「婚活」時代

「婚活」時代
山田昌弘
白河桃子

読後の感想
「婚活」とは、結婚活動の略。
かつては自動的に結婚できたのだが、いまや就職活動と同じように、結「婚活」動が必要なのだ、というのが本の骨子です。そして、どのような活動が必要なのか、ということが書かれています。
 題材が身近なせいか、引き込まれるように読めました。原因は分かりませんが、結論についての感想は共感の持てるところです。また文章も平易で分かりやすいです。
 そして、結婚はかつてのような生活必需品ではなく、嗜好品になった、という記述は、激しく同意なのです。

Yさん、薦めていただきありがとうございました。

印象的なくだり
なぜ、こんなに男性たちが受け身になってしまったかというと、やはり、傷つくのが怖いからでしょう。今、日本の男性たちのハートはガラスのように繊細です。
実際、男性の中には、「恋愛引きこもり」のようになってしまっている人がたくさんいます。
傷つくよりも「二次元の女性」で満足。または「絶対にOK」と確信できるような女性しか口説きません。
だから、女性の「婚活」には積極性を求めますが、男性の「婚活」にまず必要なのは、傷つくことを怖れない勇気をもつことだと、わたしは考えています(P038)。

結婚後、女性とうまくやっていけそうな人たちは、とっくに狩られてしまっているのです(P064)。

先ほどもふれましたが、結婚に関して、男性の責任のハードルを高く設定している人ほど結婚できません。
でも、それは責任感が強いからではありません。責任をとりたくないだけのことです。
そういう人は、どこまでいっても責任がとれるようにはなりません。結局、責任をとる気がないのです(P092)。

「結婚しない男」には婚活は必要ありません、必要なのは、流される勇気だけです(P095)。

親たちにしてみたら、自分たちが当たり前に超えてきた結婚というハードルを、なぜ自分の、しかも、ちゃんとまじめに仕事をしてきたふつうの息子や娘たちが超えられないのか、理解の範疇を超えているはずです。
今は恋愛の時代だから親はとやかく言うべきではない、待っていればそのうち結婚するだろうと思っていたら、いつまでたっても気配がない。
もうしょうがないのでと、重い腰を上げてやってきているというところでしょうか(P130)。

合コンが、「婚活」としては効率が悪いもう一つの理由は、合コンで魅力を発揮する人のタイプが限られると言うことです。
短時間で相手のニーズをつかみ、自分をアピールでしていく、いわば一発勝負に長けた人は有利です。
じっくりしゃべらないと魅力が発揮できないタイプの人にはきわめて不利です。
ただ、女性が男性を判断する場としては、その人の集団の中での立ち位置が見えるという点で優れています。
男性というのは社会的な生き物なので、集団の中で見ると、「この人はまとめ役なんだな」とか「この人は、端っこのほうで盛り上がりからちょっと出ちゃったような子にもちゃんと声をかけてくれる人なんだな」といったことがわかります(P134)。

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因
光文社
西林克彦

読後の感想
 文章は読めるけど意味が分からない、という理解不十分の原因について書かれた本です。
 平易な文章と例題がいくつか登場するので、読み進め易い本だと思います。
 いくつか、パターンを分けて解説してありますが、大きな原因の一つは既知のことがらが正確に読解することを阻害するといったものです。

印象的なくだり

実は論理的にいえば、様々な状況で法則が成立することは、その法則の「確からしさ」や「耐力」を増しはしても、「正しさ」を証明するものではありません。
適用された状況には必ず限りがありますし、未だ適用されていない状況は、原理的に必ず存在するからです。
また、帰納法についても同様です。
帰納はいくら数が多くても、必ず限りあるデータに依拠していますが、法則は「全ての……は……である」のように普遍的に言いきるかたちをとっており、そこには必ず論理的な飛躍がつきまとうからです。
法則を得る過程が論理的だから、法則が法則たり得るのではないのです。法則を得る過程は非論理的であっても、またはよくわからなくでもよいのです。
法則として重要なのは、導かれる過程の論理性(実はこれは求められないのですが)ではなく、それが導き出された状況以外のところでテストしたとき、「整合的」であるかどうかなのです。
テストの結果が予測と整合的でなければ、その法則は反証されます。
そして、逆にテストの結果と法則と整合的であれば、その法則は当面の耐力を示したことになり、維持されてよいことになります。
これが験証とよばれるものです(P193-194)。

システム手帳新入門!

『システム手帳新入門!』
舘神龍彦
400700126X

読後の感想
 この手の「方法論」についての本は、自分なりの方法論を確立するまでは、何冊も何冊も読まないといけないなと思いました。
 取り立てて新発見はありませんが、今までのやり方について別の視点から見直すことが出来てよかったです。

 記述では、ハンズなどに行くといい場所で宣伝している「フランクリン・プランナー」の「コンパクト」の話が印象的でした。
曰く、フランクリン・プランナーには三種類のサイズがあり、そのうちの「コンパクト」は一般的なバイブルサイズとリフィルが6穴で互換性があるように見えるが、リフィル自体の横幅が一センチほど広いため、バインダーからはみ出してしまうという。
 微妙な規格外を作るなんて、美味しい商売だなぁ。

印象的なくだり
スケジュールを組み立てる(P058)
1.仕事や計画などの全体像を把握→プロジェクト系、横罫など
2.方針・期間を決定→長期日程系
3.計画の細部に必要なものや作業をリストアップ→To Do
4.各作業ごとの優先順位を決定→To Do
5.スケジュールに落とし込んでゆく。

パソコンだけのメリットもある。
それは「編集」「送信」「蓄積」「検索」「複製」の五つだ(P111)。

ファイロファックスについての主な逸話
軍人と牧師が最初の二大ユーザーだった(P176)。

備忘録代わりのメモ

自作リフィルについて(P153)
用紙設定のサイズ
幅(W)95ミリ:高さ(E)171ミリ
余白
上10ミリ:下10ミリ:左9ミリ:右9ミリ

子どもたちの太平洋戦争―国民学校の時代

子どもたちの太平洋戦争―国民学校の時代
山中恒

読後の感想
1931年生まれの筆者が、体験した子供時代のエピソードを通じて、教育が与える影響について書かれた本です。
先生の添削が入り、いかにもな軍国少年になっている作文や、校長先生のお話、報道など、実体験だけあって、とても強く心に残ります。

最後の部分で、戦争教育に加担した大人や教育者の責任についても触れられていますが、余り考えたことがなかった部分でした。

印象的なくだり
天皇に関して、この作文のなかに、ラジオの実況中継のことが出てくるが、当時は、天皇の声は電波にのせることが許されていなかったのである。
ラジオ放送を聴くものがすべて、直立不動の姿勢をとっているとは限らない、病床で寝ながら、それを聴くものもいるであろう、そのようなことがあっては、天皇陛下に対し奉りまことに恐れ多いことであるからというので、天皇の声は放送されなかった。
いまから考えると、とても正気の沙汰とは思えないことである。当時は、それがごく普通の、天皇に対するしきたりだったのである(P018)。

欲しがりません勝つまでは
東京市麻布区笄国民学校五年二組三宅阿幾子
(中略)ところで、この標語の実作者は国民学校の少女ではなく、その父親が彼女の名前で応募したものであった。
彼女の口からそれが明らかにされたのは、戦後三十七年経てからであった(P141)。

ある疎開学寮の教師は、その空襲で死亡した者の氏名を挙げたら、寮生の間から「わっ」と歓声があがり、口々に「いい気味だ」というのを聞いて慄然としたと証言している。
本来なら同じ学寮で半年以上いっしょに暮らしたのだから、その死を悼む言葉が出ると思ったのである。
それが全く逆になったというのであるから、その人間関係がどれほど荒廃していたかがわかろうというものである(P185)。

ケータイを持ったサル―「人間らしさ」の崩壊

ケータイを持ったサル―「人間らしさ」の崩壊
中央公論新社
正高 信男

読後の感想
 「ひきこもり」と「ケータイ」を使う若者、一見反対に見えるけれど、成熟した大人になることを拒否しているという点では同じである、という内容の本。

 もともとサル学者の著者が、その観点から見た面白い切り口が新鮮です。特に母親の耐久消費財としてのわが子という観点は、驚きでした。

印象的なくだり
 そもそも耐久消費財とは、他人と差別化する機能を果たしてはじめて、所有する意味を持つという側面が見逃せない。大衆化した商品ではどうしようもない。
 では、「私だけ」のものとして自分を光り輝かせてくれる可能性を秘めた、エネルギーをつぎ込める対象は何かないかと周囲を見渡した時、見つけたものがある。それこそ、「わが子」なのだった(P52)。

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