『24時間の使い方―2倍に使える時間の管理法』

『24時間の使い方―2倍に使える時間の管理法』
三笠書房
桑名一央

読後の感想
口頭のコミュニケーションについて触れられているところが新鮮でした。
1984年の本なのに、デール・カーネギーの『人を動かす』が引用されているところに、驚きました。やっぱりいい本は多くの本に引用されるのですね。
速読についてのくだりは、いま最も自分が興味がある分野なので、注意を心に刻もうと思いました。

印象的なくだり
やりかけた仕事は終えてしまう
もし仕事を一度でやり終えてしまわなければ、あなたは一度その仕事を片づけておいて。後でその残りをすることになる。
そして後でそれをするばあいには、もう一度その仕事を思い返し、これまでやったことを跡づけなければならない。
このような時間の無駄をなくすには、次の点に気をつけることだ(P072)。

それからもうひとつ覚えておいてほしいことは、今という言葉は成功のために魔法の言葉であるが、明日、次の週、あとで、いつか、と言う言葉は、しばしばけっしてという失敗の言葉と同義語であるということだ(P076)。

もうひとつ注意を述べておくならば、多くの人は速読法の講習を受けても、いつのまにか新しく身につけた読書スピードをなくして、後もどりしてしまうという事実である。
これは明らかに、読書の改善が一度は行われても、それが日々の実行によって裏づけられていないことから起こることである。
もし速読の技術をほんとうに生かそうと思ったら。つねにそれを実地に用いることによって補強していかなければならないことを、この事実は物語っている(P192)。

口頭のコミュニケーション
話す能力を効率化する方法
できるだけ「即席の」話はしないように心がけることだ。
頭を整理してから話す余裕のないほど緊急な事態というのは、そうざらにあるものではない。
なにを話すかをまとめる数分間の時間は、どんなばあいにもつくれるはずだ。
この短時間を利用して、話すポイントをまとめ、あるいはメモしておくのである(P199)。

過去に読んだ類似の本と感想
『童門式「超」時間活用法』童門冬二 感想はこちら
『時間と上手につきあう法―生き急ぎから真のゆとりへ』小林薫 感想はこちら
『時間をもっと上手に使う201の知恵』アラン・アクセルロッド, ジム・ホルチェ, 宮本 喜一 感想はこちら
『一流の仕事術―仕事を極めるための100の法則』山崎武也 感想はこちら
『入社3年目までに勝負がつく77の法則』中谷彰宏 感想はこちら
『図解整理術』壺阪龍哉 感想はこちら

『となり町戦争』

『となり町戦争』
集英社
三崎亜記

読後の感想
実際に手を下すわけでもなく、ただただ数字と情報だけが並ぶ空虚な戦争に参加していくというお話。
いわゆるお役所仕事と戦争のギャップを織り交ぜ、覚悟も自覚もないまま戦争に突入していく様はどこか空恐ろしいものを感じました。現実と重ね合わせたからでしょうか。
時折混じる行政文書のリアリティが、いい意味でのアクセントとなり、非現実感を際立たせます。
伏線も小気味良くまとまっていて、引き込まれました。

印象的なくだり
「戦争というものを、あなたの持つイメージだけで限定してしまうのは非常に危険なことです。
戦争というものは、様々な形で私たちの生活の中に入り込んできます。
あなたは確実に今、戦争に手を貸し、戦争に参加しているのです。
どうぞその自覚をなくされないようにお願いいたします。」(P039)

『ビッグイシューと陽気なホームレスの復活戦―The big issue Japan』

『ビッグイシューと陽気なホームレスの復活戦―The big issue Japan』
ビーケイシー
櫛田佳代

読後の感想
興味本位で読み始めてみたのですが、細部にわたってとてもリアルで面白いです。若干データは古いですが、販売員ホームレスの方の一ヶ月の収支は大変興味深く読みました。
売り方一つとっても販売員の方も考えているのだなぁと自分もビッグイシューの読者の一人として、少し嬉しく思いました。
直接の支援は出来ませんが、この本を人に薦めることで、何らかの形で応援したいです。

印象的なくだり
ボランティア団体が、ホームレスの人達のために食事を定期的に提供する。
これが「炊き出し」と呼ばれるものだ。
当然そのときはホームレスの行列ができる。
そこでいろいろボランティア団体が働きかけるのは効率的ではある。
ところが炊き出しにもいろいろなしがらみがあるようで、渋谷の炊き出しではビッグイシューの紹介はできないそうだ(P016)。

東京、大阪にかかわらず、最初に(有)ビッグイシューからプレゼントされる10部を販売して、それを酒などに使ってしまいそのまま来なくなる人がいる一方、思うように
売り上げることができずに消えてしまう人も多い。
残念だがその人自身の売り方を反省する前に、他に理由を見つけてしまう。
場所が悪い、内容が悪い、誰もフォローしてくれない。
そうなるとホームレス同士の横のつながりで、ビッグイシューはダメだというような悪い噂も広がってしまう。
販売員が増えない理由はたくさんあるのだ(P133)。

最寄りの駅に着いてスタッフの堤君に聞いた。「どこからが釜ヶ崎なの?」、すると「自動販売機のジュースが安くなったら」と言う。
「はぁ……?」と腑に落ちない返事をしながら少し歩くと、確かに進めば進むほど120円の缶ジュースが100円になり、80円になり、左に曲がると、
とうとうほとんどの販売機が70円になっていた(P188)。

『私は障害者向けのデリヘル嬢』

『私は障害者向けのデリヘル嬢』
ブックマン社
大森みゆき

読後の感想
多分真面目でいい娘なんだろうなぁ、と思わせる文章。見たまま、感じたままの文章で、障害者の性についての問題提起の一歩手前までは伝わってきました。
ただ残念ながら、どうするとか、問題解決の仮説までは届かない、ただ、「現時点では問題がある」との内容でした。
導入部分は不要かなと感じました。本題と余り関係がなかったので。

印象的なくだり
のほほんと生きている私たちが気づかないところで、たまたま身体の一部が不自由に生まれてきただけのことで、健常者が当たり前に解消できる欲求にさえ不自由を感じている人がいる。
身近に障害を持った人がいなければ、考えるきっかけにすら出会えないのかもしれない(P132)。

過去に読んだ類似の本と感想
『セックスボランティア』 河合香織 感想はこちら

『北朝鮮 秘密集会の夜―留学生が明かす“素顔”の祖国』

『北朝鮮 秘密集会の夜―留学生が明かす“素顔”の祖国』
文藝春秋
李英和

読後の感想
自分が見ることが出来ない世界、体験することが出来ない出来事はとっても楽しいと再確認させてくれた本でした。
聞けば、かの国の実情を書くことは、生命の危険にも直結する可能性もあるとのこと。作者の勇気と誠実さには感服です。

印象的なくだり
「彼らはカネの使い方を間違っている。この国では、政府にいくら寄付しても無駄。直接の担当者に、賄賂を渡すのにかぎる。数億円を寄付するより、”鼻薬”で五〇万円使うほうが効果絶大だ。これが、この国での商売の秘訣なんだ」(P109)。

南朝鮮(韓国)で反体制デモがあって、どうして北朝鮮でないのか分かるか。答えは簡単だ。南ではデモが”できる”。だが、北では”できない”からだ(P260)。