想はコチラ

「婚活」時代

「婚活」時代
山田昌弘
白河桃子

読後の感想
「婚活」とは、結婚活動の略。
かつては自動的に結婚できたのだが、いまや就職活動と同じように、結「婚活」動が必要なのだ、というのが本の骨子です。そして、どのような活動が必要なのか、ということが書かれています。
 題材が身近なせいか、引き込まれるように読めました。原因は分かりませんが、結論についての感想は共感の持てるところです。また文章も平易で分かりやすいです。
 そして、結婚はかつてのような生活必需品ではなく、嗜好品になった、という記述は、激しく同意なのです。

Yさん、薦めていただきありがとうございました。

印象的なくだり
なぜ、こんなに男性たちが受け身になってしまったかというと、やはり、傷つくのが怖いからでしょう。今、日本の男性たちのハートはガラスのように繊細です。
実際、男性の中には、「恋愛引きこもり」のようになってしまっている人がたくさんいます。
傷つくよりも「二次元の女性」で満足。または「絶対にOK」と確信できるような女性しか口説きません。
だから、女性の「婚活」には積極性を求めますが、男性の「婚活」にまず必要なのは、傷つくことを怖れない勇気をもつことだと、わたしは考えています(P038)。

結婚後、女性とうまくやっていけそうな人たちは、とっくに狩られてしまっているのです(P064)。

先ほどもふれましたが、結婚に関して、男性の責任のハードルを高く設定している人ほど結婚できません。
でも、それは責任感が強いからではありません。責任をとりたくないだけのことです。
そういう人は、どこまでいっても責任がとれるようにはなりません。結局、責任をとる気がないのです(P092)。

「結婚しない男」には婚活は必要ありません、必要なのは、流される勇気だけです(P095)。

親たちにしてみたら、自分たちが当たり前に超えてきた結婚というハードルを、なぜ自分の、しかも、ちゃんとまじめに仕事をしてきたふつうの息子や娘たちが超えられないのか、理解の範疇を超えているはずです。
今は恋愛の時代だから親はとやかく言うべきではない、待っていればそのうち結婚するだろうと思っていたら、いつまでたっても気配がない。
もうしょうがないのでと、重い腰を上げてやってきているというところでしょうか(P130)。

合コンが、「婚活」としては効率が悪いもう一つの理由は、合コンで魅力を発揮する人のタイプが限られると言うことです。
短時間で相手のニーズをつかみ、自分をアピールでしていく、いわば一発勝負に長けた人は有利です。
じっくりしゃべらないと魅力が発揮できないタイプの人にはきわめて不利です。
ただ、女性が男性を判断する場としては、その人の集団の中での立ち位置が見えるという点で優れています。
男性というのは社会的な生き物なので、集団の中で見ると、「この人はまとめ役なんだな」とか「この人は、端っこのほうで盛り上がりからちょっと出ちゃったような子にもちゃんと声をかけてくれる人なんだな」といったことがわかります(P134)。