『3分以内に話はまとめなさい』

3分以内に話はまとめなさい
高井伸夫

読後の感想
 話を短くすることによって生じるよい効用について、様々な視点から書かれている本です。

 どちらかというと「話し方」についての記述が中心です。短くする点については利点は書かれているのですが、方法論までは深く踏み込まれていません。

 話し方だけで評価がガラリと変わるという内容に共感を覚えました。また、まえがきにも書かれていますが、話し方を短くする目的は「コミュニケーションが完全に図られることで、言いたいことが伝わること」というのも共感がもてました。

印象的なくだり

 誰にも等しく与えられた二十四時間なのに、デキル人がたくさんの仕事をこなせるのは、一つの事柄に費やす時間が短いからです。
 短い時間を濃密に使っているのが、デキル人の特徴なのです(P019)。

 昔から「聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥」といいますが、現代のように進歩が急で変化の激しい時代は、人に聞かないで「すべてを理解している」「時流に乗り遅れない」などということはありえないのです(P037)。

 自己アピールする手段というのは言葉と行動の二つがあります。成果を得るうえでこの二つを比べどっちが重要かと言えば、それは結果を伴う行動のほうです。
 いくら口でうまいことを言っても、行動が伴わなければまったく意味がありません(P059)。

 成果主義は、「見えるようにしなさい。そうでなければ評価の対象になりませんよ」ということです(P061)。

 スピーチは前の話を受けて話すといい(P096)。

 批判するときに留意しなければならないのは、相手の面子をつぶさないようにすることです。
(中略)
 相手を批判するときは、まず批判の前に相手の話の中から、肯定できる材料を探しだし、その旨を先に伝えておく。
 それから批判に入るようにします(P166)。

 「失礼ですがメモを取らせてください」と断ること(断ればだいたいの人は駄目とは言わない)(P196)。

 必ずしも他人と異なった意見を言う必要はない。
 自分の意見が周囲の意見と異なっているなら、それを堂々と言えばいいし、もしみんなと見解が同じなら、それをはっきり表明すればいい。
 それが個性的な話し方なのです。
 大切なのは「自分がどう考えるか」ということ。
 「人とどれだけ違っているか」ではないのです(P197)。

 私たちの人生はストーリーが決まっているわけではない。
 この先どう転ぶかは、現在ただ今の言動にかかっているのです(P219)。

実践しようと思ったくだり

 ミーティングや会議の席で、自分の意見を言いたいのに、きっかけがつかめなくて、なかなか言えないことがあります。
 言えない理由は、相手が話しているのに下手に入り込むと、話の流れを中断してしまい、話していた相手に不快感を与えるだけでなく、その場の雰囲気まで壊してしまうおそれがあるからです。
(中略)
 そのような状況で自分が発言の機会を得るためには、「質問をする」というのが一番よい方法と言えます。
 質問をして、その質問に対する答えを受け、それをきっかけに話に割り込むという戦略です(P048)。

まずは小さな世界で1番になる―そこから人生は変わりはじめる

まずは小さな世界で1番になる
江村林香

読後の感想
 帯より「あえてハローワークからキャリアをスタートさせ、女性初の航空会社社長になった著者の「仕事と人生の戦い方」。」です。

 まず本の想定している読者ターゲットに自分が入っていないと、読み進めるのがものすごく辛い本になります。それから、この著者の進んできた時代がバブル期であることも念頭に置いたほうがよいと思います。

 著者の考えには、あまり同意は出来ませんでしたが、内容自体には理解できるものが多かったです。

印象的なくだり
 大きな会社で、潤沢な資金があるなら、多少のどんぶり勘定も許されるでしょう。
 でも、小さな会社はまず、経理をしっかりさせなければ生きていけないのです(P064)。

営業の一〇カ条
第三条 前日夕方までに、翌日の営業予定表を作る
実際にそのリストの訪問先すべてを回れなくてもいいのですが、まずリストを作ることが大事なのです。弊社では、このルールを三回破ると営業を辞めてもらいます。
これぐらいのことができない人、つまり自己管理のできない人には、営業という仕事は向いていないと思うからです(P076)。

「何とかならない?」でうまくいく(P096)
→やわらないネゴシエーション(交渉)の方法として覚えておく

 「正しい女の使い方」をお教えしましょう。
 それは、自分のファンを増やすことです。
 もっとわかりやすく言えば男性に、口説こうとまでは思わないけど、この子と会って話をすると楽しいな、と思ってもらえるファンを作ることです。
 ラブじゃなくて、ライクの関係ですね。
 ファンは、自分の好きな人に対してものすごくサービスしてくれるじゃないですか。
 自分のファンになってくれる男性は間違いなく、自分が喜ぶことをしてくれますよ。
 わからないことがあって尋ねれば、こちらが理解して納得するまで、根気よくていねいに教えてくれるし、悩み事があれば親身に相談に乗ってくれますから(P112)。

 もちろん社長業は楽ではありません。
 「人」「物」「金」を使うプロでなければならないのですから。
 「人」に関しては、社長はいつも孤独です。というより孤立した存在 です。非常に寂しい。そしてその孤独に耐えながら、常に冷静に社員を評価する必要があります。
 「物」については、会社が小さいうちにはとくに社長がトップセールスマンでなければなりません。エサが取れない社長には、誰もついてこないですから。
 「金」に至っては一番大変です。社長はいつも資金繰りで苦労するものです。売り掛け管理も精神的に大変です。
 督促業務などは、やさしい性格ではとてもこなせません(P123)。

 会社を「仲良しグループ」にしないために、社員に対する接し方の決め事として、次の三つのルールを設けました。
一、部下といっしょに多頻度で飲みに行かない
一、部下のプライベートに介入しない
一、部下の結婚式には出席しない(P130)

自己管理はビジネスマンの最低限のマナー(P135)

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」山本五十六(P139)

共犯者

共犯者
新潮社
松本清張

読後の感想

 タイトルと同名の短編小説を含んだ短編集。

 短い小説では松本清張のよさを出せていないのではないかと思う。『典雅な姉弟』ではその一片を見出せたが、やはりボリューム不足は否めない。

 この中で一番の作品を選ぶなら「発作」。この中で、ゆっくり人が狂っていく心情が見事に描かれており、流石です。

 権威に固執する能力なき老害、と自分の能力を信ずる狷介不羈の人物が作品の軸をなしていると感じた。

 せっかく松本清張を読むなら、長い作品をじっくりとじわじわと読んだほうが、味わえると思います。

入社3年目までに勝負がつく77の法則

入社3年目までに勝負がつく77の法則
中谷彰宏

読後の感想
 『面接の達人』などの著作で知られる中谷彰宏さんの著作。
 自己啓発の一角に大量にあるので、いつも目には入っていたのですが
読んだことはなかったので、折角なので読んでみました。

 まず著者に対する感想としては、柔らかい書き方をしてはいるが相当厳しい人だなぁと。
 いい人だなんて勘違いをしたら大変な目に遭いそうです。
 こういった人に認められるようにまで成長するのは嬉しいんだろうな、と思いました。
 また同時にこういった人を自分の近くに常におきたいと思いました。

 本についての感想として、全体として仕事を請けるという視線で書かれているので、嫌な仕事は請けないという視点で書かれており若干注意は必要かと思います。

印象に残ったくだり
 レベルは絶対下げないで、君を1人の人間として扱って、本当はかなり難しい話をしています。
 たとえば、講演で話をするときでも、既に会社で働いている人たちはメモを取ってうなずいて聞いているという話をしましたけれども、聞いている人の中でもメモを取っている人と取らない人がやはりいるわけです。
 どうせ後で落書きになってしまうかもしれないけど、メモを持ってきている人と持ってきていない人の差はついてしまう。
 持ってきても使わないというのはいい。面倒くさいし邪魔になるからと思って、持ってこない人は持ってこない。でも、持ってきている人は持ってきている。
 話に集中するためにメモを取らないという人もいるかもしれないけれども、これから君が会社へ入って上司とつきあっていくときは、「ふり」でもいいから絶対メモを取ったほうがいい。
 そうしたら、しゃべるほうは安心してしゃべれます(P034)。

 ここで覚えておいてほしいのは、クレームと苦情は違うということです。
 クレームはお客さんの要望です。
 クレームに対する対応がまずいと、今度は感情的な文句になっていきます(P045)。

 若い人が新しい仕事を始める。協力する人はほとんどいない。
 それまで自分が世話になった人、仲よくしていただいている人のところへすがりに行く。
 「儲けにならない仕事なんですが、一緒にやっていただけませんか」と頼みに行く。
 いい人だったら、きっと協力してくれると思います。
 でも、そこで仕事ができてよかったと思ってはいけないのです。
 なぜならば、協力はその1回で終わりです(P133)。

 上の人間から下の人間は見抜けますが、下の人間から上の人間を理解することはできません。
 相手がすごい能力を持っていても、つまらないヤツに見えてしまう(P145)。

 失敗は財産です。せっかく失敗しているのだから、それを書き残しておくことが大事です。
 書き残さないで、頭の中にぼんやりとした状態で残していると、いつまでたっても気持ちはつらい。
 悩みの状態で残っている(P159)。

 いったん落とした信用は取り返し不可能と考えないといけないと、子供のころからずっと教わってきました。
 いったんなくした信用を取り返すには時間がかかるという発想は甘いのです。
 時間をかければ信用が回復するというスタンスに立っているからです(P178)。

初めて起こるミスはない。前回の反省が足りないのだ(P196)。

 一番危険なのは、まず恥をかかないことです。
 もう一つは、恥をかいていることを意識しない、恥に気がついていない状態です。
 自分が今非常に恥ずかしいことをしているにもかかわらず、それが恥ずかしいことだと分からない(P230)。

実践できるくだり
 苦手な人ほど、挨拶をしておく。
 あの人は苦手だな、あの人にはきっと嫌われているなと思っている人がいるとします。
 そうしたら、僕はその人に対してはちゃんと挨拶をしておく。
 挨拶しておかないから、挨拶もされないし、ますます嫌われたかなということになる(P105)。

レバレッジ勉強法

レバレッジ勉強法
本田直之

読後の感想
 リーディング・シンキング・時間術と来て、ついに勉強法まで書き上げたか、と思い読み始めました。

 率直な感想、「レバレッジ」はあんまり関係ないような気がしました。タイトルに入れたかっただけでしょうか。
 勉強方法論としてではなく、目標の設定について書かれた本でした。タイトルに誤解が生じやすいなと思いました。

 もっとも役に立つと思われる記述は、情報の管理の方法(P172)だと感じました。情報をシェアするという視点は、非常に参考になりました。

すぐに実践できるくだり

 経営に必要不可欠な資産運用の知識は、年度末だけ「決算書が良くわかる」という類の本を熟読するより、日々家計簿をつけたほうが、ずっと深く勉強できます(P053)。

 無意識かつラクに勉強を続けたかったら、「型にはめる」仕組みづくりが有効です。
1.スケジュールを決めて型にはめる。
2.ノルマ化して型にはめる(P086)。

 大人も時間割を活用しましょう。勉強しようと決意した大人は、子どもに比べてはるかに意志が強く、目的意識も明確なのですから、より強固なツールになります。
 モチベーションを高めることばかりに注力して時間割の便利さを見落としては、空回りになります(P094)。

 休憩時間をどれだけ取るかも決めておくのが大切です(P106)。

 通読の途中、「一章分が終わった、三日間たった」という区切りがついたところで、必ずそこに該当する過去問をやります。
 物事はインプットとアウトプットがセットになったときはじめて定着します(P125)。

 情報をファイリングしてはいけない(P173)。