わかったつもり 読解力がつかない本当の原因

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因
光文社
西林克彦

読後の感想
 文章は読めるけど意味が分からない、という理解不十分の原因について書かれた本です。
 平易な文章と例題がいくつか登場するので、読み進め易い本だと思います。
 いくつか、パターンを分けて解説してありますが、大きな原因の一つは既知のことがらが正確に読解することを阻害するといったものです。

印象的なくだり

実は論理的にいえば、様々な状況で法則が成立することは、その法則の「確からしさ」や「耐力」を増しはしても、「正しさ」を証明するものではありません。
適用された状況には必ず限りがありますし、未だ適用されていない状況は、原理的に必ず存在するからです。
また、帰納法についても同様です。
帰納はいくら数が多くても、必ず限りあるデータに依拠していますが、法則は「全ての……は……である」のように普遍的に言いきるかたちをとっており、そこには必ず論理的な飛躍がつきまとうからです。
法則を得る過程が論理的だから、法則が法則たり得るのではないのです。法則を得る過程は非論理的であっても、またはよくわからなくでもよいのです。
法則として重要なのは、導かれる過程の論理性(実はこれは求められないのですが)ではなく、それが導き出された状況以外のところでテストしたとき、「整合的」であるかどうかなのです。
テストの結果が予測と整合的でなければ、その法則は反証されます。
そして、逆にテストの結果と法則と整合的であれば、その法則は当面の耐力を示したことになり、維持されてよいことになります。
これが験証とよばれるものです(P193-194)。

すごい会議-短期間で会社が劇的に変わる!

すごい会議-短期間で会社が劇的に変わる!
大和書房
大橋禅太郎

読後の感想
 非常に薄い本ですが、会議や話し合いのやり方について大いに参考になる本です。
 形式的になっている話し合いをなんとかしたいなら、是非読むべきだと思います。

印象的なくだり

紙に書いてから発表すること
人の意見を気にすることなく、それを発表するしくみを手に入れた(P051-052)

「誰がどの部門を主に担当すれば、最も効果的に戦略的フォーカスを達成できるか」という質問をした。
僕にとってはちょっといやな質問だ。
いまは技術の担当をやっているが、それが世界一好きとか上手というわけではなく、できれば製品設計やマーケティングにクビをつっこみたい。
彼は「誰がどの部門を担当したいか?」ではなく、「誰がどの部門を担当すれば最も効果的か?」という質問をしてきたのである(P074)。

「その言い方だったらかえって『NO』と言ってくれよ」という「YES」は組織のなかでよく見る。
言葉そのものも重要だが、その裏に流れているコンテキスト(流れ、雰囲気、行動背景)が、相手がその言葉から受ける「意味」を決定づける(P104)。

この本をどうやって活用するか
問題を「どのようにすれば」に置き換える(P058)

→「○○ができない」で止まるのではなく「じゃあ、○○ができるにはどうすればよいか」に置き換えて考えるよう意識し、癖を付ける。

V字回復の経営

V字回復の経営
日本経済新聞社
三枝匡

読後の感想
 実話をもとにした企業建て直しのドラマです。
 こういった組織には属したことはないですが、ところどころどのような組織にも生じている症状が出てきて、「あれが問題の一因だったのか」と思いながら読めました。
 実話を基にしているせいか、細部の作りこみも細かく、引き込まれるように一気に読めました。

印象的なくだり

危機感を持ちクールに問題に切り込もうとする人のほうが、現場からは嫌われていた。
トップが社内の人望を集め、周囲の役員やスタッフが批判される構図は、それ自体が病気の現象である。
トップが自らハンズオン(現場主義)の経営スタイルをとらない限り、組織の危機感を保つことはできない。
しかしそうなれば、トップが温かな人気者であり続けることはない(P026)。

「同じ人々が、同じ会社で、同じような行動パターンを続けていて、果たして会社を変えることが可能なのか」という疑問である。
常識的にはこの答えは「ノー(無理)」である
(P037)。

重要なことだが、スターやエリート層のいない組織で変革は絶対に起きない。
エリートとは「選ばれた者」というよりも、「集団への責任を自覚した者たち」と解すべきなのだ(P038)。

改革者が有効な手を打つために第一歩は「事実の把握」だ。
自分で組織末端を歩き回り、「ハンズオン」つまり自らの手で現場の細目に触れて事実を確かめなければならない(P041)。

変革の第一歩は、まず眼前の事実を事実として認識すること、異なる見解や多様な価値観を表に出してその違いを認め合うことだ。
そのためには、現実と向き合う心を持たなければならない(P112)。

手作りの椅子をまるごと一つずつ組み立て、それを自分で売った職人は、自分の作った椅子で顧客が満足してくれたかどうかに敏感だ。
お客に嫌われたら、その痛みは自分の痛みでもある。
そこで職人は技術を磨き、モダンな椅子のデザインを自分で工夫し、商品に新しい感性を入れようと自分で努力する。
しかし椅子の世界にもアダム・スミスの分業論が導入され、工場では毎日、椅子の「脚」だけしか作らない職人がいるようになった。
彼らは自分の作った脚が他の職人の作った部品とピタリと合うように、会社の決めた部品規格や品質基準に組織ぐるみで従うことを求められた。
人が機械のように働くことが重要になった。そうなると個人はモノ作りの楽しさから遠ざかってしまう。
また顧客の不満を自分の痛みとして感じ取る度合いも低くなる。
完成した椅子がいくらで売れるかよりも、自分は賃金されもらえればいいという人が増える
(P133)。

人々に「強烈な反省論」を迫るには、徹底的な事実・データに基づく追い込みが不可欠(P206)。

レバレッジ・リーディング

レバレッジ・リーディング
東洋経済新報社
本田直之

読後の感想
 ビジネス書の読書方法についての書かれた本です。
 熟読よりも多読を進めており、累積効果に主眼が置かれています。
 自分はこの本に影響されて、本の一部をメモするようになりました。
 この本を読んだ当初は、何をしたら良いのかとそもそも迷っていた時期にあったことも手伝って、こういった即戦力とするような本の読み方に無意識のうちに抵抗感を感じていました。
 しかし、多くの本を読むことによってある程度バックボーンができると、ようやくこの人の言ってることが理解できた気がしました。
 その意味でも、この本は読んだときの自分の立ち位置によって、大きく変わるし、読むたびに新しい発見があって素晴らしいと感じています。
 書いていることはそれほど難解ではありません。
 読書する習慣の無い人に是非読んで欲しい一冊です。

 この本を読んで最も良かった点は

同じ本を読むと考え方を共有できる
自分が読んだことのある本を、他の人にも読んでもらうことのメリットは他にもあります。
同じ本を読むことで、共通認識を持つことができるのです(P071)。

の部分でした。
 全く考えたことの無い発想でした。
 これに影響を受けて、自分が良かったと思う本を友人に薦めたり、またいろんな人にオススメの本を聞いたりするようになりました。

 162ページにある本田さんのお勧め本のリストは本を選ぶときの参考にしています。

印象的なくだり

汗水たらし、血のにじむような努力をした他の人の数十年分の試行錯誤の軌跡が、ほんの数時間で理解できるよう、本の中には情報が整理されているのです(P022)。

一般的に言って、ゼロから何かを生み出そうとすれば、大きな犠牲を払わなければならないうえに、とてつもなく長い時間がかかります。
しかも成功する保証はどこにもない。せっかくの努力が、徒労に終わるかもしれません。
わたしを含めた九九%の人間は、誰か成功した人のやり方を学んで、そこに自分なりの応用を加えるのが、成功への近道だと思います。
試行錯誤に時間や労力を使うのではなく、結果を出すために時間や労力を使うことができるようになるからです(P026)。

たとえ衣食住にかけるお金を多少削ってでも、本代にかけるべきだとわたしは思っています。
なぜなら、読書は究極の格安な自己投資だからです。投資である以上、元手をケチると、リターンもたいした額にならないのは当たり前です。
みんなが本を読まないということは、逆に本を読むだけでその他大勢から突出できるということでもあります。
大きなチャンスではありませんか。基本的に人間のレベルにそれほど大差はありません。
ただ、やるか、やらないかの違いだと思います(P036)。

本当は本を読めば読むほど、時間が生まれます。
本を読まないから、時間がないのです。
なぜなら本を読まない人は、他人の経験や知恵から学ばないからです
(P046)。

まず第一に必要不可欠なのが、「目的を持って本を選ぶ」ことです。
「自分の人生の目標は何か」「現状の課題は何か」という大きな目標があれば、「今、自分にはどんな本が必要か」ということが、はっきり意識できます(P056)。

即戦力になるのは、自分にとってやさしい本、読みやすい本のほうです。
ビジネスに役立つのは、理論より、実践のノウハウということです。
したがって「教養型」の本ではなく、「経験型」の本を選ぶべきです(P060)。

何冊も読むのが無駄だとか、もったいないということではありません。むしろ逆で、複数の本を読むからこそ、重要なポイントがわかるのです。
つまり、どの本にも同じことが書いてあれば、それは誰もが認める重要なポイントだと判断できるのです。
一冊の本だけに書かれていることは、その著者個人の意見かもしれません。
しかし、もし同じことを一〇人の著者が主張していたら、それはもう原理原則と呼べるのではないか。これがわたしの持論です(P065)。

わたしは誰かと話していて、「この人はすごいな」と思ったら、「最近読んだ本で何か面白い本はありましたか?」と尋ねるようにしています(P068)。

一番いいのは、わたしが毎朝決まった時間に風呂に入りながら本を読むように、すでに生活の一部分となっている習慣と、読書とを組み合わせてしまうことです(P107)。

最重要な読書後のフォロー
本を読んだことで、早くも満足してしまうのです。
せっかく投資した時間とコストを回収するためには、これから述べる「読書後のフォロー」を行うことが絶対に必要です(P138)。

メモすることで記録に残し、実践に使ってみましょう。
メモの内容を自分の中に刷り込んでいき、習慣化することで正しいやり方を身につけたり、あるいは実践のプロセスで、メモしたことがそのままで使えるか使えないかもわかるでしょう。
そうした反復をしながら、自分の現実に合うようにアレンジすればよいのです。
そして、その洗練されたノウハウが自分のものになり、結果が伴うようになるのです(P140)。

一冊の手帳で夢は必ずかなう

一冊の手帳で夢は必ずかなう – なりたい自分になるシンプルな方法
かんき出版
熊谷正寿

読後の感想

 手帳の本というよりも、手帳という道具を通じての半自伝的な本です。
 また具体的な方法まで落とし込んで書かれているので、この本を読んでやる気があれば即、実行に移すことが出来ます。
 多分にもれず自分もファイロファックスを買ってしまいました。
 ただ少しだけ平易な文で書かれすぎており、深く考える部分が少ない印象もあります。

印象的なくだり

夢をかなえる方法の一つ、それは、手帳に書くことです。手帳に、自分の夢を書き込むのです。
将来の目標、やりたいこと、人生の計画、すべて手帳に書き込むのです。そして、その手帳を常に持ち歩くのです(P016)。

手帳を使って夢や人生をマネジメントするには、まず自分の「夢」や「人生の目標」をカタチにしなければいけません。
ますは自分の「夢」「目標」「やりたいこと」を長いスパンで考えて、それらを「やりたいことリスト」として書き出してみましょう(P030)。

でもこれは、人に見せるためのリストではありません。その人がどんな夢を抱こうと、個人の自由です。
人がどう思うかは関係ないのです(P031)。

仮に予定が一年遅れても、くよくよする必要はありません。
八十年はあろうかという長い人生において、一年の遅れなんて誤差のうち、あとで取り戻せばいいだけの話です。
ポジティブに考えて、夢を追い続ける姿勢が大切なのです(P044)。

たぶん、自分の現状を客観的に眺めると、夢とはあまりにもかけ離れた未熟な自分が随所で浮き彫りにされると思いますが、ここから逃げてはいけません。
夢と現実との乖離を埋める行動計画そのものが成り立たなくなるので、辛抱して”目をそむけたくなるような情けない”自分自身を見つめることが大切です。ここで現実を正しく見つめられなければ、その延長線上にある未来の姿を正確に見据えてそこに邁進することなど、できなくなってしまいます(P051)。

すべての目標を数値化する
日産自動車CEOのカルロス・ゴーン氏は雑誌で「数値化できない目標は『実行できない』とイコール」とコメントしていましたが、私は先ほども述べたように「数値化できない」目標は目標ではない」とまで考えています(P096)。

「人間は書物を通じて、人の一生を数時間で疑似体験できる。だから、本を読め。生涯、勉強し続けろ」と(P108)。

しかも、勉強すればするほど、自分が何も知らないことに気づきます。
その分だけまた、勉強の課題が増えます。勉強を始めたらもう、「これでおしまい」というところがないはずなのです(P111)。

私の思考の特徴の一つに「何事に対しても、すぐアクションに移すのではなく、まずそれを達成する一番効率のいい方法を考えてから、そのあとでアクションに移す」というものがあります。
これは「より早くゴールに突き進む」ためではなく「より早くゴールに到達する」ための考え方と言えるでしょう(P114)。

「大きな声で挨拶しよう。元気が出てくる」
「笑顔をつくろう。心が楽しくなる」
「人に礼儀を尽くそう。尊敬の念がわいてくる」(P123)

情報整理のコツはいろいろあると思いますが、私が一番重視しているのは「情報整理はサイズの統一から」という鉄則です(P148)。

そもそも私は、数字は一日に何度もチェックするものだと思っています。
月に一度のチェックでは「先月はダメだったから、今月はがんばる」となって、目標の達成に向けての努力が後手後手に回ります。
でも一日に三回チェックすれば「午前十一時の時点ではダメだが、午後三時までに成果を出す」くらいのがんばりが期待でき、それだけ成果もあがります(P191)。

他の人の書評を読んで
書評・雑感:がんばれ30代

とにかくまずは本書の内容にしたがって自分年表を作成することだと思います。この手の本は読後「ふーん」と関心だけして本棚の肥やしとしてしまう人が多いです。それは非常にもったいない。私も時間を見つけて自分年表を作成してみましたが、意外にも楽しく作業できます。私はランチ時間などを利用してやっています。

この本を読んでまず実行したのが、「自分年表を作ること」。
上記の方は、意外に楽しくできた、と書かれていますが、自分は結構苦痛でした。現実を突きつけられた、みたいな感じでした。
ただ、とにかく実行することが一番大切です、間違いなく。